シナリオ版SW(スピリットワーク) 第2章・金色の想い

池部九郎

第1話

●シーン1・博物館〜収蔵品管理室(朝)



博物館の全景。


字幕『千葉県立博物館』


博物館内の一室に『収蔵品管理室』の看板……中では前之原が新聞を読み、小早川が爪の手入れをしている。

時計が9時を指す。


館内放送『業務時間となりました。みなさんのお給料は大切な県民の血税で賄われております。一分一秒を無駄にしないで働きましょう』


途端に働き出す前之原と小早川……白島がお茶を持って来て、


白島「お茶が入りました〜」


お茶を配る白島……と、電話が鳴って小早川が取る。


小早川「はい、収蔵品管理室です……(嫌な顔をして)はい……室長、お電話です」


前之原、電話を取って、


前之原「はい……おお!……うん……うん……そういう事なら白島くんが適任じゃないかな?」


前之原、白島を手招きして電話を押し付ける。


白島「?……はいお電話変わりました」


と、尾上が焦った声で、


尾上(電話)『シラトリ、助けてくれ!』

白島「……尾上さん?」



●OP〜メインタイトル


メインタイトル『SW(スピリットワーク)』



●シーン2・博物館〜会議室(寸刻後)


会議室の看板……部屋の中から白島の声。


白島「キーホルダーを100個作る〜!?」


会議室の中、ダンボールを前にうなだれる尾上と有田。2人を前に、白島・前之原・小早川があきれ返っている。


白島「何でそんな事になっちゃったんですか〜!?」

尾上「いやね、保存していた貝塚の貝を一部破棄する事になってね……で、ついウッカリ『勿体無いからキーホルダーでも作って子供に配ったどうですか〜?』って言っちゃいまして……」

白島「あっちゃ〜〜」

尾上「したら課長が、『お、いいねえ! でも予算がないから君たちで作りたまえ。最近発掘がないから暇だろ〜?』……で、このザマです」

白島「小早川さん、どうぞ」

小早川「地方公務員の心得その②、余計な提案は一切するな!」

尾上「……お説、ごもっとも」

白島「身から出た錆ですよ、尾上さんが自分でどうにかして下さい!」

尾上「頼むシラトリ、明日小学生がF34貝塚の見学に来るんだ! 2人で100個は幾ら何でもキツイ!」

前之原「……まあ、学術振興は学芸員の業務の一つだし、手伝ってやってはどうかね?」

小早川「白島さん、よろしくね。私は通常業務があるから」

白島「えっ!?」


小早川、速攻退出。白島が前之原を見ると、前之原は震える手を見せて、


前之原「手伝ってやりたいのは山々じゃが……歳はとりたくないのう」

白島「えっ!?」


前之原も逃走。


白島「えーーーっ!?」


と、尾上が白島の肩を叩いて、


尾上「頼むよシラトリ、昼飯と 晩飯はおごるからさあ」

白島「じゃあ、やりま〜〜す!」

尾上「……お前、立ち直り早いな」



●シーン3・博物館〜会議室(午前)


分業でレジンキーホルダーを作る白島・尾上・有田。


尾上「シラトリ、思ったよりも不器用だな」

白島「人に手伝わせといて何言ってるんですか!? あと、私の名前はシ・ラ・シ・マです!」


と、白島が尾上の手元を見て、


白島「あ、上手!」

有田「班長、こういうの得意なんですよ。俺も昔もらった事ありまるっス」


有田、土器の破片のチョーカーを見せる。


白島「尾上さん、もしかしてホモ?」

尾上「ちがーう!」

白島「本気で怒らないで下さい、冗談です」

尾上「……」

白島「でも尾上さんてモテなさそうですよねー、挙動不審の変態パンツだし」

尾上「……シラトリは人のこと言えんのかよ?」

白島「シラシマです! 私はモテますよー、彼氏だって何人もいましたし……気がつくと自然消滅してるけど」

尾上「ちょっと待て! お前、そんな軽いノリで男と付き合うのか?」

白島「何ですソレ、失礼な!」

尾上「じゃあ、お前の付き合ってるの境界線てドコだよ?」

白島「もちろん、手を繋いで歩く事です!」

尾上「……」

白島「その バカにした目は何ですか!?」

尾上「だったら、そのうち進展があったのは何人だ?」

有田「班長、それ以上はセクハラっスよ」

白島「有田さん、グッジョブ!……フフフ尾上さん、今日は高いものおごってもらいますよ〜〜」

有田「……白島さん……それ、恐喝っス」

白島「大丈夫です、尾上さんに訴える度胸なんてある訳無いもん。さあ、何おごってもらおうかな〜〜」

尾上・有田「……」



●シーン4・ファミレス(夜)


