第2話 花ひらく。
遠くから美しい歌声が聴こえる。喜びと悲しみが入り混じる道中で、ある親子が抱きしめあう。私はこの親子を知っている。今はもう大きな背中をしている子どもだが、数年前までは、私に寄りかかり泣いていた。暗くなるまでいるものだから、親が探しにきて、手をつないで帰っていった。いつもひとりぼっちで歩いているなと思っていると、いつの間にか誰と歩いていたり、その誰かと離れて歩いたり、またひとりで歩いたり。
私の子どもたちも、そろそろ大人になるころだ。太陽からの知らせを待ち、第一子がゆっくりと手を伸ばした。
太陽からの後押しもあり、子どもたちが次々と大人になっていく。しだいに私の裸は美しい姿に囲まれ、ひとつの大きな桜となった。
さあ、人間よ。私をご覧なさい。この美しい姿を、子どもたちの成長を。
私の声が
このステージに立っているのは私だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます