第4話 宇宙からの刺客

 宇宙から地球に、とてつもなく大きな物体が降りてきた。その物体が降りたのは、日本の鳥取砂丘。砂丘のど真ん中に、大きな物体がはまった。

 観光客によると、砂が舞い上がる中、その物体の扉が開き、中から小さな生き物が飛び出してきたとのことである。


 その生物は、新宿駅構内で発見された。改札を潜り抜けたために、警察に逮捕されたのである。未確認生物であることから、その生物は大学の研究室に運ばれた。

 博士の見解はこうだ。

「これは、宇宙人だ。」

 その見解は、日本どこか、世界中を騒がせた。宇宙人が地球に降りてきたのである。これは、世紀の大発見である。


 その宇宙人の姿であるが、人間の子と似たような姿であった。

 博士は、人間と同じなのか確かめるために、医療装置で身体の中を調べた。すると、驚きの事実が公表された。

「宇宙人は、ロボットである。」

 身体の中の配線の図を、全世界人々に公表した。世の中に存在するロボットのほとんどが、その配線と同じような構図でつくられていた。つまり、宇宙人は、誰かの手によってつくられたものであるということである。


 博士は、宇宙ロボット(=宇宙人)の基礎データを調べた。世界各国の著名な研究者も集まり、そのデータの収集に励む。すると、ある事実が浮かび上がった。

「宇宙ロボットは、宇宙人によってつくられた。」

 宇宙ロボットの内部データでは、世の中のロボットと変わりはなかった。変わっていたのは、そのデータの言葉である。どの国の言葉でもない、新しい言語でデータ化されているのであった。博士たちは、その言語を宇宙語と名付けた。この宇宙ロボットがすごいのは、目の前の人の言語に変換をすることができることである。目の前の人が日本語を話せば、宇宙ロボットも日本語で、英語で話しているならば、宇宙ロボットも英語で話すのである。とすれば、宇宙ロボットをつくった宇宙人は、この世界の言語を知っていることになる。

「宇宙人は、地球にきていた。」

 博士たちは、口をそろえてそう言った。


 博士たちは、宇宙語の解読を試みた。おかしな文字の共通点や形式をくみ取り、言葉にしていくのだが、読みもわからず、皆頭を抱えた。

 博士は思いついた。宇宙ロボットに、内部のデータの言語を翻訳してもらおうとしたのである。これに成功すれば、宇宙語の解読に大きな進展をもたらすこととなる。

 しかし、その翻訳は、恐ろしい状況を唱えた。内部データには、宇宙ロボットの使命が書かれていたのである。それは、

「地球人を滅ぼすために、宇宙ロボットを大量投下する。投下された宇宙ロボットは、地球人を集め、自爆せよ。」

ということ。

 博士たちは、あまりの衝撃的な翻訳に、耳を疑った。もしこれが本当であるならば、世界中が大騒ぎになる。確信が持てるまで、公表を控えた。


 それから、それが確信になる出来事が起きた。アメリカの首都ワシントンで、空からの物体落下、宇宙ロボットが発見されたのである。人々は、その宇宙ロボットを近くで見ようと、発見された広場に集まってきた。宇宙ロボットは愛想がよく、ギャラリーを楽しませていた。そして、公園からはみ出るほどの人の多さを確認し、ロボットは、自爆した。


 次は、ヨーロッパで起きた。その次は、アフリカで起きた。世界各地で、宇宙ロボットによる地球人の滅亡作戦が行われた。


 博士たちは、事態の深刻さに、宇宙ロボットの危険性を公表した。

「宇宙ロボットは、地球人を滅ぼすために宇宙から投下された。自爆し、地球人を皆殺しにする。」

 世界中は、パニックに陥った。


 「何故、地球人を滅ぼす必要があるんだ?」

それの答えは、宇宙ロボットが知っていた。

「地球人は、我々の住処である地球を乗っ取り、地球を汚した。今こそ、地球を取り返すとき。」

 

 宇宙ロボットは、次々と空から投下された。その度に人々は、一か所に集まらないよう散らばり、宇宙ロボットを捕獲して、爆発物処理班のもとに送った。爆発物のプロともいえる処理班は、そのロボットの爆発装置を解除することはできなかった。厳重警備のケースに入れられ、ロボットは保管された。


 博士たちは、この危機的状況を回避するために、宇宙ロボットにメッセージを入れた。宇宙人は、地球の言語を知っている。地球の言語のまま、更新させた。


 ある日、博士たちは鳥取砂丘に行き、宇宙ロボットを積んできた物体にある情報を入れた。そして、ロボットを近くに置いた。

 すると、ロボットは自らその物体の中に入り、しばらくすると、物体は空高く昇っていった。


 博士たちは、全世界に公表した。

「地球人を滅ぼそうとしている宇宙人に、謝罪の旨のメッセージを送った。これから我々地球人は、地球を前と同じくらいの環境に戻す努力すると誓った。そして、もう地球人を攻撃しないでくれと頼んだ。」


 宇宙人は、どこで我々地球人の行動を見ているかわからない。また宇宙ロボットを投下してくるかどうかもわからない。

 博士は宇宙人についてこう公表している。

「宇宙人も、もともとは地球人。その子孫が私たちと同じように生活している。だから、誰が宇宙人であるかは、本人しかわからない。」


 

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SFショートショート 柚月伶菜 @rena7

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