第3武 集いし三人の勇者たち


一時間ぐらい歩いて、俺たちはようやく街に到着した。いくら剣道をやっているとはいえ、普段全然走らない俺にとってはかなりつらかった。

うちの剣道部‥‥走り込みとかなかったからなぁ。この体たらくの俺に対して、彼女は恐ろしいほどに疲れた様子を見せなかった……


「ああ~‥‥‥超疲れた、死ぬぅ」


そう一言呟いて、俺はまた必死に息を整え始めた


「だらしないんじゃないの?ケン。

全国の剣道部員から笑われるわよ」


シノが微笑みながらそう言った。

今さらだが、彼女はそうとう可愛い。綺麗な黒髪に小さくてパーツの整った顔。そして‥‥一際目を引く巨乳‥‥走ってる時もそうとう揺れてた、鼻血出そうになった。


「しょうがないだろぉ‥‥。走り込みなんかしてないし‥‥逆になんで君はそんなに疲れてねーのよ」


(別に興奮してるとかじゃなくて)俺がハァハァいいながらそう言うと、彼女はまた微笑みながらこう言った


「言ってなかったけど、私モデルやってるの。だからスタイル維持のためにランニングとかもしてたのよ」


通りで、という感じだった。こんなナイスバディで可愛い女の子がモデルをやっていても不思議じゃない


「ああ、だからあんなに‥‥納得納得」


「じゃあ行きましょうか。もうそこにお城が見えてるし」


「うい。じゃあ行くかぁ」


そう言って俺たちは、王様の城に向かって歩きだした。


「いやぁ随分さかえてんなー。こんな街、教科書でしかみたことねーよ」


歩きながら、俺は目の前に広がる英国風の石造りの街?を見ながらそう呟いた。


「そうね。異世界って言うより昔のヨーロッパみたい‥‥」


「きれいだけどさー、地震とかきたらひっどいことになりそうだよなー」


俺は横柄な声でそう言った。日本じゃこの街並みは考えられんなと思いながら‥‥


「うん、ひどいでしょうね。火災に倒壊‥‥‥想像もしたくないわ」


地震大国日本に生まれた俺たちは、

異世界に来ても地震のことから離れられないらしい。


「でも、異世界っつーだけあって色んなやつがいるんだな~。見てみろよ、ほら、あいつなんか毛むくじゃらだぜ」


俺はひそひそ声でシノに向かってそう言った。彼女もそれにひそひそ声で答えた


「まるでディズニーとかジブリの世界ね‥‥さすが異世界っていうだけあるわ」


そんな下らないことを話ながら歩いていると、一人の少年がひどく緊張した様子で話かけてきた


「す、すいません。ちょ、ちょっとお話しいいですか?」


「お、その格好‥‥!お前も異世界人かぁ!?」


話かけてきた少年の格好は、所謂柔道着だった。前体育の授業でやったからちょっとは分かる

そして、その少年はこう続けた


「はい!あなたたちもなんですね!良かったぁ、僕もいきなりこっちに連れてこられて、なんにも分かんなかったんですよぉ」


少年は心底ホッとしたという顔でそう言った。それにしてもこの少年、

一瞬女の子と間違えそうになったぐらい中性的な顔立ちをしている。体つきも女の子みたいだ


「そうか、お前も大変だったんだなぁ。ま、これからは俺達がいるからよ。安心しな」


「私たちもあんまりこの世界のことは詳しくないんだけどね‥‥‥。まぁ一人よりはいいと思うわ。よろしくね」


「はい!よろしくお願いします!」


随分と素直な少年のようだ。見たところ中学一、二年生みたいな感じだが。


「お二人の名前は何て言うんですか?僕の名前は、柔(やわら)道彦です。やわらって呼んでください」


彼は自分の自己紹介を簡潔にすませ、俺達の名前を訪ねてきた


「じゃあ俺から、俺は竹谷剣輔。

ケンって呼んでくれ。ま、基本的に適当な性格なんでそこらへんはよろしく」


「じゃあ次は私ね。私は弓矢佳乃。

シノって呼んでくれると嬉しいわ。」


簡単な自己紹介が終わったあと、俺はこう言った


「自己紹介が終わったところで、そろそろ城に入るかぁ」


「そうね。じゃあ行きましょうか。」


「ちょっと不安ですけどね。」


どうやらみんな同じ思いだったようで納得してくれたらしい

俺はさっさと魔王とやらをぶっ飛ばしてやろうという気持ちで、城の入り口の扉に手をかけた‥‥‥


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