episode1
WIZARD本部にて
「レオ君、ちょっと話があるのだが」
大尉に呼び止められた1人の男。深い青色の目に少し焼けた肌の似合う高身長の男だ。黒い髪を短く刈りあげている。
「はい、話とは何でしょうか?」
「君はいつも任務に向かうときに1人だったよな?」
「はい、そうです」
「うむ、それで君に相棒を用意した」
「相棒…ですか?別に必要ないですが」
「君の腕は買ってるが、もしもの時に1人は大変だからな。2人のほうが魔女を倒しやすいし、任務もはかどるであろう。今から君の相棒を連れてくるから待っていてくれ」
「‥わかりました」
明らかに嫌なのを表情にだすレオに対してさすがに大尉も苦笑する。
「シンディ君ちょっとこっちに来てくれ」
「はーい!」
大尉に対して軽めの返事をした人物が小走りでこちらにやってくる。その人物を見た瞬間にレオは目を見開いた。
銀髪に眼帯をした見た目10歳くらいの少年がそこには立っていた。シンディと呼ばれていた少年はそんな見た目だがしっかりとWIZARDの服を身に着けていた。
「レオ君、この子が今日から君の相棒となるシンディ・フォレスト君だ。よろしく頼むよ」
「大尉…ちょっと待ってください。確かに彼はWIZARDの軍服を身に着けています。しかし彼はまだ小さすぎます。年だってまだ10歳くらいにしか見えませんし…」
「おい、今なんて言った?」
軽く返事をしていたその声で出来る限り最大限の威圧のような声でシンディは話し始めた。シンディがレオのほうを睨みつけている。
「え?」
「僕は男じゃないっ!!それに歳だってもう15だぞ!」
彼…いや、彼女はレオの方を睨みながら瞳を潤ませる。彼女シンディ・フォレストは女であったが見た目が男らしく、よく男に間違われる。そして今回も見事に間違われ、レオに地雷を踏まれた。
「まじかよ…」
2人の間を嫌な空気が包む。そこを少しでも和ませようと大尉が口を開いた。
「と、とにかくレオ君、シンディ君2人とも今日から相棒なんだから今日から頑張ってくれよ」
上司であるはずの大尉がなだめているという中々ない状況を作り出した2人。
これがWIZARD史上最強コンビと呼ばれることになる2人の出会いだった。
WIZARD 古月美葉 @hurutukimiyo
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