ある日突然、母のように慕っていた師から、誕生日プレゼントと称して店を丸々譲り受けることになった内気な少女ニーア。
腕は確かなのに、その性格ゆえになかなかうまく商売が立ち行かず、店番をするのにも頭を悩ませる日々を送っています。
そしてそんなニーアに更なる難題が降りかかり……
それは引っ込み思案なニーアにとっては、大きな大きな決断。
でもそれをやり遂げた明日の彼女は、きっとちょっぴり、自分に自信がついたんじゃないかな。
そんな風に、この先の彼女や彼女の周りを、とても微笑ましく想像することができる素敵な物語でした。
温かくて優しくて。
読後はきっと笑顔になれます。
是非読んでみてください。
人付き合いが苦手だけど魔道具の設計/修復/運用が得意な女の子が主人公です。派手な戦闘シーンや、強烈な落差の葛藤などは使わずに、等身大の主人公が地元の街で魔道具屋を経営して生計をたてることに焦点を当てています。
経営となれば、どうしてもお店の赤字やらなんやらを気にする必要があるため、愛想笑いひとつできない主人公にとっては無理難題になってしまいます。しかし魔道具職人としての技術はたしかなので、物語の後半にて突破口が開かれます。
花火です。
この世界では花火が失われつつある技術なので、魔道具屋を営む彼女にとってチャンスでした。
きっかけを作ってくれたのは町を出て冒険者になった友達です。友達はタフで人付き合いも上手で嫌味なところもありません。おまけに冒険者仲間の素敵な彼氏を連れてきます。
主人公は、友達にちょっぴり引け目を感じてしまいます。
しかし読者の皆様、心配なさらずに。ちゃんと主人公の短所を補える素敵な幼馴染の男性が出演します。少々堅物な男性ではありますが、誠実の裏返しでもありますので、期待していいですよ!
読み終えたので、レビューを書き直します。
派手さはないですが確かにそこにお話はあって、そして心をかき乱すのではなく肺の中のあまり良くない息を吐かせてくれるかのような。
そんな読んでいてとても落ち着くお話でした。
大きな事件もなければ、大きな環境の変化もない。周りから、そして読者からもそんな風に見えます。お話として弱いかもしれません。
ですがフードを深く被るニーアにとっては、大きな出来事。
ネタバレになるので深くは書けませんが、これでも彼女にとって世界が変わるような一時だったと思います。
このあとどうなるのか、色々と想像できるのもまた楽しいですね。
本当にこの世界のニーアのある日常をくり抜いたお話、そういう感じです。
もっともっと魔道具について、世界について、そういう背景が見えればさらに面白く楽しいものになるかもしれませんし、さらにニーアが魔道具のことをどれだけ好いているのだとか、そういうところも見えればなお良かったかもしれません(個人の好みです)
僕はとても楽しめたので、星3つとさせていただきます。
面白かったです。ありがとうございました。