地獄ファウストと転生ファシスト、あるいは神愛なる彼女の話 L's Creation.

引用元→タイトル


【序文】

アルマゲドンと呼ばれる小惑星落下事件からしばらくのちの世界。

今流行の異世界ファンタジーと見せかけて言うほど異世界ではない地球を舞台に繰り広げられる物語。


物語の舞台は交易都市セントラルから始まる。

悪魔を宿した少年ブラッド・S・ベンジャミンと、失われた技術である錬金術の使い手ハナ・シモンはセントラルへの定住を目指すのだが――?

セントラルで起こる一連の騒動には転生者なる連中が背後についていた。



といった内容の本作のうち、第一章流れよ我が血潮、とファウストは言った。までを読みレビューした。

異世界ものと書いてあるのでてっきり異世界かと思いきや実質的に地球だったので、

主人公が異世界に行く系列を想像している読者には合わないと思われる。


【良点】

・知識量の多さ

 古典作品から引っ張ってきているなど、知識量は多いように思える。


【悪点】

・説得力のなさ

 主人公に悪魔の力が宿った話に関して(それだけではないのだが)ほとんど言及がなくさらりと回想で流されたりするので、読者が置いてきぼりになる。

 冒頭でヒトラーとルーデルが出てきて陰謀をたくらんでいる風に書かれるが、実際には特に陰謀もなかったようにしか思えないし、

 本当にヒトラーが(物語として)必要だったのかもわからない。

 悪魔の力が反物質並みの超エネルギーなんだよと言われても事件は所詮セントラルの中だけで収束しているので、

 しょぼいというレベルではない。

 悪魔を宿したことに関する葛藤は? あれだけで終わらすの? ドラマは? ハナとの関わりは?

 クトゥルー要素とか転生者とかその他裏設定があるのはいいけど、描写しきれてないというか使いきれてないよね? 感満載で進む。

・何も解決していない

 おそらくは文庫本一冊分使っておいてセントラルに定住しましたということくらいしか進まず、結局転生者云々などは一切回収されていない。伏線を張れるだけだって飛び越えていっている。