ファミレスから出てくる白島・尾上・有田……白島が口を押さえて植え込みに駆けていく。


尾上「おい、大丈夫かよ?」

白島「大丈夫です、勿体無いから絶対吐きません!」

尾上「だから食い過ぎだって言っただろう」

白島「明日からダイエットです〜〜」

尾上「お前、いつでもダイエットみたいなもんしか食ってないじゃん」

白島「あー、尾上さん今、貧乏人をバカにしましたねー! 覚悟しなさい、その口を縫ってあげます!」

尾上「酒も飲んでないのに酔っ払いかよ!……有田〜、俺、こいつ送っていくわ」

有田「お疲れっス!」

尾上「ほら、さっさと歩け!」

白島「ゔ〜〜」



●シーン5・白島のアパート(寸刻後)


夜道を歩いてくる白島と尾上。白島は千鳥足。


尾上「頼むから真っ直ぐ歩いてくれよ」

白島「尾上さん! 言っときますけど、部屋には絶対あげませんよ!」

尾上「そんなの期待してねーよ!」


と、白島がアパートを見上げて、


白島「あれ?……変ですねえ、部屋の電気がついてます」

尾上「えっ?」

白島「まさか泥棒!?」


走り出す白島、だが真っ直ぐ走れない。尾上、後を追って、


尾上「おい、待てよ! ってか、真っ直ぐ走れ!」


☆ ☆ ☆


白島の部屋……勢いよくドアが開いて、白島と尾上が入って来る。


白島「泥棒め! 大人しくお縄になれ!」


と、中にはアロハを着たオッサン(白島父)が座っている。


白島父「やあ理香、久しぶり〜!」

白島「お父さん!」

尾上「へっ?」

白島「何しに来たのよ!? ってか、部屋の鍵はどうしたの!?」

白島父「そりゃまあ、ちょちょいとね」

白島「最悪! 警察に訴えてやる!」

白島父「警察は民事不介入だから無理だと思うぞ〜」

白島「きい〜〜っ!」

尾上「おいシラトリ、説明しろ」

白島「この人は、私とお母さんを捨ててベトナムを放浪してるダメ父です!」

白島父「それは違うぞ〜。俺は離婚されちゃったからベトナムいったの。捨てられたのはこっち〜」

白島「家にお金を入れないんだから当然です!……この人のせいで、私とお母さんがどれほど苦労した事か!」

白島父「ごめ〜ん」

白島「ごめ〜んじゃない!」


暴れる白島を尾上が取り押さえて、


尾上「で、お父さんは何しに来たんですか?」

白島父「んー、ベトナム人の友達が向こうで日本料理屋を開きたいって言うから、板さん探しに日本に来たのよ。ついでに可愛い娘の顔見に来たって感じ〜」

白島「どうせホテル代ケチってウチに泊まろうと思ってるんでしょう!?」

白島父「ホテル代はもらってるよ。その分お前に払おうか?」

白島「うっ!」

白島父「土産もあるぞ、砂虫の佃煮」

白島「う〜〜!」

尾上「迷ってんじゃねえよ」

白島父「ところで君は……理香の彼氏かね?」

白島・尾上「違います!」

白島父「じゃあ君は……料理は出来るかね?」

尾上「はあっ?」

白島父「別に出来なくてもいいんだよ。それっぽく生魚でも出しとけば日本料理って言い張るから」

白島「またそんなこと言って! そのいい加減な性格、叩き直してやるー!」


白島、父に摑みかかる……尾上、呆れ返って、


白島父「止めろ止めろ、痛いよ〜」

白島「痛くしないと反省しないでしょう!」

尾上「あのー……お取り込み中すみませんが、俺はこれで帰りますんで」

白島父「待ちたまえ君、僕と一緒にベトナムへ行こう!」

白島「アンタら2人とも、ベトナム行って帰ってくんなー!」

尾上「聞こえない、聞こえなーい!」


尾上、耳を塞いで逃げる。

F.O.



●シーン6・発掘現場(朝)


