プロネカマになるための3ヶ条!!

ちびまるフォイ

プロネカマがゲームライフを充実させる!

「君にはこれからプロのネカマとしてゲームに派遣してもらう」


「あの、それっていいんですか? 仮にもあなたのゲームですよね」


「オンラインゲームにも華やかさは必要だ。けど女性はゲームしない。

 となれば、ネカマで華やかさを出すのが必要なのだ!!」


「な、なるほど!」


かくして、ネカマ派遣会社『ピーチ』から俺の派遣が決まった。

派遣先はとあるオンラインゲーム。

そこでネカマをしているだけでお金がもらえる簡単な仕事……ではない。


ネカマとは本当に大変な仕事なのである。

プロとアマチュアではわけがちがう。

極意3つを紹介しよう。



①わざとらしすぎないのがプロネカマ



†キリト†:さくらちゃんって女の子?


さくら:そうですよぉ~。ぴちぴちの高校生です(^◇^)



こういうのはNGだ。アマチュアはこういうミスをする。

男が考える女の子像を演じることは大事なもののバレては身もふたもない。


†キリト†:さくらちゃんって女の子?


さくら:さぁーどっちでしょーか?w


そう! これ!! これぐらいの距離感!!

自分の女の子らしさを否定しつつも相手をたてるこの感じこそプロ!!

さりげないやりとりで女だと思わせるのがプロなのだ。



②ときおり見せる歳相応の女の子らしさ


†キリト†;次のクエストどうしよっか


さくら:えぇ~~。あんまり強くないのがいいですぅ


ぶち殺したろか。これはアマチュアのやり取り。プロは違う。


†キリト†:次のクエストどうしよっか


さくら:私そろそろ落ちますー。明日も学校なんで。


これ!!学校というフレーズを自然に挟むことで、JKっぽさを出せる!

これで揺れ動かない男心があるとすればそいつはホモだ。



③えっちに対する応対


†キリト†:さくらちゃんっておっぱい大きいの?


さくら:きゃ~!キリトさん最低ですぅ~~(>_<)



相手も相手だが、こいつもこいつである。

アマチュアは女の子らしさを求めるあまり、こういう変化球に弱い。

だがプロは違う。



†キリト†:さくらちゃんっておっぱい大きいの?


さくら:なに鼻の下のばしてるんですかw



そう!逆に相手をいじる!これこそプロ!!

受け流して相手に冗談ぽくさせることで下ネタに発展することを避けつつ

相手を立てるこの気遣いこそがネカマ!!


相手との関係をなが~く続けさせることもネカマの大事な要素なのだ。

一部にカルト的なアイドルより、誰からも愛されるオタサーの姫。

それがネカマなのだ。


「ふふ、やっぱり俺は完璧だな」


ネカマ派遣としての仕事は順調でWifiよりも多くのフレンド申請が飛び交ってる。

さっきの†キリト†という人は、俺の熱心なファンで上で紹介したのは実際の俺の対応だ。

さくらというのが俺の名前だ。


プロネカマかけだしの人にはぜひ読んでもらいたいね。



愚者-FOOL-:さくらちゃん、日曜日にオフ会しようよ


さくら:あーごめんなさい。日曜予定あるんで


「ネカマがオフ会行けるわけないだろ……」



愚者-FOOL-:じゃあいつ時間空いてる?



「ぐっ……まずいな……」


これでは断れない。しょうがない、当日にドタキャンするか。

ネカマだとバレる危険性が増えるかもしれないが背に腹は代えられない。


さくら:来週なら


愚者-FOOL-:おk。リアルさくらちゃん楽しみだなーー


†キリト†:ぼくもみたいな


さくら:来なくていいですよwwww



オフ会当日。

一応、現場には向かって道に迷った設定にするため集合場所へやってきた。


「ハチ公前……あ、あれか? 意外と小さいな」


立っているのはわずか1人。

警察がどういうわけか立ち入りを禁止していた。


「なにやってるんですか?」


「ああ、ハチ公前の人が"さくら"って人だけ通せと言ってきてね」


「はぁ!?」


まさか集合場所を買い占めるなんて、どんな経済力だ!

これじゃ道に迷って予定が入ってドタキャン設定ができないじゃないか!

これだけ目立つ集合場所はほかにない。


どうする。このまま中に入れば、たちどころにバレてしまう。


そのとき、電話がなった。

番号を見るとネカマ派遣会社のものだった。


『もしもし? オフ会に参加するんですよね?』


「ええ、実はそれで困ってるんです。どうしても会う以外の道がなくって」


『お任せください』


数分後、キレイな女の子が到着した。


「派遣されてきました。私にまかせてください」


「めっちゃ早くないですか!? 場所まだ言ってませんよ!?」


「ふふ、いいですから」


女は集合場所に小走りで向かった。

ハチ公前に立っている中年男性になにかぺこぺこと謝っている。


しばらくすると、また小走りでこちらに戻って来た。


「終了です。予定が入ったと伝えてきました」


「おお! すごい!」


実際に女の子を見せれば相手もネカマを疑うことはないだろう。

雨降って地固まる。これでネカマを続けられる。


「いやぁ、助かりました。名前を聞いてもいいですか?」


「私は†キリト†っていいます」





「……え?」




④プロネカマとプロネナベは互いに引き寄せ合う。

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