午後三時の物語
夜野 舞斗
さあ、何から手を付ける?
私は、鳩時計が三回鳴いたのに、耳を傾ける。ゲームしていた手を止め、食品庫をのぞき込む。
あったあった。お菓子を適当に取り出していく。
「……そうだ。」
物足りないと思ったら、飲み物がないのだ。飲み物のないおやつタイムなど、肉の入っていない湯豆腐だ……伝わりにくいかな。
私は、コーラを冷蔵庫から運ぶ。
ポテチ、クッキー、チョコボール、マシュマロ、キャンディー、果汁グミ……役者が揃いすぎた……
「ふーん!よしっ!」
ポテチの袋を勢いよく開けた。ポテチを手に取り、味わい始める。味は、コンソメ。そうそう、この塩加減と濃厚さがたまらない。一つ一つ、油の匂いがして、食欲が進む。
パリパリと音を立てる。この合間にコーラをコップに注ぐ。がぶ飲みもいいのだけれど、それでは甘い香りも楽しめない。
もう一枚……あれ、もう無くなってた。次はもっと、大きいのを買っておくべきか。
「えっと、バターと卵、今度、うちでも作ろうかな。」
クッキーを口の中に入れる。主張する甘味。バターが口の中いっぱいに広がる。
ポテチよりも、手軽に食べれるところがクッキーのいいところだ。
チョコボールのふたを開け、一粒取り出す。チョコの苦みも伝わってくる。そう思っていると、甘みがやってくる。次は二粒。何故か、とる量が多くなっていく。
「えっと、このマシュマロは甘いのかしら?」
マシュマロを楽しむ。口の中が柔らかい感触に浸る。これが病みつきになってしまうのは、この世の掟なのかもしれない。
真っ白い宝玉も、無くなっていた。完食するのが、早いな。私
「キャンディーはミント味ね。」
ミントキャンディー。苦手な人も多いかもしれない。歯磨き粉の味がする……と思う人もいるかもしれない。しかし、私にとっては口の中を涼しくする魔法の食べ物としか思えない。
甘くない?それは違うぞ。舐めていると、さわやかな甘みが口に入り込んでくる。私の口の中で、水色の掃除屋さんは溶けていった。
「最後になったと……」
最後のグミを手にする前に、ここでコーラを飲む。まだ炭酸は抜けていない。甘味と刺激が私を襲う。これが、最高に気持ちいい!
とうとう、私はグミの袋を開ける。果汁。このグミは、たくさんの果物が楽しめるようになっている。
リンゴ。ぷにゅぷにゅで、甘いだけを追求した味。
ミカン。酸味も入って、この味が甘さをさらに押し上げる。
ピーチ。小さな甘味が、私を愉快にさせる。幸せを運んでくる。
「ふー。おいしかった。」
毎日の小さな幸せ。美味しいものが、世界を平和にする。今日の夕飯、何にしよう?
いや。今日の四時のおやつ、何にしようかしら。
午後三時の物語 夜野 舞斗 @okoshino
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます