第3話 運の無い沙々ちゃん

「亘さんさー。キモくない?」

そんな声が聞こえたのは私がトイレにいる時だった。


後から入ってきた数人の女子が鏡の前を陣取っているのは目に見えていたから私はスマホを出してTwitterを見始めた。


そんな時にこれだ。


「ぶりっ子過ぎない?」

「まじそれ。」

「ってか何より桔平のこと独り占めしてんのが許せない!」


…知らねぇわ

告ってきたのあっちからだし。


はー…

女子…ってか人間がめんどくせえ


勝手にイメージ付けて思い通りにならなかったらガッカリして

自分の思い通りにならなかったら人の悪口言って


ドイツもコイツもほんとクズばっか


ガチャ

「ごめんね?桔平くんはみんなと仲良くしたいみたいだよ?」


そう言って手を洗ってからその場を後にした


別に喧嘩したい訳じゃないから穏便に

でも私に喧嘩売ったらあいつとは仲良くできないよ?っていう牽制(けんせい)。


これで分かってくれる人間なら良いんだけど




そんなことを思いながら教室に戻るのも億劫になって屋上に行こうと思ったとき、誰かにぶつかった。


「ごめんなさい!」


ぶりっ子って周りが言うのもあながち間違ってないと私も思う。


咄嗟に学校だったら謝罪の言葉も出るし、申し訳なさそうな顔もできるし。


ぶつかった相手が何か私に差し出した。


「…っ!」

言葉にならない叫びが今響いている。


今さっき見ていたTwitterの画面だった。


しかも私の好きなBL漫画家のツイート画面だった。


誰にもバレないように鍵垢だったのに。

今まで隠してたのに。


まだバレたのがほかのクラスの地味な女の子とかだったらまだニコッって笑って済ませれたのに。


よりにもよって隣の席の吉木だった。

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尚久くんは時々可愛い @mitumame0209

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