TIME〜残された時間の中で〜

有楽悠

一、記憶喪失


「ここは…?」


俺は


「一体どこなんだ…?」


見たこともない浜に打ち上げられていた


「一体……」


見たことのない海


「一…体……?」


見たことのない……『空』?


「あれ?」


それだけじゃない

見たことのない砂

見たことのない……鎧?

俺は鎧を着ているのか

何故?

何故……


「俺は……」


俺は…

『一体誰なんだ?』


「記憶……喪失………?」


記憶はどれだけ時間が経っても浮かばないが知識だけは泉のように溢れ出て来る

そしてそれをパズルのように揃えていくと


「俺はどうやら記憶喪失の…男のようだ」


自分の状況をどうにかまとめることができた

自分が今分かっているのは記憶喪失という事と自分が男であるという事だけだった

いや、もう少し気を張って探せば他のことも判るかもしれないが今はとりあえず


「俺の身を隠せる場所を探さないとな」


夜までここにいてはいけないと自分の生存本能が語りかけてくる

この鎧のようなものが何か分かるように鏡も欲しい

こんな場所に何時間も留まる意味などなかった

一抹の不安と希望を感じながら俺は押し寄せる波から逃げるようにして走り出した


「この鎧…!」


やはり走るとなると鎧が当たって痛いのだろうと思っていたが案外というべきか

一切の痛みはなかった

いや、それが鎧の形をしていなかったからだろう

どちらかと言うとパワードスーツに似たような服

その証拠に今俺は凄まじい速度で道を走っている

具体的に言うと車に負けずとも劣らないレベルの速さといえばその凄さが分かってくれるだろうか


「F3517」


思わず口がそう呟いた

その直後

自分でもなんの単語なのか疑問に思う

今までの全てがヒントであったと言うのに


そして


「……」


その数分後

先ほどまでいた浜に謎の武装部隊がとある『モノ』を探していた

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