“終わり”に屈せず、歩み続ける強さ

インターネットが発達し、物語に触れやすくなった昨今。読者はより多くの”終わり”を見届けているような気がします。必然、その重要性にも目が向けられ、今では”終わり”の在り方は作品の最重要な要素にまでなっていると言えるでしょう(私もハッピーエンドタグを漁ったりします。逆もまた然り)。

この作品は、そんな世の風潮を知った上で蹴っ飛ばすが如く、”終わり”の持つ圧倒的な力に真正面から向かい合った作品です。

たとえ1つの物語が終わりを迎えても、人は前へと進めるのだ。だから足を止めることはしない。そんな強さが、いつしか次の物語を生み出している。物語は絶えることなく繋がり続け、より大きな物語として、新たな終わりへと辿り着き。そして「よし、これなら終わりを許してやろう」と納得出来る結末を迎えるまで、歩みを止めることはないのだろうと信じられる。そんな強さが『落花製魔法少女』という作品の魅力であり、延いては『さちはら一紗』という作者の魅力である。私は、そのように強く感じるのです。

この物語は、タイトルから分かる通り『落下』を題材の1つとしています。終わりに挑み続ける強さを持つ作者が、落下という「終着点に辿り着くまで加速し続ける行為」を題材として何を描いたのか。このレビューを読んだ方がそれに興味を抱いてくれることを祈りつつ、ここを着地点とさせて頂きます。


……『落花製魔法少女』はいいぞー!!!(地下からの叫び声)

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