人生に幸せというおまけを

木葉

第1話


目の前には体中の血液全て抜かれ、茶色に変色した赤子の死体


「うわあー……美味しくなさそー」

右側にはサラっとカニバリズム発言をしている青髪の少年


「……28点だな」

左側には死体に点数をつけている黒髪の男


後ろは壁。今すぐ横の二人を壁に打ち付けたい。



「……」

で、最後に変人二人にドン引きする俺

どうしてこういう状況になったかは自分でもわからない。


「これどうするー?くろりん」

「知らん。自分で考えろ」

俺を挟んで会話をしないで頂きたいのだが……

どうやら黒髪の青年はくろりんというらしい


じゃあゴミだねと言いながら青髪の少年はズボンのポケットの中から

黒いゴミ袋を取り出し、赤子の頭をわしずかみにしてゴミ袋に入れはじめた。

死後硬直はまだ始まっていないらしく、赤子の手足は左右に揺れている。


赤子を入れ終わると少年は俺にそのゴミ袋を渡してきた。

「これ、お兄さんの?」

「えっ……違う、けど?」

否定しながらも受け取ってしまったそれをどうすればいいかわからないので

黒髪の男をみる、すると


「食べてみろよ。案外美味いかも知れん」

「……え?」

助け船を出すどころか爆弾仕掛けて来やがったぞこいつ……

どうしてこうなったんだよ……


ってことが起こる数日前



「ふぁう!おくれううう!!」

さすがに入学式当日には遅れたくはない、と

どこぞの少女漫画よろしくフランスパンにかじりながら通学路を走る俺。

笹原猛。

この流れだったら目の前の曲がり角で美少女とお知り合いになれるんじゃないか……

とかいう淡い期待を打ち砕いたのは一台の黒い自動車だった。

耳をつんざくようなブレーキ音。

吹っ飛ぶ俺。

フランスパンはとうの昔に俺の胃に吸収されている。

なんかスローモーションだなぁと思っていたら突然くる痛み。

しかしそれは一瞬ですぐに意識はふぇーどあうとしていった。





「ここ、は?」

目が覚めるとそこは道路だった。

そう、ついさっき事故ったとこ。

まぁここら辺田舎だし人通り少ないし

誰かが発見してくれる確率は低い。

というか……体が痛い。

いやでもめっさ頭冴えてるし、まぁ出血多量とかで死ぬことはなさそう。

体痛くて動けねぇ……車はひき逃げかぁ。

ナンバープレート覚えときゃよかった!

絶対いい弁護士雇って裁判おこしてたのに……

今俺の頭の中には慰謝料をガッポリ貰って小躍りしている俺がいる!

あっ体いてぇからムリだわ。

馬鹿なこと考えてないで早く助かる方法を見つけなければ。

でもここ住宅地じゃねぇし……

よくわからないが怪しいって噂のでっかくて古いマンションが横にあるだけだし。

しかも庭の木が大き過ぎて中から俺が見えないし助けてくれない。

てかそもそも怪しい人には助けて貰いたくはないなぁ。

図々しいかもしれないが金とか要求されたら困るし。

でも今はそんなこと考えてる場合じゃねぇな。

生きるか死ぬかだし?

借金だらけより死ぬ方がいいかな。

いや、ダメだ。(未来の)彼女が悲しむ。


入口も向こうだしなぁ

裏口とかねぇの?

多分あともって5時間!

誰かー5時間いないにー!助けてくーだーさーいー!


「あら?人?大丈夫かしら?」

やっと助けがぁ!?……。

「チェ、ちぇふご!!」

いやっ駄目だっ!

例え目の前にいるのが化粧が濃くて髪が長くて背が高いおっさんでも!

今の俺には地獄の苦しみの中に手を差し伸べてくれる天使のような存在なんだ!

なんか注文したのと違うデリヘルがきた時みたいなことをいうな俺!

「ちぇふ?……んー病院送った方がいいわよねぇ……でもここの住人がやったことだったらあんまり表沙汰にはしたくないわ……」

嫌な予感がする。

「あっちの医者の方がいいわよね……」

というとオッサンは電話を出して誰かにメールを送りはじめた。

あっち?あっちって……もぐりーとか闇医者ーとかっすかねぇ?

もしかしてここのマンションやばいとこなんじゃね?

こえーよ考えたくねぇ……。

「あっ!きたわぁ」

頭を少し起こして周りをみると向こうの方から黒い車がやってきた。

ん?見たことあっぞ……あれってもしかして、俺をはねたやつじゃない?

いや、俺をはねたのは青かった。多分。

いや絶対そうだと思う。いやそうだ。うん。

車の凹んだ部分とか見てないから。全然見てないから。

「あぁ?どしたんだ?峰子」

運転席の窓がキュルキュルと開き、中から顔面凶器なおじ様が出てきた。

目をそらした。なんか頬にでっかい傷あるし。

どう見てもヤのつく自由業の頭さんじゃねぇか。

「事故よ。マンションの前で倒れてたから……ね?」

「あぁ。そいつか?」

「えぇ」

「金はあとから請求する。後ろに乗せろ」

「えぇ!?私からお金とるの!?」

「当たり前だろ。こんな餓鬼が払えるわけねぇだろが」

「助けちゃったしねぇ……いいわよ。あとで連絡して」

俺はオッサンに抱き抱えられ車の後部座席に寝かされた。

「ありがと、う……ございます……」

「いいわよぉ。家の前で人が死んでたら気持ち悪いじゃない?」

このオッサン……。

「ん、行くぞ」

「バイバーイ」

窓を閉め、鼻歌を歌いながら運転しはじめる頭さん。

俺は緊張して眠れなかった。

なのでサザ○○ールスター○の曲をFULLで聞いた。

いい曲だったなぁ。


とか思っているうちに病院?へ着いたらしい。

頭さんは無言で、寝たふりをしている俺を中に運び、

手術室らしきところへ連れていかれた。ずっと寝てたけど。

すると俺が起きているのに気がついたのだろう緑の服を着た

頭さんが麻酔をかけてきた。

今度はマジで寝た。

























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人生に幸せというおまけを 木葉 @SeeChicken

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