エピローグ

私は緒方ノブユキ、この会社で長いこと面接官を任されていたが、年々不景気になるこの国では、人材選びはなかなかにハードワークだ。

一流の大学を出た就活生やすでに経験のある者など、面接を通る人数が少な過ぎてもったいないとすら感じる。


「部長!飯行きませんか?」


「おう、そうだな」


こっちは部下の堤下つつみした、気合の入った若者で、俺と同じく面接官を任されている。

いつものラーメン屋に入り、いつも通りの注文をする。


麺をすすりながら、堤下が切り出した。


「ズズズズズ…………んぐっ…あ、そういえば部長!昨日のあれ、覚えてますか?あの就活生達に紛れてた」


「んん……あぁ、あいつな。なかなか面白い奴だったな」


「ちょっとあの人が言ってたことが頭離れないんですけど」


「んんー、確かに変わった人だったな」


若者に混ざって、中退も隠さないクソ真面目な奴だった。

社訓、社会貢献、強み、夢、そういった綺麗な動機などを言う人はごまんといるんだが……………。


「……いやぁ「魂の居場所になるほどの景色を」………か」

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十六年目のかくれんぼ 加賀崎 @minato_kgs

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