ニネヴェの司書 (第9回座談会公開済み)

エントリー#12


作品名  ニネヴェの司書 

作者名  島野とって

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882674910



作品のキャッチコピー、あらすじ

『文字は残るが人は死ぬ。そこに託された意味も、やがて消える。』


アッシリアの王、アッシュール・バニ・アプリは「文字の霊」に憑かれている。

彼は国中の書物を集め、全ての文字を収めた図書館の建造を熱望する。

そんな彼の計画に従事する司書が一人。

司書は「文字の霊」の本質を知り、やがて王の過ちに気付く。



読みどころ


最古の図書館とも言われる「アッシュールバニパルの図書館」を舞台にした短編です。

文字が残せるものとは何か。そんなテーマでお送りします。



作者からの一言、メッセージ


「伊藤計劃氏の作品から「言葉」の面白さを学びました。

言葉とは何なのか、みなさんと一緒に考えていけたらと思います。」



座談会


ななせ「第九回の『座談会』をはじめますー」


七瀬 「あと一回で大台に乗るね。当初、五~六作品を見込んでいただけにまさか毎晩『座談会』を開くことになるとわね」


ななせ「実は、ここに来て参加作品が増えているんです……」


七瀬 「ありがたいことだね」


ななせ「ほんと、ありがたい限りですね……大丈夫かって気がしなくもありませんが。そんなことは置いておいて。さて、今回のエントリー作品は『ニネヴェの司書』。作者さんは島野とってさん。この企画がはじめまして作者さんで、SFを中心に書かれている方ですね」


七瀬 「少し変わったSFを書く作者さんなのかな? 『語りし者はさいわいなり』という作品ではプラハを舞台にしたゴーレムの話。『死者の日、メキシコシティにて』はメキシコが舞台のすこしふしぎ」

 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881876404

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881976815


ななせ「そして、今回の『ニネヴェの司書』はアッシリア。おそらくですけど、物語と土地を関連付けて書くことを意識されているんだと思います。その土地だからこそ起こり得る、そしてその土地だからこそ必然性のある、そんな物語を描こうとしているのかもしれませんね」


七瀬「なるほど。しかし、今回の作品はSFというよりも歴史という感じだね。アッシリアの『アッシュールバニパルの図書館』を題材にしているわけだし」


ななせ「この物語は、アッシュールバニパルの図書館に勤務する司書の物語で、彼が文字に宿る霊について考える物語なんですよ。つまり過去の物語」


七瀬 「SFといっていいのかな?」


N氏 「おそらく、この作者は『言葉』を『SF』と捉えているのだろう。言葉の持つ遺伝情報――ミーム的なものを伊藤計劃氏と結び付けて、今回このトリビュートを書いてくれたのではないかと思う」


ななせ「僕もそう思います。この『ニネヴェの司書』の主人公である司書が、言葉について考え、それが何であるかの考察していく様はまさにSF的ですし、導き出される答えも、なるほどと思える物でした。『虐殺器官』の『虐殺の文法』に通じていると思います」


七瀬 「なるほど、だとすると素晴らしい発想だね。まさか過去を描くことで、それをSFに仕立ててしまうとは」


ななせ「はい。僕も目の付け所が違うなあと感じました。伊藤計劃氏から受けたインスピレーションを前に進めるのではなく、過去を辿ることで『虐殺の文法』の本質に近づこうとしたのかもしれません」


七瀬 「古きを訪ねて新しきを知る――まさに温故知新の極みといえるね」


ななせ「ええ。僕たちも前だけを見るのではなく、たまには過去に思いを馳せてみるのもいいのかもしれませんね。本日の座談会はこの辺で終わりにしましょう」



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