第7話【走る固定観念】

僕は走っている。




この場合、前文に対して多くの人が

当たり前に思うであろう疑問。



“なぜ?”



この疑問に対して僕が、

当たり前の様に言えるであろう回答。



追われているから



さて、ここまで目を通した、君の脳には

なんらかの場所で、なんらかの服装をした、

なんらかの男が、なんからの速度で

走っている映像が、映しだされたであろう。



そして「追われている」と言う理由を聞かされた君は

走っている僕の後ろに

新たな登場人物を付け足したはずだ。



いや、付け足している。



だか、しかし、どうしてだろう

ここまで説明はしてみたものの

僕と君の間には、数多くのズレがある。



まぁ、それを明確に説明しない、僕にも欠点があるのだが、明確に説明した所で、今の僕の状況が、万全の流れへと逆流するわけでもなく、助け舟を要求した所で、それは泥舟であって、それに乗り込む義理もない。




そう、いまの君には

何もできないのだから。



はっきり言おう、君は無力だ。



無力な者に対して

無意味な助けを求めるほど

僕は愚かではない。


君と僕の間にあるズレは

これからを語る上で

大変な#足枷__あしかせ__#になる

そんな足枷をつけられたら

それこそ難儀、いいや迷惑だ。


僕は、固定観念というやつが嫌いだ。



固定観念でしか見れない人間ほど、最悪な人種はいない、すべての物事を、自分の腐れきった尺で解釈し、あまつさえ、その事を棚に上げ、それに腰をすえる姿は、見ていて実に不愉快だ。いっそ首でも吊って死んでほしくらいだ。



君には、いますぐ固定観念を捨ててほしい

いや、僕だって鬼ではない。



自分の思考回路から生み出される

自我の無い生理現象が

そう易々とコントロール出来るような事

ではないのは、把握している。



でも、最低で100あるうちの83ぐらいは捨ててほしい

そうすれば、君が僕に行為を持ったと断定し

万全の体制で助けを求める事ができる。



足枷は

小さければ小さいほど動きやすい。


そして、ここで、一つ言っておこう





僕は、男じゃない。



女だ。




もう一度、言おう。



君には、固定観念を捨ててほしい。




そして僕を、助けてほしい。

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1分間の深呼吸 公園遊児 @kouenyuz

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