100人ぐらいの小学生の団体。その前で先生が話す。


先生「みんな、揃いましたねー? それでは、今日貝塚について説明してくれる、学芸員さんと発掘調査士さんでーす」


白島・尾上・有田、拍手とともに小学生の前に立つ。

と、尾上が白島を肘でつついて、白島が仕方なく喋り始める。


白島「みなさんの住んでる千葉県は、実は日本で一番貝塚が多い県なんです。それでは、このおじさん2人と貝塚について学んで行きましょう!」


拍手。


先生「それでは移動しまーす。みんな、一列に並んで下さーい」


白島たちを先頭に歩き出す小学生の団体。と、尾上が不満そうに小声で、


尾上「おじさんって何だよ。俺はまだ30だ」

有田「俺は28っス」

白島「うるさいですねえ。変態パンツって言われなかっただけ感謝して下さい」

有田「白島さん、機嫌悪いっスね」

尾上「そう言えば、親父さんはどうした?」

白島「呑気にしてますよ。昨夜は浴室に閉じ込めてやりましたけど」

尾上「ひでえ……」

白島「ホテル代は前払いで受け取りました。お金さえ貰えばこっちのものです」

尾上「……お前、ちょっと親父さんに似てないか?」

白島「何ですって?」

尾上「 何でもありません!」


☆ ☆ ☆


貝塚の見学風景を点描。


☆ ☆ ☆


見学終了……小学生たちにキーホルダーを配る白島・尾上・有田。

と、白島が列から離れて羨ましそうに見ている小学生(優太)に気づく。


白島「?……尾上さん、ちょっとヨロシクです」

尾上「えっ? ああ」


白島、優太に近づいて、


白島「君、列には並ばないの?」

優太「……」

白島「貝塚のキーホルダー、欲しくないんのかな?」

優太「欲しいけど……危なくない?」

白島「危ないって……何で?」

優太「……」

白島「君、名前は?」

優太「……岡崎優太」

白島「優太くん、何が危ないか、お姉さんに話してくれないかなあ?」


言いづらそうにしている優太……と、優太が意を決して喋る。


優太「……お姉さん……僕、縄文人に祟られてるんだ」

白島「……はい?」



●CM



●シーン7・博物館〜会議室(朝)


博物館全景。


字幕『翌日』


会議室……キーホルダーを作り続ける白島・尾上・有田。


白島「ああ、もう! あれで終わりじゃなかったんですか!?」

尾上「次は明後日に80人、来週は火曜に100人だよ」

白島「いつまで続くんですか〜?」

尾上「多分今月いっぱいだ」

白島「おごってもらいますよ! 昼も夜も、情け容赦なくおごってもらいますよ!」

有田「班長、破産しそうっスね」

尾上「ったく、何の祟りだよ〜」

白島「……そう言えば昨日の子、変な事言ってましたね〜。縄文人に祟られてるとか」

尾上「はあっ? 何じゃ、そりゃ?」

白島「えーっと、その子が言うにはですねえ」



●シーン8・小学校(回想)


白島(声)『事の起こりは1週間前だそうです』


掃除をしている優太と小学生A・B。教室後ろのロッカーの上には、縄文土器が展示されている……と、翔がダンボールを持ってやって来て、優太に、


翔 「優太〜」

優太「なに、翔ちゃん?」

翔 「この土器職員室に持って行くの手伝えよ〜」

優太「うん、分かった」


優太と翔、ダンボールに土器を詰める。


☆ ☆ ☆


ダンボールを運ぶ優太と翔……と、優太が転ぶ。


優太「あっ!」

翔 「何やってんだよ〜?」

優太「ごめん……あっ!」

翔 「うわっ、割れてる!……割ーっちゃった割っちゃった、セーンセイに言ってやろー♪」


翔、優太をはやし立てる。


☆ ☆ ☆


白島『で、次の日から』


掃除の時間……教室を出て行く優太に翔が、


翔 「優太〜、俺ら掃除道具持ってくから先行ってろよ」

優太「?……う、うん」


☆ ☆ ☆


理科室に入る優太……中は真っ暗。電気をつけようとするが。


優太「……あれ? つかないや」


と、奥で物音がする。


優太「!? 誰かいるの?」


優太、怯えながら中に進んで行く……部屋の中は標本や人体模型で不気味。

と、突然人体模型が倒れかかってくる。


優太「うわああああああ!」


☆ ☆ ☆


白島(声)『更にその次の日は』


階段を登る優太……踊り場まで差し掛かると、上の階で人影が動く。


優太「?」


恐る恐る階段を上がる優太。が、数段上がった所で風が吹く……目を押さえてバランスを崩す優太。


優太「うわあああ!……痛ってえ……」


優太、踊り場で足をくじいて動けなくなる。上の階では金色の影が去って行く。


☆ ☆ ☆


白島(声)『更に更にその次の日は』


トイレに入って来る優太。そのまま個室へ……と、物音がして、


優太「?……あれ?」


個室のドアが開かなくなり、更に電気が点滅を始める……優太、ドアを叩いて、


優太「ねえ、誰かいるの!?」

翔たち「……うわあああ!」


ドアの向こう、翔たちの叫び声と逃げて行く足音……と、急にドアが開き、優太が恐る恐る外を覗く。


優太「うわああああ!」


薄暗いトイレの中に金色の影。



●シーン9・博物館〜会議室(朝)



尾上「……で、シラトリは何て答えたんだ?」

白島「もちろん気のせいだって言いましたよ」


白島、尾上をジト目で見て、


白島「祟りなんて子供の妄想ですよ〜。そんなもん、ある訳無いじゃないですか〜偶然か気のせいか思い込みのどれかですよ」

尾上「ってか、どっちかって言うとイタズラっぽくね?」

有田「イタズラならいいですけど、最悪イジメって線もあるっスよ」

白島「祟りだ幽霊だって言ってたら、そりゃあイジメられたりしますよねえ〜」

尾上「……」

白島「どうしたんです尾上さん、目が潤んでますよ〜?……もしかして」

尾上「……おかげさまで、学生時代の友達は有田だけだよ」

白島「有田さんって、尾上さんの後輩なんですか? 大変ですねえ、変態な先輩持って」

有田「いえ、先輩じゃないっス……俺、まともに学校行ってないから」

白島「そうなんですか?」

尾上「発掘の実習中にDQNに絡まれてさあ」

白島「それを有田さんが助けた!?」

有田「いえ、絡んだのが俺っス」

白島「……おっと〜」

有田「でもその後、班長や前之原先生が親身に教えてくれて……学校出てない俺が発掘調査士の資格取れたのは、2人のおかげっス……このチョーカーも、その頃もらったっスよ」

