教師の鑑

真人「あの、すみません。カフェラテが1つ多いです」


店員「あ、大変失礼しました」


シュウ「いえいえ、全然気にしていないので大丈夫ですよ」


二コリとほほ笑むシュウ

(こいつを見てると何故なのか、腹が立つ)


クレープが運ばれてくるまでの間、転校初日はどうだったとか、涼弥はどういうやつだとか、そんな話をしていた。


店員「お待たせしました」


クレープが運ばれてきた。


真人「意外と大きいな」


真人がスプーンを使ってクレープに乗っかっているアイスを食べる動作をみて、シュウとカエデがそれをまねる。


シュウ「これがクレープか」


横に座るカエデを見ると、カエデも驚いていた。


カエデ「おい、しい」


真人「来てよかったろ、俺もお前たちを連れてきてよかったよ」


シュウ「うん、美味しいよ」


1時間ほどして店をでた。日は沈んでいき、そろそろ空気が冷たくなってくる。

店の入り口にはもう誰も並んでいなかった。


真人「俺と涼は電車で帰るんだけど、シュウとカエデちゃんも電車に乗るのか」


シュウ「僕たちは電車には乗らないんだ」


真人「まさか一緒に住んでるってわけじゃないよな」


シュウ「いや、まさか」

カエデ「ありえません」


二人の声がかぶさる


真人「そうだよな~」


シュウ「今日はありがとう、楽しかったよ。」


真人「ああ、また明日学校でな」


「じゃあな」


涼弥と俺はシュウ達と分かれて駅に入る。


シュウ「真人、僕は君にも興味がでてきた」


カエデ「分かりません」


シュウ「まだ分からないだろうね」




翌朝、学校へは遅刻せずに着いたのだが、一人、朝のHR(ホームルーム)が終わっても学校へ来ないやつがいた。

宏太だ。


真人「涼、宏太にLIMEしたか」


「ああしたよ、既読すらついてない」


真人「まさか宏太が16人目なんてことは」


「そんなこと考えたくない」


近くの席に座っていたシュウが話に入ってくる


シュウ「なに、どうかしたの」


真人「宏太と連絡が取れないんだ」


シュウ「僕たちが捜査していることに関係がありそうだね」


真人「分からないけど、心配だからあいつんち行ってみる」


シュウ「僕も行くよ」


真人「ありがとう」


「俺、先生に行ってくる」


真人「頼む、校門前で待ち合せな」


机の上に置かれた教科書をバッグへ入れる

隣の席で静かに本を読んでいたカエデが声をかけてきた


カエデ「どこかへ行くの」


「宏太と連絡が取れなくて心配だから家まで見に行く。シュウも行くけど、カエデ、もついてくるか」


カエデ「行かない」


言葉はそっけないけど、どこか親しさが込められている感じがした。

カエデはそのまま本に目を落としていたが、こちらのことが気になっているのは分かった。

(確かにいかない方がいいかもしれない、もしかしたら俺たちは危険な場所に行くことになるかもしれないから)


鞄を持ち急いで職員室へ走る

カエデを残した教室に1時間目の国語の教師が入って来た。

キーンコーンカーンコーン


先生「授業始まるぞー。さっき鈴野が走っていったけど、何か知ってるひといるか」


カエデが手を挙げる



先生「転校生か(カワイイ)、どした」


カエデ「鈴野さんと真人さんとシュウは大切な用事があるので欠席します」


先生「なんだ大切な用事って」


職員室前

「1年C組の鈴野涼弥です、田代先生にお話しがあってきました」


田代先生「鈴野、どうした」


右奥の方に担任の田代先生のデスクはある。

回転する椅子に座ってパソコンをたたいていた先生の前まで行く。


「失礼します。先生、俺と真人とシュウで宏太の家に向かおうと思います」


田代「行っても意味ないぞ、親御さんと連絡取れているが、朝起きたらすでにいなくなっていたそうだからな。それに警察にもすでに連絡してある」


「それでも、俺たちじっとなんてしていられません」


田代「そうか...お前たち仲良いもんな」

少し考えるそぶりを見せた田代先生は次の一言でこう言った。


田代先生「行ってこい」


先生「ちょっと田代先生」

向かいに座っていたおばさん教師が口を挟む


田代先生「こいつらにとって今一番大切なのは、勉強なんかではないんですよ」


「ありがとうございます」

涼弥は頭を深くさげて職員室を後にした。





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悪魔に憑かれた俺は魔王軍の救世主となる!? ノつき @notukisanzukuri

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