 序章であることはわかるし、黒幕や主人公について引き続き書いていくつもりなのはわかる。

 単体で見ると電波な内容であり、あんまりにもあんまりである。

・寒い引用

 古典や聖書から引っ張りたいのはわかるが、引っ張ってくる意味のわからないところで引用したりするので、流れが止まる。

・重複表現

 表現を使いまわしているのか無意識かはわからないが、重複して陳腐な箇所がある。

・長すぎる戦闘

 戦闘が長すぎて飽きてくる。



【総評】

 正直に言うとつまらない。

 主人公が悪魔の力に目覚めて黒幕たちの思惑を退けてヒロインを救う、と書けば単純だが、説得力のなさと稚拙な進行により台無しになっている。

 能力バトルにしても描写と内容が「????」となりがちなシーンも多く、読んでて冷めてくる。

 部隊に入隊しました、で物語は二章に続いているが、部隊に入ってからあれこれ騒動に巻き込まれて部隊員と衝突したりあれこれあったりとした

 ほうがよかったのではないか。設定だけ出てキャラが薄くて名前も覚えられない面々が完全に設定として死んでいる。

 二章をちらりと見たが、なるほど、一章は要らなかった蛇足なんだなと思ってしまった。

 一章には早急なテコ入れか、構成そのものを一考する必要があると考える。


以降は気になった点や思った点を記したメモである。


1.Lの訪れ。

ーー00ーー

ーは「うーん」「やめろー!」のような時に使うのであって―の代わりにはならない。すべて置き換えないと目に付く。

この後も永延使われるので修正するべき。スマホで書いているらしいが、読者側からするとどうでもいいことなので早急に直すべきだ。

以降指摘はしない。

・赤髪、というより紅髪

 三人称なので一人称よりにぼかすよりはっきり書くべき

・壁を水色、若草色、山吹色などの、カラフルに塗装していた。

 カラフルな の方が自然か

・そして、花壇には様々な種類の花が植えられ、街並みをさらにカラフルにしている。

 表現としてくどくてチープに感じる。重複している。

・全体 かっこいい単語を並べているだけで何が起こっているのかわからない。

 大多数の読者はここでブラウザを閉じて別の作品を探しにいく


2.二人のファウスト。

・「そもそもさ、錬金術に疎いよ。この都市は」

 どのへんが? 主観で書くなら例えば貴重な錬金術の本が二束三文で売られてるとかそういう描写が欲しい

・そのたいろいろ、なんだかんだ、すごいラッキーなこととか、めんどくさくてややこしいこととか、いろいろたくさんあってーーーー

 いらない。ギャグ調にまとめるなら本文にシニカルさを交えて最後にこれとか、永延詳しく改行なしで書き続けて最後がこれならまぁわかる


3.屍の食事は案外普通。

・そんな歴史を持つ交易都市の一角

 続けて読んでいることが前提なのは当たり前だが話数切り替わった直後だと違和感がある

グルメ的な描写は読んでいておいしい。

イチゴ味付け水=コーディアルではないので果実水とでも書くべきか?

・髪の色

 いろいろな種族が入り混じるセントラルにおいて髪の色がそんなに重要か?

 画一的な黒髪だらけな日本ならまだわかるが

・服装はゆったりしていてまるで外套のようだ。

 ローブではないか?

・手を合わせた

 日本でもないのに手を合わせる習慣があるのか? 違和感がある。

 キリスト教かはわからないが十字架でもきらせるほうが自然。


4.レトリバー

・ブラッドたちが朝食をたいらげたとき。客足は少ないようで、給仕さんたちは昼時のラッシュに備えて掃除などをしていた。。

 ちとまとまりがない。フレッドたちが朝食を平らげたことと店の描写は別の行にわけるべきか。 あと 。。 二重になってる。

悪党だの悪人だのと強調されるほど悪人っぽい服装をしてるようには思えないため違和感がある。

いっそ故郷のお守りと称して動物の頭蓋骨のネックレスでもつけておくとか……


5.マニア

・TACネーム

 パイロットのコールサインであって通称や通り名として使うことはない

 コールサインも同様。

・オルロイ

 プラハのものを指すわけであってこれを振り仮名にすると北海道の時計塔と振り仮名ふるのと大差ない。やめるべき。

・紅髪

 忌避される理由が正直よくわかんない。現実でも赤毛の人はいるわけで。

 エルフ族のねーちゃんに至っては青髪である。忌避されるイレギュラーな人間には到底思えない。


6.ひなどり(サタン)の相棒。

・クレパス クレパスで商標を取られている可能性があるので使うべきではないと思う。

・「「ーーーーーーーーーーッッ!?」」

 二重 「 ?だめといいたいけど最近の小説はいいらしいので特になし

・マクガフィン

 これに触れる必要はないのではないか? むしろこいつが事件を起こすきっかけなんだと即座に看破する主人公のキャラ性がおかしくなる気がする。これはキャラが思ったことではなく、作者が思ったことでしかない。


7.「帰り道に気をつけて」と彼は言った。

・違和感を感じた。

 覚えた。

・霧

 平地でも起こる。説明がくどいので要らない。ほかの描写に裂くべき。

・昼間の濃霧という異常空間に加え、視界不良という不安を煽る世界。

 に加え というからには別の視界をさえぎる要因がいるが、それは石柱のことを言っているのか?

 一人を囲む程度とすると別に視界をさえぎるようなことはしないだろうから表現を切り替えるべきか

・ブラッドとハナが行った朝食の際の店、そこの給仕をしていた小さな獣人の女の子ーーレトリバー。

 行った朝食の際? ブラッドとハナが朝食を摂った店の給仕の子、レトリバー。ではだめか?