白島「なんだ、いい話じゃないですか……変態パンツのくせに」

尾上「変態パンツ言うな!」

有田「ところで班長、その子、どうするっスか?」

尾上「……んー」

有田「幽霊でもイジメでも、放っとく訳には行かないっスよ」

尾上「だよなあ」


と、尾上が白島を見て、


白島「悪いけどシラトリ、ちょっと出て来ていいか?」

白島「はあっ!?」

尾上「またロールケーキ買ってやるからさあ」

白島「ロールケーキで何でもごまかせると思うな〜〜!」

尾上「すぐ戻る〜」


尾上と有田、退室……白島、ブチ切れて、


白島「お父さんといい尾上さんといい、どうして私の周りにはいい加減な男が多いの〜〜!!!」



●シーン10・小学校〜職員室(昼)


小学校に入って行く千葉県教育委員会の4WD。


☆ ☆ ☆


職員室……応接スペースで先生と話す尾上・有田。


先生「祟り?……岡崎くんがそんな事を?」

尾上「ええ……もちろん子供の空想だとは思いますが」


と、先生が思いの外深刻な顔で、


先生「実は優太くんご家庭は複雑な状況で、お母様がご実家に戻られて以来、優太くんもふさぎ込んでいたんですよ……」

尾上「そうなんですか?」

先生「このまま離婚にでもなったら優太くんの心の傷は更に深くなるでしょうし、だからって教師が家庭の事情に踏み込むわけにも行きませんし……もう、八方塞がりだったんです」

尾上「そのストレスが祟りなんて妄想を引き起こしたんですねえ。分かります分かります」


尾上、わざとらしく首を振る。


尾上「あ、でも念のために壊れた土器と寄贈の記録を見せてもらえますか?」

先生「はあ?」


先生、訝しげに尾上を見る。尾上、狼狽して、


尾上「いえいえ、別に祟りとかじゃなくて、教育委員会の職員として、寄贈品の破損の確認をしたいんです!」

先生「……ああ、そう言う事でしたら」



●シーン11・小学校〜社会科準備室(同刻)


社会科準備室の看板……中では尾上と有田が破損した土器の確認をしている。


有田「班長、どうっスか?」

尾上「やっぱ何にも憑いてねえよ。そっちは?」


有田、資料を見ながら、


有田「F11貝塚から発掘された破損土器ですね……いわゆるゴミっス」

尾上「ゴミで祟りもクソもないよなあ……後はイジメの線か」

有田「その翔って子、話聞いてみるっスか?」



●シーン12・小学校〜校庭(同刻)


校庭の隅、翔と小学生A・Bの話を聞く尾上と有田。


翔 「イジメ?……そんなの濡れ衣だよ、俺ら優太のダチだもん」

小学生A・B「うん、うん」

翔 「俺ら、高校になったらバイクの免許とって、一緒に族のチーム作るんだぜ! で、ブラックホークみたいな関東最強の暴走族になるんだ!」

有田「……そんなもんなっても、カッコ悪いだけだぞ」

翔 「カッコいいじゃん! チョッパーハンドルに三段シート……おじさん、見た事無いの?」

有田「昔、さんざん見たよ……」

尾上「じゃあ、君たちは優太くんをイジメてはいないんだね?」

翔 「イジメじゃなくて、元気付けてただけだって!」

尾上「あん?」

翔 「優太さあ、お母さんが家出してから元気ないだろう……だから、お化けでからかったら元気出るかと思って」

有田「出ねーだろう!」

翔 「でもあれ、すごく変だったよな」

小学生A・B「うん、うん」

尾上「変て……何が?」


☆ ☆ ☆


再現フィルム……優太の再現フィルムを翔たちの視点から。


翔(声)『人体標本が勝手に倒れたり、何もしてないのに優太が階段から落ちたり、トイレの電気が点滅したり』


☆ ☆ ☆


再び校庭の隅。


有田「それ、お前らがやったんじゃあないのか!?」

翔 「違うよ! 脅かそうと思ったら、勝手にそうなって脅かせなかったんだ」

尾上・有田「……」


顔を見合わせる尾上と有田。


尾上「とにかくさあ、優太くんを元気付けるのはいいけど、からかう以外の方法は無いかなあ? 君たち、ダチなんだろう?」


翔、暫く考えて、


翔 「それもそうだよなあ……おい、サッカーやるから優太を呼んでこいよ」

小学生A「らじゃー」


小学生A、走って校舎に入って行く。

花壇に座って様子を見ている尾上と有田……と、小学生Aが優太を連れて来てサッカーが始まる。

優太イヤイヤっぽくプレイする優太。

見守る尾上と有田。

が、暫くすると優太も、楽しそうにサッカーをするようになる。


有田「……これで大丈夫そうっスかねえ」


と、尾上が目を細めて、


尾上「……あの子、何も憑いてないぞ」

白島「じゃあ、やっぱり気のせいですね」

尾上「いや、それどころか守護霊まで憑いてない……あの子、本当に見えてるかもしれないな」



●CM



●シーン13・小学校〜玄関(寸刻後)


