第4武 旅立ち 魔法ってなんぞや?
ギィィィイィ
そんな音をたてながら扉が開いた、といっても俺が開けたのだが
「たのもー。王様はいますかコノヤロー」
城に入ってすぐに、俺は横柄な声でそう言った。すると、奥の方からみるからに王様という感じの、王冠をかぶり、マントを着けた小太りのオッサンがでてきた
「おお、良く来てくださった。あなたたちが勇者さまなのですな。お話しはリリィ殿から聞いておりますぞ」
王様の口から意外な名前が出たもので、俺達は少し驚いた
『リリィだとぉ?あいつ神様じゃねーのかよ。ここに居るってのか?』
『わからない‥けど、いるんだったら好都合じゃない?色々聞きたいこともあるし』
『そうですね。僕もまだ聞きたいことがありますし』
ボソボソっとそんなことを話していると、王様が口を開いた
「どうかされましたか?」
「「「いえ、なんでも」」」
俺達は三人で口を合わせてそう言った
「はっはっはっ、愉快な人たちだ。
仲がよろしいのですなぁ。では、奥で少しお話しをしましょう。ついてきてくだされ」
「「「はーい」」」
また俺達は、口を合わせて返事をした。
ーーーー
王様についていくと、そこには大きなテーブルと、椅子が四人分置いてあり、奥のほうには玉座があった
「では、お座りくだされ。みなさんお疲れでしょうから、飲み物でも持ってこさせましょう」
さっきから思っていたが、この人、王様なのに全然偉そうにしていない。むしろ取引先に来たサラリーマンのようにへこへこした感じだ
「ボルトス!こっちに来てくれ、勇者様がお着きになった」
「はい、承知しました」
王様がボルトスとかいう人を呼ぶと、どこからか声がして、王様の隣に初老の男が現れた
「ええぇぇ!?ど、どっから現れたんだあんた!?」
俺がそう叫ぶと、王様は微笑みながら答えた
「転移魔法ですよ。ボルトスは執事なのですが、魔法の扱いに長けているのです」
「はぁ、執事さん‥‥ですか」
その男は確かに執事のような格好をしていた。白髪の髪に、厳格そうな雰囲気のある顔、手足は長く長身で、ダンディという言葉が最も似合いそうな感じの男だった。
「では、飲み物を持ってきてくれ。四人分だ。よろしく頼むぞ」
王様がそう男に頼むと、男は厳格な声でそれを承諾した
「かしこまりました」
そう言って男はフォンっという音ともに消えてしまった
「では、本題に入りましょう」
「すいません。王様、なぜ椅子がもう一つあるのですか?私たちは三人なんですけれども‥‥」
王様のあとに続いて、シノがそう質問した
「ああ。それは、リリィ様の分です。確かこれからお見えになるといっていましたが‥‥」
王様がしゃべり終えたあと、後ろから聞き覚えのある声がした
「はろーはろー諸君!リリィ様が来たよぉー」
そう言いながらリリィは自分の椅子に腰かけた
「ゲッ!お前なんでこんなとこに!?
まさかお前も魔王討伐のパーティなのかぁ?」
「そうそうそうそう、そっのとおーりぃ!私も仲間だよー」
リリィの答えに俺達は少し喜んだ。神様が仲間になれば怖いものないじゃんっと。だがそれは、悲しいぬか喜びだった‥‥
「でもぉ、あたしぃ、そんなに強くないんだよねー。神様だけどね~」
その一言で俺達は呆れた顔になった‥‥
「どんだけ悲惨なぬか喜びだよ!
