第2話魔王と人間


『やれやれ、さすがに今の私じゃ劫火に勝つのは無理かぁ、』



誰かの声が聞こえる、どこかで聞いたことのあるようなそんな気がした。どこで聞いたっけ



『あ、そろそろ起きないと、それじゃあまたね私の―――くん』



でもその声はどこか懐かしい気がした。



「ん、うぅん、」



目を開けるとそこには知らない天井があった

体を起こそうとすると全身に激痛が走った

あれからどうなったんだ?てか俺、生きてる、一度起きようとするが無理だった



「いてて、」



俺は目だけでも動かして周りを見て把握しようとしたら扉があった、するとちょうど扉が開きそこから赤い髪の美少女が出てきた。



「お、目が覚めた様じゃの、やれやれ手間をかけさせよってからに、妾が貴様のために城の中の魔物の作成を削減までして、治療に徹しさせた会があったかの?」



美少女かと思ったがあの特徴的な喋り方そして何よりあの赤い角、思いたくはないがまさか



「まさかお前、魔王か!?」


「なんじゃ、いきなり、見てわからんのか」



俺の思った通りで無ければよかったと俺は心底思った。



「いやいやいや、わかんねーよ!服変わるだけで印象変わりすぎだろ!」



俺が魔王と出会った時の印象と違い過ぎていてものすごくびっくりしている、玉座にいる時は禍々しくそしてとてつもない恐怖を感じた、だが今の魔王は超ラフな格好をしたただのかわいい美少女にしか見えない



「そうまじまじ見ながら言うことではなかろうに、まぁ褒め言葉じゃろうし、素直に喜んでおくかの」



少し魔王が照れているように見えたのは気のせいだろう

するとふと俺の頭に疑問が浮かんだ



「なぁ魔王」


「ん?何じゃ?」


「何で俺生きてるんだ?あの時確かお前に止めを刺されて死んだはずじゃあ?」



そうだ俺はあの時確かに死んだはずなんだ、だけど今俺は生きている



「なんじゃ貴様、気づいておらんのか?」


「ん?何がだ?」


「何が、と言われてものぉ、実質じっしつ妾にもよく分からんのじゃよ、が、しかし1つだけ分かっていることがある、貴様は妾に致命傷を与えた。」



は?

魔王の言っている意味が分からない、何?俺が魔王に致命傷を与えた?ありえない、だってあの時俺はどう考えても殺されかけていたはずなのに



「そう頓狂とんきょうな顔をするでない。考えるのも大事じゃが貴様はまず妾に言わねばならん事があるじゃろ」


「あ、あぁ他にも聞きたいことはあるけど、まず先にありがとう、魔王」


「確かに礼を言われるのはあたりまえじゃがそんなに真面目な顔で言わんでもよかろに、少し照れるでわないか」



なんだか変な感じだ、なんだろう本当にあの時の魔王と同一人物かと疑うくらいだ。何だかこの魔王と話してると何だか安心する。



「だけど何で俺を助けたんだ?」


「ん?そりゃ簡単な話じゃよ、貴様に興味を持ったからじゃ」



運がいいのか悪いのか自分でも現状びっくりしていた。だが魔王が興味を持つようなものを俺がもっていたのだろうか?でもまぁ今回はそれに感謝するほかない、



「それでじゃ、貴様はここへ何をしに来たか覚えておるかの?」



その質問をされるまで俺は自分がなぜここに来たのかをすっかり忘れていた、そうだ俺はここでしなきゃいけない事があったんだ



「あぁ!忘れてた、俺は魔王になるためにここに来た」


「それでじゃ妾は貴様のその願いを叶えてやろうと思ってな」


「え?」



今の俺の頭の中は色んな感情が混ざりあってパニックを起こしていた。

え?今なんて?俺、魔王になれるってこと?え?どゆこと?



「そう慌てるでない、」


「それってつまり魔王の座をくれるってこと?」


たわけ、妾にそんな権限は無い、」



ん?権限が無い?魔王になるのに誰かの許可がいるのか?



「でもならどうやって俺を魔王に?」


「まぁ話を聞くのじゃ、妾は思った。妾の代わりにではなく新しく魔王になれば良いのじゃとな」



魔王は自信気に胸を張って言った。



「は!?新しい魔王になるぅ!?」



確かにその発想はなかった、俺としたことが盲点だった



「じゃあ今すぐにでも!」


「これこれ最後まで話を聞けい」


「あっ、あぁ、悪い焦りすぎた、でもどうやって?新しく魔王になるんだ?」



それを聞くと魔王は少しうつむきさっきとは裏腹に自信の無さそうな顔をしていた



「新しく魔王になるのはとても大変じゃ、困難極まりない。じゃがそれでもなお、魔王になりたいと言うのであればその方法を教える」



魔王は真剣な顔で俺に問いかけた。魔王の顔はまるで何かに怯えているようなそんな気がしてならなかった。

だけど俺は何としてでも魔王にならないといけない理由がある。約束を、誰かと交わした約束を、誰かは覚えて無いけれどなぜか守らないといけない気がする。だから俺は



「なぁ魔王言っただろ俺は何としてでも魔王ならなきゃならないってな」



それを聞くと魔王は俯いていた顔あげ俺の顔を見て少し笑をこぼした

その瞬間魔王は何かを決断したかのように立ち上がり俺に向かって指を指してこう言った



「良いだろう!茨の道になるかもしれん、もしかしたら死ぬかもしれん、じゃが妾は貴様と共にその道を歩もう、貴様がその道に迷ったなら妾が導こう、妾は例えどんな事があろうとも貴様と一緒じゃ、貴様が魔王になるまではずっと一緒じゃよ、人間」



魔王はそう俺に言い渡した



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終焉という名の平和と魔王という名の独裁者 鼯鼠モモン @Momongamomon

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