タクシーで乗り付ける白島……白島、タクシーの運転手に、


白島「領収書、お願いします!」


ブチ切れた様子で校舎に向かう白島……と、玄関で尾上と有田が待っていて、


尾上「おお、やっと来た!」

白島「その前に! タクシー代払って下さいよ!」

尾上「……ああ」


財布から金を出す尾上……2000円渡して、


尾上「お釣りはいいよ」

白島「わ〜い、やった〜!……なんてごまかせると思わないで下さいよ! 一体何なんですか!?」


と、尾上が神妙な顔で、


尾上「ごめんなシラトリ……こんな事頼めるの、お前しかいないんだ……」


白島、ドキッとして、


白島「えっ?……しょ、しょうがないですねえ……じゃあ話を聞きます」

尾上「そうか、確かる!……エリー様、お願いします!」

白島「エリー様って誰!?」


と、白島の背後にエリー様が現れて、


エリー『ハ〜イ、私の可愛い子猫ちゃん♡ 今日は 何の用かしら?』



●シーン14・小学校〜廊下(同刻)


教室……授業中の先生。

と、尾上が覗いて窓を軽く叩く……先生、頷いて、


先生「あ、大事なプリント忘れて来ちゃった……岡崎くん、取って来てくれるかなあ?」

優太「……僕がですか?」


と、女の子が手を挙げて、


女の子「先生、学級委員は私なんで、私が取りに行きます」

先生「そうねえ……でも、先生、岡崎くんに取って来てほしいなあ〜」

優太「……」


優太、立ち上がる。


☆ ☆ ☆


誰もいない廊下を歩く優太……薄暗くて君が悪い。


優太「……」


と、エリー様の声がして、


エリー(声)『ねえ、ボク……私の事、見えるかしら?』

優太「えっ?」


見ると、階段の所に青白い影が立っている。


優太「うわああああ!」


腰を抜かして這ったまま逃げ出す優太……と、優太を守るように金色の女の霊(優太の母)が立ちはだかる。エリー様もハッキリした霊体になって、


エリー『あら? 貴女誰かしら』

優太の母の霊『……』

エリー『……貴女、死んでないわよねえ?』

白島「ちょっと、大丈夫!?」


そこへ尾上・白島・有田が来て、生き霊とエリー様が消える。


尾上「……エリー様、今の金色の影は?」

エリー(声)『生き霊よ……四六時中憑いてる訳じゃあないから、子猫ちゃんにも見えなかったのね』

尾上「ああ、なるほど!」

白島「誰と話してるんですか、誰と!?」


と、尾上が有田を見て、


尾上「なあ有田……そのチョーカー、この子にあげてくれるか?」

有田「えっ?」

尾上「お前はちゃんと更正したし、もう必要ないだろう?」

有田「……分かったっス」


有田、渋々チョーカーを尾上に渡す……尾上、優太の首にチョーカーを掛けてやって、


尾上「これはお守りだ。これさえあれば、もう幽霊を見る事は 無いからな」

優太「……」


☆ ☆ ☆


教室の外……先生と尾上・白島・有田・優太の会話。


尾上「祟りの一件はこれで解決です……もう大丈夫だよな」

優太「……」


優太の頭を撫ぜる尾上、優太が黙って頷く……と、尾上が先生に耳打ち。


尾上「お守りは暗示ですから。決して祟りを信じてる訳じゃありませんよ」



●シーン15・教育委員会の車の中(同刻)


運転する有田、助手席の尾上、後部座席の白島の会話。


尾上「あの子は俺とおんなじなんだよ……守護霊ってのはバリヤーみたいなもんでさ、他の霊を寄せ付けないんだ……だから守護霊がいないと霊が寄って来て見えやすくなるんだ」

