稲川翔太郎は題名が書けない

稲川翔太郎はライトノベル界に突如として現れた天才である。話の構想から世界観、魅力溢れるキャラクターは読者の心を鷲掴みにし、初速の売上もここ最近の記録を塗り替え、圧倒的差を付けてトップに躍り出るという快挙を成し遂げた。
そんな輝かしいスタートから2年後、初期作品は惜しまれつつ最終回を迎え、次作の期待が高まる中、翔太郎の担当である八坂野幸助は、今日も逃げ出した翔太郎を捕まえる。
完璧に思われる翔太郎だが、彼には致命的な欠点が1つだけあった。
彼は、小説の顔である題名が書けないのである。