第10話
28歳男性の力は私の非力では到底適わなかった。
両肩を押さえられ、静かな優しい声で「やめなさい」とだけ言われた。
私はそれ以上先生には触れなかった。触れられなかった。
「ごめんなさい…わたし…」
嫌われても自業自得なのは分かる。
馬鹿なことをしたのも分かる。
ここまでしておいて本当に馬鹿だけど、嫌われたくなかった。
泣いている私を先生はそっと撫でて言った。
「今日のことはなかった事にしよう。もちろん他言はしない。俺と松木は元の通り先生と生徒の関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。お前は少し疲れているんだ。勉強は体力を使うんだぞ。精神的にも不安定になっている。まずは家に帰って身体を休めなさい。」
私の肩を抱いて「先に出なさい。」と部屋から送り出してくれた。
ホテルから一緒に出て知人に見られたら不味いし、未成年にお金を払わせることもできないと思ったのだろう。
私が全部悪いのに先生は優しいから。
私はホテルを出て自宅に向かった。
なんだかどっと疲れていた。
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