有田「じゃあ班長も守護霊いないんっスか?」

尾上「そういう事〜」


と、白島がうんざりした顔で、


白島「あの子は尾上さんよりマシですよ。だって、友達いるじゃないですか」

尾上「うっ!」

白島「尾上さんて、彼女いない歴=年齢でしょう? 友達1人彼女なしとか、改善したいとは思わないんですか?」

有田「俺も彼女いた事ないっスよ。俺って怖いらしくて、レディースも寄って来ないっス」

白島「とにかく、幽霊の話は金輪際禁止です!……そんなんだから、30にもなってDTなんですよ」

尾上「DTって何だ?」

白島「ググって下さい!」


尾上、スマホを出して調べて固まる。


尾上「童貞……ひでえ」

有田「白島さん、さすがにそれはセクハラっスよ」

白島「事実を述べただけです!……ホント、もう私を巻き込まないで下さいよ〜」


と、車が博物館の駐車場に着く……降車する3人。

と、裏口で小早川が、にっこり笑って仁王立ちしている。


白島「……しまった」

小早川「地方公務員の心得その④、勤務時間は仕事に集中!……3人とも、仕事ぶん投げて、どこ行ってたのかしら〜〜?」

尾上「えーっとですねえ……」


小早川、大きく息を吸い込んで、


小早川「白島さんは明日まで自宅謹慎! そっちのバカ2人は当分出入り禁止です!」

白島・尾上・有田「はいっ!」



●シーン16・ファミレス(夕方)


テーブルでコーヒーを前に頭を抱える白島……向かいでは尾上と有田が困った顔。


尾上「……すまん、シラトリ」

白島「……尾上さん、本当に謝る気あります?」

尾上「もちろんだ、心の底から反省してる!」

白島「だったらこんな時まで名前間違えないで下さいよ、私の名前はシラシマです!……ああ、もう、1日分のバイト代、どうしてくれるんですか〜〜!」

尾上「今月いっぱい晩飯おごる! 朝昼の弁当も買う! もうキーホルダーは手伝わなくてもいい!……そうだ、大奮発して1日一本ロールケーキもつけるぞ!」

白島「ロールケーキはいりません! 私、そんなにロールケーキ好きじゃあないですよ」

尾上「いやいや、そこはホラ、俺の気持ちだからさあ」

白島「気持ちがあるんなら、もう巻き込まないで下さいよ〜〜!」


と、尾上のスマホが鳴る……尾上、画面を見て、


尾上「うわ、課長からだよ」


尾上、テーブルの陰に隠れてコソコソ電話を取る。


尾上「はい尾上です……はい、博物館の件は重々承知しています……分かりました、明日必ず始末書を……えっ、小学校からも苦情?……たった今、ヤクザが乗り込んで来てる!?」

白島・有田「!?」


3人、立ち上がる。



●シーン17・小学校〜校長室(寸刻後)


校舎の全景。

校長室……校長に詰め寄る翔の父。


翔の父「……お前が校長か……うちの翔にイジメの濡れ衣着せた落とし前、どうつけてくれるんだよ」

校長「……私たちにどうしろと言うんですか?」

翔の父「それを俺に言わせるのか?……お前、大学出てんだろう?……そんな事は自分の頭で考えろ!」

校長「ひいっ!」


と、走ってくる足音がして、尾上と白島が飛び込んで来る。


翔の父「おう、お前がうちの翔を吊るしあげた土建屋か?」

有田「……土建屋は8年前までだ。今は発掘調査士をやらせてもらってるぜ」


と、少し遅れて有田が部屋に入って来る。


有田「お前確か……うちの傘下にいた、キルマスターとかいうチンケなチームの頭だったな」

翔の父「まさか……」


翔の父が校長に、


翔の父「テメエ、こんな危ねえヤツとつるんでんのかよ!? コイツ、ブラックホークの総長だぞ!」

校長「えっ?」


と、今度は有田が翔の父に詰め寄って、


有田「いつの話をしてるんだよ……ってかよお、盃ももらえないチンカスが、ヤクザのフリなんかしてんじゃねえよ」


有田の後ろにどす黒い落ち武者の霊が現れる。有田の恐ろしい表情。


尾上「もういい、やめろ有田!」


尾上、有田と翔の父の間に割って入る……が、その隙に翔の父がドスを抜いて飛びかかる。


有田「!」


有田、尾上を投げ飛ばして翔の父を蹴り飛ばす。


尾上「止めろって言ってんだろう!」


と、今度は尾上が有田の顔にパンチ……が、有田は倒れず、


有田「班長……班長……何してくれてんだよー!」


有田、ブチ切れて尾上をボコボコにする……しらしまが有田の背中に抱きついて、


白島「止めて下さい! 有田さん!……止めてーー!」


白島の叫びで有田の動きが止まる。息を切らせた有田。


有田「……えっ?」


正気に戻った有田……その周りには怯える校長・翔の父・白島、そしてボコられてぐったりした尾上が倒れている……有田の鼓動が高まる。


有田「班長……大丈夫っスか班長……班長ーー!!!」


有田の絶叫が夕方の校舎にこだまする。

F.O.



●CM



●シーン18・病院(朝)


F.I.

