異世界モノというのは他ジャンルと同様に色々な楽しみ方がある。しかしテンプレ、たとえば魔法は、チートは、システムなどを、どう料理しているか、という分析視点で楽しむ方法は異世界モノの醍醐味と言えよう。主人公の現実世界の職業はカジノプロという馴染みのないもの。現実においてはカジノプロには固有の障害があるが、異世界にはその障害はなぜか存在していない。つまりこれは、マヨネーズ無双と同等のチート、と見立てることができる。登場する様々なカジノプロ特有の技法も、斬新な魔法利用技術、と解釈できる。そこが実に面白い。逆に言えば、そういう見立てをできるか否か、ということが、作品の評価を左右してしまう。そんな見立てへの導入を意識的に読者に提供できていれば、もっと面白い作品になったと思う。まあ、それはおいといても、キャラの行動原理がしっかりしていて好ましいので、毛色の変わった気軽な異世界モノとして勧めたい。
現代で、確率と様々な技をもとにカジノで生計を立てていたカジノプロの主人公。
彼はある日、異世界に転移してしまう。
現代社会で磨き上げたカジノプロの知識はそのままに。
そして、その異世界にもカジノはあった。
その日から、現代のカジノ知識をもとに異世界カジノで無双する日々が始まる!
といっても、カジノで派手に稼ぐわけではなく。
どうやって稼ぐのかは、読んでのお楽しみ。
訳アリだけど素直で聡く可愛い弟子もでき、その弟子にカジノプロとしての技術を教える手法をとりながら、読者にもわかりやすくカジノの知識を教えてくれる本作。
ギャンブルに対してまったく知識のない私でも、わかりやすく楽しめました。
これを読むと、いままでギャンブルに興味のなかった人でも、一度カジノに行ってみたくなること間違いなしです。