悲しいときにだけ聴こえる
りんごジャム
2017年2月XX日①
瞬間、目に焼きついた喫茶店の光景。
彼の黒い髪、白いセーター、赤いヘッドフォン、赤いしおり紐の挟まれた分厚い本に目をおとした、大学生くらいの、しらない男のひと。
残念なことに、彼を見つけたのは私がもう帰ろうと立ち上がり、コートを羽織っているときだった。
しばらく彼を見ていたいと思ったが、再び椅子に腰を下ろして彼の様子を伺うのはおかしい状況で憚られた。決断をうまく下せないまま、本を読む彼の前を通り過ぎ、カフェを後にした。
そこに心を落としてきてしまったと気付いたのは帰り道、最寄の駅に着いてからのことだった。
悲しいときにだけ聴こえる りんごジャム @applejam
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