金色の階段、銀色の夢

黄金頭

第1話バルバロイ、そして雄牛の行列

 死に向かう人々の行列。反抗という力を失った魂のあつまり。細切れにされる運命。すべては予定調和。飽和した人類。数を減らすことが課題。そして選ばれた生贄たちが、列を作って祭場に向かう。冷たい視線が彼らを射抜く、射抜かれる彼らはなにも感じはしない。もう、なにも感じるすべはないのだ。

 ニュー・デリア・キュート・キュートの処刑場に彼らは並んだ。深く掘られた穴に首を差し出した。円形にならんだ首の両端から、シスター・ハート・ハートがチェーンソーに火を入れる音が聴こえた。シスターはたちは前だけを見て、下向きにチェーンソーをぶら下げて走った。死んだものは声を出さず、死にきれぬものはうめいた。うめくものにシスターはとどめをさした。あたまに袋を被ったものが出てきて、すべての頭と胴体を深く掘られた穴に蹴り捨てた。1622回目の儀式は終わった。

 バーベーキュー・ピジンはまだ若くて、若すぎて、なにごともしらなかった。1622回目の儀式を姉のソウルマター・ピジンに肩車されて見ただけだった。そこには厳然たる現実があって、なにも言えなくなった。ソウルマターは「大丈夫?」と声をかけ、バーベキューは「うん」と答えた。その日から、バーベキューは異端者への道を歩み始めたのだった。

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