青年の成長を、力強くも繊細な筆致で見事に描き切った感動の物語です。
3個の★では到底お返しできないほど、素敵な作品を読ませていただいたという有り難さが果てしないです。
盛大にぶちかまされるイルカショーの描写がとにかく素晴らしいのです。迫力のある生命の煌めきが、躍動する一文字一文字に強く息づいています。
水族館で実際のショーを何度も見てきたはずなのに。主人公蒼衣くんの目線を通して描かれる文字の中のイルカショーのほうが、実物の何倍も輝いて見えました。臨場感などという言葉ではとてもいい表せない。胸に迫ったのはただ純粋な感動でした。
どうしてこれほどまでに胸を揺さぶられたのか。読み進めると、その理由が分かります。それが分かった今なら、実際のイルカショーも敬意を持ってもっともっと楽しめると、自分の中の世界が広がっていくのを感じました。
こういう気持ちこそ、お仕事小説を読む真髄ではないかと思い至り、胸を打たれました。お魚欲しくて芸をしてるんでしょ、と思っていたこれまでの自分を引っ叩いてやりたいっ!!
完結を待たずにレビューをしてしまうことをお許しください。微力ながらも全力で、「働くヒト」小説コンテスト応援の意を込めて。
この作品は、少々プライドが高いゆえに就職活動に失敗してしまった主人公がドルフィントレーナーになるという物語です。近年、せっかく大学を卒業しても就活で躓きニートやフリーターになるという方が多いと聞きますが、だからこそこの作品に共感できる読者さんは少なくないと思います。
最初は小馬鹿にしていた仕事、ドルフィントレーナーにのめり込んでいく様子が良い意味で生々しい。主人公の中にある葛藤と、それを押し流すような感情の流れ。そして、主人公が変わっていく様子が読んでいて凄く気持ちがいい。ドルフィントレーナーというかなり特殊なお仕事をテーマにしながらも、芯は王道なのでどなたでも読み易いと思います。
それから、この作品の作者さんは描写がとんでもなく上手い! 美しいだけではなく、冷たさと息苦しさというある種の残酷な一面を持つ海やプール。それから愛くるしくも人間など簡単に吹き飛ばす力を持つイルカ。どれもがまるで映像を見ているかのように思えます。
そして、何よりも面白い! 続きが気になって仕方がない。レビューを書いている現在のランキングが信じられない、どうしてこの作品がこんなに下にあるの。埋もれた名作とはこのことか。
とにもかくにも、一人でも多くの読者さんに見て欲しいと思えた名作です。最後は本当に感動出来ます!
水族館って癒されますよね。
イルカ、可愛いですよね。
ドルフィントレーナー。
ショーの本番だけを見てるとまさに花形! な職業ですよね。
この作品ではそんな彼らの知られざる舞台裏が、ひとりの青年の目を通して語られます。
だけど単なるお仕事紹介ではないのです?
主人公蒼衣の滲み出る「ハイスペック就職浪人生」感。
まさかの挫折からの、目覚める情熱と、イルカたちへの想い。
次第にチームの一員として認められていく喜び、高揚感。
そしてまた、大きな試練。
蒼衣の心情の変化と成長を、自然と追体験できる物語展開に、ドキドキワクワクが止まりません!
これぞ、お仕事小説の醍醐味!
そしてこの作品、イルカたちとショーの描写が格別なのです。
イルカはやっぱり賢くて可愛い!
だけど人間には決してかなわない圧倒的な力強さには、時に不安や怖さも感じさせます。
ショーの様子は臨場感に溢れ、煌めく水しぶきが見えるかのよう。
かっこいい!
5月27日現在、物語はクライマックスです!
蒼衣とビビの絆の物語、最後まで応援しております!