ゾンビを造りだした元凶の研究所に突入する、主人公の恵介と、その弟の秀介が所属する特殊部隊員たち。そこでカプセルに入れられた少女を発見し、救出します。
恵介と秀介は、“造られた”のだろうその少女と、心をかわしていくのです。
ストーリーはシリアスですが、リナと命名された少女が明るく無邪気でとても可愛いので、話が暗すぎるということはありません。
終盤、よりシリアスな展開になっていきますが、その頃にはもうリナに愛着がわいて、恵介と秀介とリナはどうなるのかと、そのシリアスなストーリーの先が気になってたまらなくなります。
戦闘モノって読むのが苦手なのですが、この作品の銃撃戦はなかなかにドキドキしました。そこもまた魅力的な部分ですね。
少し不器用にリナに愛情を注ぐ恵介と、まっすぐにリナに恋する秀介。
リナについてあることに気づいてしまった恵介。そのことを知らない秀介。
どちらも応援したくなるのですが果たして?
運命が、せつないです。
文章がとても読みやすく、かつどんどんと引き込まれていくようなストーリーでした!
3話目で『敵』の正体が何なのか判明した時は意外でしたし、その『敵』がどうして現れるようになったのか『黒幕』の目星がついている点が、他のパニックものとの大きな違いだと思います。(よくある世界中に突如発生した〜、ってのは作者自身も理由を考えてないケースが多くて、ストーリーの目的がないままグダグダになってますからね…)
理由説明したら面白くないじゃん、って思われるかもしれませんが、ではなぜ『黒幕』が『敵』を作っているのか、という疑問も生まれるので続きが気になります!
あとは『復讐』ではなく『リベンジ』という表現もよかったです。日常パートも多いので話が重くなりすぎないのが上手いです。
弟がリナを外に連れ出そうとした時、主人公が常識を考えて阻止しようとする場面がとても好印象でした。
作者としては外に連れ出したいはずなので、このシーンを入れ忘れる作品も多くみられます。ですが、読者としては外に連れ出すなんて危険だろうと思うものです。丁寧な描写だと思います!
気になった点は、プロローグの視点に違和感を感じました。普通にリナの視点でいいと思います。主人公はリナの製造者のこと何も知らないはずなのに、と思っているように見えた、ってのは読心術でも持っていないとおかしいです。
もう1つは話数が多すぎて最後まで読むのに気が引けた、ってところです。それだけで読まない人もいるかもしれませんし、文量が少なすぎると読み応えがないと感じる人もいるかもしれません。1話1話の文量にバラツキがあるので、纏めるところは纏めてもいいのではないかと感じました。
全体的にはとても私好みの作品でした!以上、長文失礼しました