第11話


ケータイのアラームは時間通り鳴っていたが起きられなかったようだ。

それもそのはず、夜中まで眠れなかった。

考え事をたくさんたくさんしていたから。


『起きれた?』


母からのラインだった。


「いや、起こせよ。」


返信はせずにもう一度布団をかぶった。

学校は無断欠席した。

もうどうでもいいやと思っていた。


涙があふれそうになったとき、携帯が鳴った。


『松木~!どうしたの?大丈夫?』


奈菜からの電話だった。

丁度昼休み時間だから心配して連絡をくれたみたい。


「なんか頭痛してさ、片頭痛だと思うんだー」


嘘をついた。

さぼった事を言うと理由を聞かれる、理由を話すと更に詳しくと求められるのは分かっていたから。

反省して後悔していることを全部丸々話せるほど今の精神状態は安定していなかったからだ。嘘も方便ってこのことなのだと思う。

奈菜には申し訳ないけど。


電話を切った後はひたすら悩んだ。

16時からの塾に行くべきか否か。

先生はどんな顔をするだろう。もう既に嫌われているに違いないし。


塾に通う理由は2つ。

狙っている大学に行く為。

先生に会うため。


前者として塾に行くことに決めたのは15時になってからだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

だめなのしたい ゆめのなか @gogonoyume

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