空白行をうまく使おう
一般書籍(紙の本)の場合は、行間を開けません。みっちり詰めて書いています。でも、それをカクヨムでやると、私は読みにくいんじゃないかと思っています。
本と違って、パソコンでもスマホでも、カクヨム作品を読む場合には画面をスクロールしなければいけません。すると、行間を空けないで、ぎっちりと詰めて書かれている文章は、スクロールしたときに、どこを読んでいたか、見失いがちなのです。これは読者にとって、とてもストレスになります。
かといって、携帯小説のように、一文、一セリフごとに行間を入れるというのも、カクヨムの場合は読みにくいのです。携帯小説のフォーマットよりも、カクヨムは行間が一般書籍に近いので、一文ごとは空けすぎになってしまう。
私は、数行を一段落にまとめて、一段落ごとに空白行を入れるという方法に、今のところ落ち着いています。ここの文章が、まさにそんな感じですね。
で、セリフの場合。それが長セリフか、それとも掛け合いのようなセリフの応酬かにもよるのですが、私は長セリフが続く場合には、セリフの間に空白行を入れています。一人のセリフが5行ぐらい続き、次の人のセリフが5行ぐらい続く、という場合ですね。
対して、一言セリフの掛け合いのような場合には、ぎっちり詰めちゃいます。
【例文】
「あたしゃ、お前さんに申し訳なくて」
「とんでもねぇ。手を合わせるのは、こっちのほうだ」
「いいんだよ。今夜は、たんと飲んでおくれ」
「……いや、よそう。また夢になるといけねえ」
これは芝浜(古典落語)のサゲ部分ですが、どうですか。ちょっとすかすかじゃないですか。これだったら、
「あたしゃ、お前さんに申し訳なくて」
「とんでもねぇ。手を合わせるのは、こっちのほうだ」
「いいんだよ。今夜は、たんと飲んでおくれ」
「……いや、よそう。また夢になるといけねえ」
ぐらいのほうが読みやすいと思います。
「行間をどのくらい空けるか問題」は、重要だと思います。これだけで、読みやすさが全然変わってくる。「演出」だと思ってください。あなたの小説(脚本)を演出するテクニックです。
私は、基本的に数行をまとめた一段落ごとに空白行を1つ入れ、大きく話を区切るところでは2行や3行入れる、というようにしています。上のほうで、2行の空白行を入れていますよね。すぐ下にも2行の空白行を入れています。こういう感じで、ときどき大きめの空白行を入れるもの良いと思います。
ですから、作品の雰囲気に合わせてください。ぎっちりと詰めて、文学的な重い雰囲気を出すも良し。軽いコメディ的な作品だったら、あえて行間を空けて、明るい雰囲気にするも良し。
また、段落はつくるけれども、空白行を入れないこともありです。
今、書いている、こういう感じですね。ここの文章は、段落ごとの空白を入れていません。こういう書き方もあります。また、段落ごとの空白行は入れないけれど、大きく話を区切るときに空白行を入れる、という作品も多いです。
選択肢は、たくさんあります。
何が正解ということもありませんが、「行間」についてしっかり考えることは必要だと思います。どんな段落変えが読みやすいか、空白行はどのくらいの頻度で入れたらいいのか、ご自分の作品に合わせて、最も適した演出を目指してください。
最後に、私が勝手に選ぶ「ベスト行間演出作品」をご紹介。
「攻城大陸」ここのえ九護さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882480403
内容も面白いですが、ルビとか、空白行のリズムとか、演出部分がすばらしい。読みやすいし、メリハリが効いている。文学作品には向かない演出ですが、アクションとか、ラノベ系ファンタジーとかは、お手本にすべき作品じゃないかと思います。
内容のレベルに追いつくのは一朝一夕には無理ですが、演出なら、頑張ればすぐに追い付けます。皆さん頑張ってください。
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