スナネコはまだ、ふまんぞく

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スナネコはまだ、ふまんぞく

 ごーっという音で目が覚めた。


 あくびをし、目をこすり、背のびしてから音のするほうをちらり。

 まっくらやみの中にぼやーっと浮かぶ、ほの白い穴。おうちの出口。そこが白くギラギラしているうちは、スナネコ的にはおねむの時間。でもこの日は、ギラギラというよりぼやぼやという感じ。

 スナネコは、抱きしめていた眠気をぽいし、好奇心に手を引かれ立ち上がった。

 とことことこ。出口に近づくにつれ音はでかくなる。穴から入りこんでくる明かりもお昼にしてはやっぱりぼやけている。

 わくわくわく。こわさと期待がないまぜになった気分。

 出口。

 外をのぞく。


 おおー。


 飛び込んできた光景に思わず声がもれた。

 このまえサーバルたちがやってきた時と同じくらいか、それ以上のどでかい砂あらし。

 まだはなれているが、早くおうちの奥にかくれないと巻き込まれてしまうのはまちがいない。

 ならば、やることはひとつ。

 スナネコは、好奇心と二人三脚をし、あらしに向かって飛び出して行った。


 そして飛ばされて帰ってきた。

 砂山にうずまっていた腰から上を引っこ抜き、プルプルと体をふるわせ砂をはらう。


 うん、まんぞく。


 おひさまはギラギラまぶしいお昼どき。スナネコ的にはおねむの時間。

 まんぞくとあくびをおみやにし、おうちにもどる。今日はいい日になるにちがいない。もうひとねむりして、おきたら何をしよう。

 目をこすり、またあくびをし、さっきぽいした眠気をひろい上げて横になろうと、足もとの砂地に目をやったそのとき、スナネコはそれに気づいた。


「うわさどおりかわいいね!」

「個性的なフレンズさんですね」

「スナネコノカラダハ ネッシヤスク サメヤスイトイワレテルヨ」


 声が、聞こえた気がする。砂に描かれた絵を見ながら、スナネコは思った。

 おかしいですね。あの子たちは、もうとっくの前にここを出て行ったのに。

 スナネコはさらに思った。


 やっぱり、ふまんぞく。


 これもおかしい、さっきまであんなにまんぞくだったのに。スナネコは、おかしいことが立て続けにおきてとまどった。

 なんで?

 早おきしたから?

 まさか、そんな意味のわからない理由、サーバルだって思いつかない。

 でも……まあ……今はそれでいいか。

 スナネコは、とりあえず納得することにした。

 早おきのせい。だから今は寝よう。

 抱きしめた眠気をまくらにごろん。そう、スナネコは熱しやすく冷めやすい。

 眠気がまぶたをやさしくおさえこんでくるあいだ、ほそくなったわずかなすきまからのぞくあの絵。そのむこうには、あの子たちが消えていった黒い穴がぽっかり。

 そういえば、おきてからすること決めてなかったです。もし、おきてもまだ、ふまんぞくだったら、そのときは……


 夜が来る。

 スナネコはまだ、ふまんぞく。

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