第2話 凄腕スカウトマン

自分が他店で、しかもホストクラブをオープンするということに

私を涼香と名付けたママは大賛成だった。

自分勝手とひっぱ叩かれるのではないだろうかと想像していたのが嘘のように。

「もし、もしも赤字になった時にはママに一声かけなさい」

それだけ言ってママのお気に入りだった赤と黒の着物をプレゼントしてくれた。

その着物は、ママがここぞという時にいつも着るのだと言っていた

ウン千万の着物。童顔でも強そうに、そして艶やかに見せてくれる。


深夜、タロウさんに呼び出され店に向かった。


「京香ちゃんはホストと無縁の女の子だから

良いホストを集めるったって難しいだろうと思って」


「・・・はい・・?」


そう言ってタロウさんは誰かの名刺と写真を差し出した。

黒めの肌に良いガタイ、強面な男性が写っていた。

反町●史によく似ている・・

涌井真澄、と書いてある。


「ワクイ、マスミさん?」


「そう!僕の息子のクラブで大活躍してくれたスカウトマンでね、公私ともに仲良くしてくれてたの!

今は美容系の会社で社長してるっていったかな?

この子がハントしてくれたホストは絶対売れるって歌舞伎町でひっぱりだこだったのよ~」


「え~~すごい!!!いいなあ」


「それで、昨日連絡したら、ぜひ一緒にやりましょうってことだったんで

一度直接コンタクトとってみてほしくて!

ごめん京香ちゃんのこと色々話しちゃった」


色々ってなんだ、、?と思いつつも

心躍る気持ちが勝っていた。


「緊張しますけど、ぜひ私もお願いしたいので連絡してみます」


「うん!あ、ここに呼んでもいいよ」


「えっ今、夜ですけど大丈夫ですかね?」


「昨日聞いたら、明日とかなら深夜でも稼働するって」


「あははは、じゃあ電話してみます」


緊張とは裏腹に、しっかりとスマホを握りしめて

冷静なタッチで電話をかけることができた。



「はい、もしもし」


「あっ夜分遅くにすみません。

私、す、」


癖で源氏名を使いそうになってしまった


「ああ、スズカちゃん?」


「えっ、、はい?」


あれ!?タロウさん私を源氏名で紹介したの?


「あっごめん!京香ちゃんね!おっちゃんから聞いた話が印象的でそっちで呼んじゃった」


「あ、いえ大丈夫です。印象的でしたか?」


「うん、だってわざわざ店のママ、

あんまり変えないようにしてくれたんでしょ?」



「あーそうです!そんなことまで話したんだ」


そう言ってタロウさんをじろりと見たが気づいていない


「で、どんなホストがほしい?

俺も忙しくて出向かうことは難しいんだけど」


「ですよね、、お手数おかけしてしまって」


「いーよ全然!楽しいし!良いの連れてくからわがまま言って!」


「ええーっと、、」


どうしよう、早く答え出したいのに思い浮かばない


「イケメン、高身長、可愛い系、クール系、トークもいける

経験者、関西弁、筋肉、盛り上げ役

これらをとりあえず揃えとく感じでいいかな?」


「あっはい!!そんなレベル高くて、なんというか、大丈夫ですか??」


「うん。都内から、南は大阪、中洲あたりまで

北は国分町、すすき野、、もいけるかな?くらいまでいるから大丈夫

一週間以内にはオーディション出来るように集めとくから。

京香ちゃんも店に人が入れるくらいにはセットしといて。」


「わかりました。ありがとうございます!!」


「ライン、mas0903umiね、じゃあね~」



「あ、ありがとうございます!」


風のような人だ、、真澄さん、、



「すごいでしょ、真澄くん。大丈夫か?ってくらいあっさりしてるのに

一流そろえるからねあっちゅう間に」


「ほんと、風のように電話終わりましたよ、、びっくり」


「明日、店休みだから僕と店行ってみよう」


「はい!!」



これから目まぐるしくなるのかな?


忙しいのが大嫌いなはずの私が

とてもわくわくしている。


向いているのかもしれない

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