朝の病院の全景。

廊下を進む朝食の配膳係……病室(個室)の中では包帯だらけの尾上が眠り、横の椅子では白島と有田が居眠りをしている。

と、配膳台の音で目覚める尾上……と、有田と白島に気づき、有田に手を伸ばして起こす。


有田「……あ、班長!」

尾上「シッ!」


尾上、静かにしろとジェスチャーして、白島を指す。2人、小声で会話。


有田「痛む所はないっスか? 看護士、呼びますか?」

尾上「いいよ……それより、今何時だ?」

有田「8時になるところです」

尾上「あっちゃあ〜、俺、始末書書いてないよ〜」

有田「そっちは、昨夜のうちに課長に全部説明しておきました。俺ら、今日は欠勤です。始末書も俺が描くんで、班長はゆっくりして下さいよ」

尾上「てめえのヘナチョコパンチで入院なんて出来るかよ、恥ずかしい!」

有田「強がりは止めて下さいよ……マジ意識不明でMRIまで撮ったんですから」


起き上がろうとする尾上を有田が制す……と、その音で白島が目覚める。


白島「……あれ?」

尾上「おはよう」

白島「尾上さん、気がついたんですね!……あ、ナースコールを!」

尾上「いいよ、いいよ!……本当に大した事無いんだからさあ」

白島「そんなの、医者でもない尾上さんに分かるわけないじゃないですか!」


揉める尾上と白島……と、有田が立ち上がって頭を下げる。


有田「お二人にはご迷惑をお掛けしました!」

尾上「止めろよ有田、元はと言えば俺の責任なんだからさあ」

有田「いえ、これは俺自身の問題っスよ!」

尾上「俺の責任だよ」

白島「……2人とも、何の話をしてるんですか?」

尾上「昨日優太くんにあげたチョーカーあっただろう?……あれ、本当は有田の背後霊の封印だったんだよ」

白島「はあっ!?」

尾上「有田の背後霊は強力な落ち武者でさ、その霊障で有田は喧嘩っ早くなってたんだ……あの土器の破片にはスゲー陽気な縄文人が憑いててさ、それが落ち武者を抑え込んでたんだ」


胡散臭いものを見る目の白島。


尾上「でもどうすっかなあー? あのチョーカー、今更返せとは言えないし、落ち武者の霊力は治ってないし……」

白島「いや、それ以前に、何で背後霊がいるのが前提に話が進んでるんですか?」

尾上「マジどうしたもんかなあ……」

白島「ちょい、ちょい、話聞いてますか〜?」


と、白島の背後にエリー様が現れて、


エリー『お困りだったら、私がどうにかしましょうか〜?』

尾上「エリー様!」

白島「だから、エリー様って誰ですかー!?」

エリー『あ〜ら、悪い子はこの落ち武者ちゃんね〜?……このエリー様の鞭さばき、見せてあげるわ〜♡』


鞭を鳴らすエリー様……そして有田の身体に鞭が飛ぶ。


有田「ぎゃあ!」


苦痛に仰け反る有田……そのまま壁に逃げるか、背中に鞭の連打を受ける。


有田「あうっ、あうっ!」


苦しむ有田……だが、エリーが見えない白島にはただの変態としか思えない。

有田、ついに崩れ落ちる……と、落ち武者の霊が有田から抜ける。

と、エリー様が携帯電話を出して、


エリー『……あ、ママ? M女のマキちゃんを呼んでくれる?』


と、エリー様の隣にマキの霊が現れる。


マキ『お呼びですか、お姉さま?』

エリー『マキちゃん悪いんだけどさあ、そこに倒れてる怖そうな子の背後霊になってあげてくれるかなあ?』

マキ『ご命令のままに〜……あ〜、でも私、どっちかって言うとベッドの子の方が好みだなあ〜』

エリー『ダメよマキちゃん、アレはワ・タ・シ・ノ♡』

マキ『は〜い』


マキが有田に取り憑く……と、有田が立ち上がって、


有田「あれ、どうしたんだ? 身体中が熱くて気持ちいいっス」

エリー『上手くいった見たいね。それじゃあ子猫ちゃん、またね〜♡』


エリー様、白島の中に吸い込まれる……と、白島が震え出して、


白島「……もう嫌……本気の本気でもう嫌……」


と、そこに運悪く朝食を持った看護士が入って来る。


看護士「……尾上さーん、朝食の時間で……」

白島「貴方たちは幽霊ばっかりで、リアルな人間の気持ちは見えないんですかーー!」

看護士・尾上・有田「!」

白島「優太くんの事だってそうですよ! あんなお守りで暗示に掛けたって、問題を解決した事にはならないですよねえ!」

看護士「……あのー……どうされましたか?」

白島「看護士さん!」

看護士「はいっ!」

白島「尾上さんはたった今退院します!」


白島、トレイからほうじ茶を奪って一気飲みして、


白島「こうなったら、私が直々に人と人の関わり方を教えて上げます!」



●シーン19・優太の母の実家(昼)