弱いのかよ!?神だろ!?」
「お、落ち着いて、ケン。弱いって
いっても神様の中では‥‥とかじゃないの?」
「そ、そうですよ!もしかして、あいつは四天王の中で最弱‥‥とかそういう感じかもしれないじゃないですか!」
憤る俺をシノとヤワラががなだめてくれた、だがそんな俺達の気持ちをしり目にこの神様は‥‥
「いやいやいやーちがうちがう。ふっつーに私はよわいの~。ちょっとした魔法しか使えないしー」
「」
「」
「」
三人とも声が出なかった。この神様は自分で戦力外通告をしたのだ‥‥
もう呆れるしかない
「じゃあなんでパーティにはいってんだよ!ただの足手まといじゃねぇかぁぁ!」
「暇だったからね~。ま、いてもいなくても変わらないだからいいでしょー。魔法もちょっとは使えるし」
暇だったから魔王討伐って‥‥この野郎、絶対やるきねーな‥‥そんなことを考えていると、最早空気と化していた王様が口を開いた
「ですがこれで4人。心強いではないですか」
どうやら王様は慈悲深いお方らしい。こんな役立たずを戦力と数えるとは
「王様の言う通りですよ。魔法使えるらしいですし、大丈夫じゃないですか?」
ヤワラも王様と同意見らしい1
「しょうがねぇか‥‥。ま、確かに、
魔法は便利だろうしな」
「そうね。ないよりはあった方がいいわ」
俺とシノも渋々だがリリィのパーティーへの参加を承諾することにした
「では、飲み物も届いたことですし、今のこの国の現状をお教えしましょう」
話に夢中になっている間に、ボルトスさんが飲み物を持ってきてくれたらしい。全然気づかなかったが
「じゃあ、お願いします」
「まず、この国ではーーーー
俺達は、出してもらった飲み物をチビりチビり飲みながら、王様の話を聞いた。出された飲み物は普通に美味しかった。
王様の話を聞き終わり、一番に口を開いたのはシノだった
「つまり、この国は魔王の脅威にさらされ、何回も私たちのような勇者を魔王討伐の旅にいかせたが、そのすべてが敗走してきて、私たちの様な異世界人に頼むほかなくなった‥‥と」
「簡単にいってしまえばそういうことなのです。その他にも何回も軍を出しましたが、全て無残な結果に終わりました‥‥、城の兵士たちもみな‥‥殺されてしまったのです」
「だからどうか‥‥どうかお願いいたします!この国を救ってくだされ!」
王様の話は、俺達をビビらせるには、充分過ぎる内容だった‥‥
だが、俺は俺の中で、ふつふつと沸き上がる気持ちがあるのを感じていた。
そう、正義感だ。
「その仕事、全力でやらせて頂きます!必ず魔王をぶっ倒して、この国を救います!」
考えるより先に口が動いた。
震えていた膝は、いつの間にか止まっていた。
そして、シノとヤワラも口を開いた
「私も同じ気持ちです。必ず、この国を救います」
「僕もそうです!どれだけやれるかわからないけど、この国を救ってみせます!」
俺達の言葉を聞いて、王様は泣き出してしまった。
「ありがとう‥‥‥ありがとう‥‥‥あなたたちは本当の勇者様です‥‥‥」
「あなたたちには、私の家に伝わる伝説の武具たちを差し上げます。
ボルトス!武具を勇者様たちに!」
「は、承知いたしました。」
そういって執事の人が指を『パチンッ』とならすと、テーブルの上に一つの弓矢、一つの剣、そして一つのお守りの様なものが出現した
「さぁ、これが伝説の武具です。
お好きなものをお選びください」
「じゃあ俺は、この剣にすっかな。
一応剣道部だし」
そう言って俺が剣を持とうとすると‥‥‥
「おもてぇぇぇ!?なんじゃこりゃあぁ!木刀の三倍は重いぞぉ!?」
重すぎて腰が抜けて倒れてしまった。見た目が軽そうだったから油断したのだ
「だ、大丈夫?ケン?」
「大丈夫ですかぁ!?ケンさん!?」
二人が心配して、俺に声をかける。
だが、一人だけ例外な奴がいた
「ぷぷっ、ケンくんだらしな~い」
「うるせぇこのダメダメ神!!シノとヤワラはありがとな!」
「なにー!ダメダメ神だとぉ~💢」
俺の安い挑発にすぐのってきやがった
「そーだ!お前なんかダメダメ神だぁ!」
「なんだとぉ、このぉ!」
「「ぐぬぬぬぬ」」
俺とリリィが不毛な争いをしている内に、シノとヤワラが武器を決めた様で、仲裁に入ってきた
「喧嘩はそこまでよ、二人とも。もう仲間なんだから、仲良くしないと」
「シノさんの言う通りですよ。そんなに喧嘩してたら、魔王にも勝てませんよ?」
二人の言うことはこの上なく正論で、俺もリリィも言い返すことはできなかった
「わーったよ。すまんな、リリィ。仲良くいこうぜ」
「むぅ、しょうがないな~。許してあげるか~」
「お前なぁ!」
また喧嘩が始まりそうになったとき、王様が口を開いた
「ほっほっほ。元気がよくていいいですなぁ。その調子で、魔王討伐、よろしくお願いいたします」
俺はフッと笑ってこう言った
「わかりました。必ず、この国を救います。また、魔王を倒したときにでも会いましょう」
「はい、どうか、ご武運を」
こうして俺達四人は魔王討伐の旅に出発した‥‥‥
日本武道は異世界で通用しますかッ!? @Posted
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。日本武道は異世界で通用しますかッ!?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます