第4話

「アリーナ。酒飲んだか?」


まだ夕方。俺とあったのは昼近くだから、飲んだとしたら朝が昼かしか有り得ない。

まさかそんな時間から飲み歩くような奴じゃない……


「……あのね、私騙されてたの」


「んん?」


突然語り出したアリッサに戸惑いを隠せない。


「ある人とパーティーを解散した後にね、パーティー組む約束してたチームの所に行ったらね、『あの女、約束がほんとだと思ってんだぜ!』っていう会話が聞こえてね……私バカだけどね、流石に騙されたんだって気づいてね、あの人に悪いことしちゃったなって……」


そう言って、アリッサは泣き出した。


ちょちょちょちょーい! 泣かれても僕は困るんですけど? 僕はアリッサを慰めるために存在してるわけでもなければ、腕枕になるために生きてるわけじゃないんですよ。

……ってか、ある人って僕のことだよね? 流石に申し訳ないって自覚してたのか。


その時、ある考えが頭に浮かんだ。


「……アリーナ。その人に謝った?」


「ううん。謝ってない」


若干、鼻声になっているアリッサはそう返した。てか、もうアリッサじゃん。前より甘えてくるバージョンのアリッサじゃん。なんなの? バレてないと思ってんの? ばれてるよ、君。


「じゃ、その人に謝らないとね?」


僕はなるべく優しい口調でそういった。聡明な方はお気づきであろう。僕の作戦、それは……『どさくさに紛れて謝らせて優越感に浸ろう大作戦』である。


僕の作戦通り、アリッサは素直に頷いた。


「うんうん。じゃあ、謝らなきゃいけない人の名前は?」


作戦通り。ここでチェックメイトだ。


「………………ヘンネルさん」


「仕方ない許し……んんんんん?? ヘンネルさんんん?!」


誰だそれは。ヘンネルさんって。え、僕じゃないの?まさかほんとに、アリッサじゃないのか? たまたま似た境遇の人が、たまたま似た顔だったってことか?


「……そうだよね、謝らなきゃね。わたしのはじめてのひとだもん。ありがと、バーベル」


「は、初めての!? え、初めての? え!?」


初めての人なんすか? え、ヘンネルさんが。……いやいや、別にこの子はアリッサじゃない可能性もあるし。てか、アリーナって言ってたじゃん! そうだよ、そうだったんだよ。そうそう。


「うん。ちょっとその人のところに行ってくるね!」


「え、今から? ……ですか?」


「うん! 早くしないとね!」


「あ、うん。いってらっしゃい」


矢のような速度で、部屋の中を出ていった#アリーナ__・・・・__#。


「…………まじすか」




それから小一時間考えてみた。何をかって言われたら、アリーナがアリッサではなく、ガチでただの似た境遇の似た顔の人だったって事。と、馬鹿なアリッサからは想像出来ないが、俺をはめるための策略家のどっちかだ。


前者の方が、何となくだけどしっくりくる。だって、あのアリッサだ。……いやでもまてよ。アリーナもさっきお金を数えるの相当苦手そうだったじゃないか! まるでアリッサみたいに。いやでも……アリッサが、俺を騙してなんの得があるんだろうか。ないな。

いやでもしかし、あれがアリッサだとしてヘンネルさんの元へと本当に行ったんだとしたら……初めてってなんなんだよ! え、初めてあげてるんすか? ヘンネルさんに? アリッサが? いや、アリーナかもしれないけどさぁ。


なんか訳分からんことになってきた。一旦休憩。



よし、頭の中の整理OK。


・アリーナとかいう別の人説

・アリッサがヘンネルさんに初めて奪われた説

・アリッサが俺を何らかの理由ではめようとしてる説


ん? 二つ目の意味がわからない? 僕もわかんないよ! いや、だからさ、アリーナがアリッサだとして、さっきのヘンネルさんに初めてがどうこう…ってのが本当だとしたら、なんか分かんないけど不本意だという説でして。


わからない? なら結構。


「はあ……」


思わずため息がこぼれてしまった。なんで僕が、アリッサの事を気遣わなきゃいけないんだよ。てか、ここで寝ててもいいのかな? いいよね? 別に。誰が文句言うわけでもないし。寝よ。余計なことを考える前に寝よう!




ーーーーーーーーー


おっす。作者っす。

特に書くことはないっす。お休みっす。

おはよっすか?

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生産職と戦闘職 〜恋は複雑でして〜 @tomato4444

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