曇天の先

先日、荒川の河川敷に行く予定があった。


ちょうどGWが始まる土曜日のことである。

同じ夢に向かって頑張る友だちともライバルとも、言える人たちと情報共有をするために集まろうということになったのだが、中には学生もいるため、お金をかけず周りの目も気にならない河川敷に集まろうということになった。

ただ私は正直、乗り気ではなかった。


呼んでもらえることは、とても嬉しいのだが普段仕事と夢、いや目標のためにレッスンなどに通う私にとってGWはとても貴重だ。

普段がものすごく忙しいわけではないが、どうしても疎かになりがちな所の徹底的な掃除、時間がないとできない洗濯など、あれこれとこなすにはもってこいの休みで、買い物好きな私としては、買い物も時間をかけてゆっくりすることのできる年に2、3度訪れる貴重なお休みなのだ。


その日、私はレッスンがあったため、レッスンを終えてから参加することになっていた。

昼前から14時まであったレッスンを終え、

お腹を空かせた私は近くのコンビニでおにぎりとお茶、野菜ジュースを買い、池袋駅からバスに乗る。


お腹が空いて今にもおにぎりを口に入れたい気持ちを抑えつつ、今日のレッスンを振り返ると、ここ最近レッスンが楽しくてしようがない私は、レッスンでもらったプリントを片手に、高揚感を爆発させないよう少しばかり注意を払った。

バスに揺られること10分くらいだっただろうか、ふと窓の外に目をやると、GWが始まるというのに、空は少し雲が多く、バスの中も自ずとほんの少し暗く感じた。


せっかく乗り気になってきたのに、なんだか高揚感が薄れる。


バスに乗って30分くらい経って、最寄りのバス停で降りた。

あいも変わらず空は雲を纏っていた。


友だちの待つ場所に向かうため歩いていくと、大きめの橋と荒川が見えてきた。

その景色がなんだか私には懐かしく感じた時、さらりと風が頬を撫でていった。再び私の心は高揚する。


そんな気持ちの上がり下がりを繰り返しながら友だちと合流した。

実際に会って話しをすると想像していたよりも楽しく多くのことを勉強できた。友だちの都合もあり、1時間半くらいしか私は参加できなかったがすごく有意義な時間だった。そう感じるのは、ここまでの道中で気分が高揚したからなのか、私が当初乗り気ではなかったからなのか、友だちが良い話しをしたからなのかは分からない。

けれど、想像してたより楽しかった。

以前は、想像していたよりも楽しくなかったということが、多かったように思うが、ここ最近想像よりおもしろかったと思うことが多いような気がする。

これまた自分が要因なのか、はたまた外的要因なのかは分からないが、そう感じれる私はとても幸せものなのだろう。


その楽しい時間の中、どんどん風が強くなってきたかと思うと、ポツリポツリと雨が降り始め、瞬く間に雨は酷くなった。

雨宿りをしようと橋の下で友だちと話をした。

それから、10分くらいすると雨も止み、解散する時間となった。

ひとり来た道をみんなと戻る。

ふと空を見上げると橋を挟んだ空に綺麗な虹がかかっていた。

虹を見たのは何年ぶりのことだろう。

その虹は端まで綺麗なアーチを描いていた。そんな綺麗な虹はそう拝めたものではない。

しかも、友だちが「二重にかかってるよ」と声をあげた。

よく見ると、虹のまたその上に虹がかかっていた。

あぁ、なんと良い日なのだろう。


きっと私ひとりだと虹にさえ気づかなかっただろう。


私は、今日一番気分を高揚させバスに乗り込んだ。

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旅半ば @_kei_

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