第7話 幼女先生と学ぶ自己PR術

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〇晴彦の部屋

   幼女先生、晴彦の勉強机の上に座っている。

   晴彦、床で正座をしている。

幼女「では、自己PRにいきたいと思うのじゃが、まずは実際にブタの自己PRを見てみようかの」

   晴彦、背中がぴくっと跳ねる。

幼女「んっんっげっ(喉をならす)あーあー(次第にお姉さんの声に)よし。影田さん、自己PRを簡潔にお願いします」

晴彦「え、えっと、わた、私の長所は、いつもポジティブに物事を考えることで、えー、それで、例えばサークル活動の時でも、えー、なんというか、皆が落ち込んでいる時、えー、盛り上げようと頑張りました、えーはい。私の長所は、そんなところです」

幼女「ばかやろう」

    幼女先生、ランドセルからムチを取り出し、晴彦の背中をはたく。

ブタ「ありがとうございます(ムチはあきまへんっ)」

幼女「本音と建て前が逆じゃっ!」

   ×   ×   ×

   幼女先生、ミルクルを一気に飲み干す。

幼女「ぷはっ~。まったく、ブタは本当にダメダメじゃな」

晴彦「面目次第もありません」

幼女「よいか?①自己紹介②自己PR③学生時代力をいれたこと④志望動機、この4つは必ず聞かれるといっても良い鉄板ネタじゃ! じゃから、一つ一つの返答を考えておいたほうがよい」

晴彦「はいっ」

幼女「それで今回から自己PRなのじゃが、自己PRってなんじゃ、晴彦くん?」

晴彦「えっと…自分の長所、いいところみたいな」

   幼女先生、ランドセルからシガレットを出して、口にくわえる。

   シガレットを吸い込み、煙を吐き出す真似をする。

   ぷは~っ。

幼女「まあ、ブタではその程度かのう…前にも言ったのじゃが、採用というのは企業側からしたら大きな買い物じゃろ?」

晴彦「は、はい…あれですよね、ウン億円の買い物だって」

幼女「その通りじゃ。そして自己PRをする学生は?」

晴彦「(生唾を飲み込んで)商品…?」

幼女「Exactly(その通り)…と言っても、これはあくまでワシの考え方じゃから、そんなことはないよと思う読者諸君はスルーしてもらっても構わん」

晴彦「読者…?」

   幼女先生、晴彦の頬をはたく。

幼女「起きろ!」

晴彦「ぎゃふんっ」

幼女「それで、商品のPRといったら何かと考えると…消費者が買ったときにメリットとなるものじゃろ?」

晴彦「あ、吸引力の変わらない掃除機だったら、長く使えますよってことですもんね」

幼女「うむ。じゃあこれが面接じゃったら?」

晴彦「え~っと、企業が採用したときのメリット?」

   幼女先生、満足そうに頷く。

幼女「うむうむ。つまり、企業にとってこの学生を採用すると、こんないいことがありますよというものじゃ。ゆえに、受ける企業ごとに、自己PRをかえたほうがよい!」

晴彦「な、なんだってー!」

幼女「しかも、面接官の年齢・性別・役職でも変えることができたら最高じゃ!」

晴彦「にゃ、にゃんだってー!」

幼女「そこは、ブタらしくブヒブヒじゃろうがっ!」

    幼女先生のムチが、ブタのお尻を襲う。

晴彦「ぶひい!」

幼女「企業ごとに自己PRを変えるとよいのは、求める人材像が企業によって違うからなのは分かるかのお?」

晴彦「ぶひ!」

幼女「そうじゃ、食品業界は”口に入れるものを提供する業界”だからこそ、責任感のある人物像がまず求められるし、マスコミ業界は”朝から夜までタフな業界”だからこそ、体力のある人物像が求められる。そして、じゃ。その後に企業研究が生きてくる!」

晴彦「企業研究ってあの説明会とかですか?」

幼女「うむ。企業の説明会に行き、どんな人が欲しいのか。それを知り、自己PR像を作っていくのじゃ。だから合説(合同説明会の略。たくさんの企業が一度に自社の説明をしてくれるステキなイベント)に行く必要があるというわけじゃな」

晴彦「な、なるほど…」

幼女「分かったかのお?」

晴彦「それで、性別とかっていうのは?」

幼女「(可愛い声で)うう~ん…わたし、なんだかねむくなっちゃった…きゃは」

晴彦「かわいいなあ(眠くなったのなら仕方ない)」

幼女「じゃから、つぎのかいにはなすね」

晴彦「かわいいからゆるす(仕方ないですねえ)」

幼女「(もとのだみ声に戻って)許すとはなんじゃ!このブタが!」

    幼女先生、ブタの鼻をつまみ上げる。

ブタ「ぶひいいいいい」


つづく

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幼女先生と学ぶ「就活面接」術 鎌田玄 @kenken-smile

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