家の全景。

家の中で家事をする優太の母……と、呼び鈴が鳴って、


優太の母「はーい」


玄関を開ける優太の母……と、尾上包帯だらけのと有田が立っていて、


優太の母「……あのー、 何か?」

尾上「突然すみませんが県の教育委員会の者です」

優太の母「えっ?」

尾上「優太くんの事でお話しさせてもらってもよろしいでしょうか?」


☆ ☆ ☆


リビングで話をする尾上と有田、優太の母。


優太の母「優太の父は仕事ばかりの人で、優太が学校に上がる頃には喧嘩ばかりになってしまって……あの日も本当に些細な事で口喧嘩になり、気がついたら家を飛び出してたんです」

尾上「それっきり優太くんとは?」

優太の母「はい……時間が経って冷静になったら、自分は優太を見捨てて来たんだって……合わせる顔が無いです」

尾上「でも、このままにしておくのは、どうなんでしょうか?」

優太の母「いえ、会いたい気持ちはあるんですよ、それこそ夢に出るぐらい」

尾上「夢……ですか?」

優太の母「はい、白昼夢って言うんでしょうか……気がつくと学校にいて、イジメられそうになってる優太がいるんです。私は助けようと声をかけるんですけど届かなくて……仕方なく人体標本倒したり、風を吹かせたり、電気を点滅させたり……でも上手くいかなくて、優太はいつも泣いちゃうんですよね……」


尾上と有田、顔を見合わせて小声で、


尾上「原因、この人だ……」


尾上、優太の母に向き直り、


尾上「お母さん、今から優太くんに会ってはもらえないでしょうか?」

優太の母「えっ、でも……」

尾上「お願いします、優太くんもお母さんに会いたいんです……それに……」

優太の母「?」

尾上「お母さんを連れていかないと、俺ら2人とも無抵抗でフルボッコにされるんです!」



●シーン20・小学校〜校門(午後)


チャイムが鳴る中、1人で寂しそうに学校を出て来る優太。


優太「?」


と、校門の外で白島が待っていて、優太に手を振る。



●シーン21・河川敷の土手(同刻)


手を繋いで歩く白島と優太。


白島「……あれから変わった事はない?」

優太「うん……でも、翔ちゃんたちが遊んでくれなくなっちゃった」

白島「何で?」

優太「翔ちゃんのお父さんが、もう僕とは遊んじゃいけないって」

白島「……そっか……でも、優太くんはどうしたいの?」

優太「えっ?」

白島「父親って、ホント勝手よね!……でも、そのせいばかりにしてたら、結局は前に進めないと思うの」

優太「……」

白島「翔ちゃんは優太くんの大切な人なのよね?」

優太「……うん」

白島「だったら、その気持ちをちゃんと伝えなきゃ……翔ちゃんにも、お母さんにも」

優太「えっ?」


と、道の先に、尾上と有田に伴われた優太の母が立っている。

白島、優太を連れて母の前に立ち、優太の手を母に向ける。


白島「お母さん、この手を繋ぐのは貴女の役目です……もう離さないであげて下さいね」

優太の母「……」


手を伸ばす優太……手を伸ばす母親。その指が触れた瞬間、母親が優太を抱きしめる。


優太「お母さん!」

優太の母「優太!」


抱き合って泣く優太母子……と、うなずき合って、白島尾上有田が歩き始める……少し離れた頃に、


尾上「シラシマ、マジすげえのな」

白島「シラシマじゃなくてシラト……あ、合ってるのか……って言うか、これが普通なんですよ。分かりましたか?」

尾上・有田「……はい」

白島「声が小さい!」

尾上・有田「はいっ!」

有田「でも白島さん、マジ凄いっすよ。尊敬するっス!」


と、白島が振り返って満面の笑顔で、


白島「私、背後霊よりヤバいものにリアルに取り憑かれてるから〜」



●シーン22・白島のアパート(寸刻後)


アパートの全景。

部屋の中、鍵の悪音と共にドアが開き、白島が入って来る。


白島「ただいま〜」


だが部屋の中はもぬけの空で、テーブルの上に置手紙がある。白島、手紙を取って読み上げる。


白島「可愛い理香へ……短い間だけど迷惑かけたね。済まない。それでもお父さんは、どうしても理香の顔が見たかったんだよ。でも、思った以上に立派になっていて、お父さんは安心したよ……」


☆ ☆ ☆


飛行機の中。

機内サービスを食べる白島の父……スッチーのお尻に触ったりしている。


白島の父(朗読)『お父さんはこれでベトナムに戻るよ。また当分会えないと思うけど、どうか元気にやってくれ……あの変わった雰囲気の青年にもよろしく……追伸、調理師はお父さんがやる事にしたよ。 なに、白衣着て花板のフリしてればどうにかなるさ〜。写真撮ったら送るからな……父より』


☆ ☆ ☆


アパートの部屋……手紙を置いた白島がポツリと、


白島「あの人……どこまで人生舐めてるんだろう……?」



●サブタイトル


サブタイ『金色の想い』



●ED

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シナリオ版SW(スピリットワーク) 第2章・金色の想い 池部九郎 @kuroikebe

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