遠足中、突如発生した怪獣たちのバトルに巻き込まれてしまった少年少女たちが生き抜く姿を描いた作品。
この世の生物を超越した能力を持つ怪獣たちからどう逃げるのか、どう立ち向かうのか、どう戦うのか。
様々な力を持つ怪獣。彼らに蹂躙される人間たちの姿も描かれている。
多分、作者さんは怪獣を愛してるんだと思う。この作品にはヒーローらしき容姿を持った巨大生物は存在しない。どれもが戦闘や破壊に特化した醜くも美しい姿のものばかり。戦闘描写の熱さからも怪獣愛が見て取れる。
破壊と戦闘を繰り返す怪獣たち。その先に何が待ち構えているのか――。
ある日、何の前触れもなく、瓦礫と化した大都会と共に崩れ去った日常。
人智の及ばない異形の怪物「怪獣」が蠢き、主人公を始めとしたごく普通の人間たちはなす術もなく翻弄され、その命も怪獣たちのなすがまま。多種多様な存在が暴れ、戦い、そして命を散らす怪獣たちの天国=人間たちの地獄と化した世界で、やがて主人公は思いもよらぬ運命に巻き込まれ始め……。
怪獣ものの王道を上手く料理した作品なのですが、何よりもオススメしたいのは、幾多もの特撮怪獣作品に対する様々なリスペクトが感じられる臨場感と絶望感あふれる文章や、次々に現れる怪獣に対する「愛情」溢れる描き方でしょう。
果たして、主人公たちは大事な仲間たちと共に、この絶望に満ちた世界から逃れる事が出来るのか……続きが待ち遠しくなる、空想「特撮」作品です。