第三食:「異世界日記」1

最近は、少しずつ涼しくなってきましたね。もう11月です。早いですね。

え?最近の僕はどうかって?いや~・・・。







汗だくだわ。






見間違うことのなき汗だくだわ。もういやだ!やめたい!仕事放棄してやりたい!

でもムキムキな上司たちに面と向かってそんなこと言う勇気もないし・・・。

毎日あきらめながら仕事をしているんですよ・・・。この世界で覚醒してから

約5ヶ月。休日なんてものはなく、毎日汗だくでピッケルを振り、レンガを運び、

壁を作ったり土木作業したり、そんな毎日!もううんざりだ!・・・と、本気でおも

っているわけではないのかもしれない。考えてみると、楽しかったり嬉しかったり、

達成感を得たり、ちょっと得したり・・・。あ、あんなこともあったな。むふふ。

おっと、にやけてしまった。そこで、俺のそんな5ヶ月を、簡単にまとめて

みようと思う。そう。






この「異世界日記」で。ーーーーー







「異世界日記」

2064年(俺が気を失ったのが2061年だから)6月11日


俺は突然変異したこの世界で覚醒し、突然変異した食材たちに驚かされた。

エルフ族だという二人の兄弟にかくまわれ、居候している。早く体力を戻したい。

(まあ元からそんなになかったけど・・・。)


6月23日


エミアに回復魔法で殺されかける。怖すぎる。クロムに勧められ、仕事を探す

ことにした。やりたくもない筋トレをクロムにやらされ、三年前よりも体力が

上がった(気がする。)。やはりこの世界の食材はおいしいと実感した。

今日は、カジキマンモスという混合種の刺身を食べた。普通に売っているとは

思えないおいしさだった。とても幸せだ。


6月26日


補修作業の仕事を始めた。上司の人はムキムキばっかりで怖かった。途中で倒れた。

ジュースで二回目倒れた。上司のカルムさんにお姫様抱っこされたらしい。

恥ずかしい。でも、みんな気さくでいい人かもな。


6月27日


近所の主婦にカルムさんとの関係をうわさされているのを目撃してしまった。

最悪だ。昨日倒れたばっかりだが、今日も仕事に行った。-------





6月27日 8時48分 

「よし!じゃあ今日も倒れるくらいがんばれよ!」

がはは!と大笑いしながら上司は俺の背中をバンバンとたたいた。とても痛い。

かんかんに照らす太陽。つゆがないらしいこの世界。周りの人はもう作業を始めている。

ーーーよし、やるか!

「はい!頑張ります!」

俺は今日もピッケルを握って採掘作業を始めた。


4時間後


「おーい!休憩の時間だー!ミドルの奥さんから差し入れがあるぞー!」

周りで作業していた人たちがうれしそうな顔でテーブルがあるほうに向かっていく。

ミドルさんとは、周りから兄のように慕われている、いわば、ひきにーとの天敵

である。恨めしい・・・。が、俺は心まで変わったのだろうか。今ではそんな風に

思うことはない。まだ二日目だが、この環境で俺も何か変わっているのだろうか。

「は~、疲れた!カゼナリも行こうぜ!」

と、俺の背中を軽くたたいて駆け出したのは、まだ18歳のミキルである。俺が

初めて職に就いたときに、主な作業内容を教えてくれた子だ。この世界では俺は

年下と接点が多いらしい。クロムといいミキルといい。俺は年下になめられている

のだろうか。しかし、俺はそれを不快に思ったりはしない。みんな仲良ければそれ

でいい、と思い始めてるのだ。俺は前の世界の癖が抜けていないのかもしれない。

ここでは、ミキルのような若いやつでも、カルムさんのような上司にため口がいえる、

そんな世界なんだ。みんなが分け隔てなく接することができる世界。もしかしたら

俺は、こんな世界を望んでいたのかもしれない。思ってみれば、上司におびえてる

のは俺だけで、周りはとても開放的な雰囲気である。

ーーー俺は、この世界好きだな。

そう思った。夜はみんなで大騒ぎして近所のおばさんに怒鳴られてみんなで正座して。

上司と変なたくらみを立てたりして。みんなで食事を囲んだりして。みんな家族。

そんな感じだったから。

「お~い!カゼナリ~!なくなるぞ!甘煮豆のしお饅頭。なくなるぞ!」

「おう!今行く!」

やっぱりいいな。この世界。



まあそれも、あの事を知らなかったからなのだが。





7月26日


補修作業の仕事についてから1ヶ月。今日もみんなで楽しく、補修作業しました!

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世界一の焼肉を求めて突然変異の世界で 志木 美話 @shiki_mihana

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