・錬成陣

 若干某作品がかぶるがまあ別にいいと思う。

・ハナを囲むように、距離をとって囲んでいた

 囲むで二重になっている。


8.手を汚す。

何か体力を強化するような術を使っているでもないのに男一人背負って女の子が逃げられるものか? 無理だと思う。

・逐次投入

 戦力の逐次投入は愚策であるというか、群集がパニックになる前に麻酔銃で狙撃すればとか思ってしまう。

 主人公側を有能にするために敵を無能にするのはどうか一考して欲しい。

 自分ならば遠距離からの狙撃と罠で一気にしとめる。

・鬼畜的

 ? 卑怯なまでに、とかに置き換えるべき。こんな単語聞いた事もない。


9.バイナリ

特に気になったところはない。

 しいて言うなら露骨な文章稼ぎ


10.中途な少女と半端な少年。

・空にぷかぷか漂う満月は無慈悲な夜の女王のようだった。。

。は二つもいらない。有名な小説からとったのはわかるが場面にふさわしくない。

・ブラッドの『悪魔』は、大量の地殻エネルギーを携えている。今回、彼らはそれを狙った」

うん……うん? なるほどね(わかってない顔) ってなるくらいの超展開。伏線どころの騒ぎじゃない。

 読者が悪い意味で置いてきぼりにされてしまう展開。説明しろ、状況を匂わせろ、いろいろと書きたいことがたくさんある。

・劣化したジャック

 ジャックってなんだ? 劣化ってなんだ?


11.ネメシスは翼を得た。

・しかしそれは狂気的な魅力的

 的がかぶっている

・反物質を凌ぐエネルギー

 とてもそうは思えない。説得力がない。1g180兆ジュール生み出す反物質以上って書くとどのくらい説得力がないかわからないか? どれだけ凄いものか描写するか、何かしら説明するべきなのではないか?

・6時の方向

 これではどっちからきたのかわからない。時計を使って方角を表現するときは、自身が中心になる。南から、ではだめか?

なんでこいつら麻酔銃とかしかないの? ネットガンとかないの? テイザーガンとか放水銃や近頃だと音波兵器とか


12.ハイド氏の劫罰。

・一部始終を見たものはいなかった。銃声に備えるために両耳を手で強く塞いで、そのせいで無意識に眼も閉じていたから、誰も見ていなかった。

たかが拳銃ですよ? 対戦車砲ブチかましてるんじゃないよ? プロの皆様方?

・拳銃は暴発した。暴発で吹き飛んだ銃弾は男の眉間に吸い込まれた。これが一部始終だ。

 銃が塞がれると銃身が裂けるのはわかるけど銃弾が戻ってくることはありえない。よくてチャンバーが炸裂して手が酷いことになる程度。

・機関銃や拳銃の弾が彼を蜂の巣にするべき、銃火を放ち続けた。

 彼を蜂の巣にするべく、機関銃弾や拳銃弾が殺到した。 とかはどうか。なにか表現がおかしい。


 そういう世界なんだと言えばそうだけどアルマゲドン後は神の千年王国になるはずなんだけど神様は何をしてるのか?


13.氷上進攻

……うーん


14.ハーランの死の鳥と成層圏の要塞。

・姿勢は胸を張っていてスマートで、体格は大きく筋骨が重々しくて男らしい

 どっちなんだ?

・益荒男を柔らかくしたような外見

 優男を厳しくしたような風貌並みによくわからない。適切な言葉が見つからなかったにせよもう少しひねるべきではないか?

・彼の名は『レックス・F・メルクリウス』。治安維持隊に属し、【Fの青い鳥】と称される男だった。

 設定があるのはわかるが設定だけ出して語ったつもりになると世界がますます狭く感じてくるのでNG

・アウシュビッツ

 某錬金術師が脳裏をよぎったが、まあそこはいいと思う。


15.血とバラ

・化け物か、あいつは化け物か!?

 こいついままで何聞いてたの?

・ブラッド

 ルシフェルを宿しているにせよ弱すぎるし総統閣下は何か思い違いをしていたとしか思えない


16.ヒトラーの描いた薔薇。

・その間に起きていたお話。

 そこは描写を省いてはいけないところだ

・泥

 なんだっけ?

・魔導書

 そんな設定あったっけ?

・ネクロノミコン

・アカシックレコード

・ヒトラー

 こんな便利な能力あるなら後手に回らずに済んだよね?

 過去も未来も見えるんだよね? ねぇ?

・転生者

 この設定いる? ほんとにいる?


17.ハネムーンはいつまで続く?

・剣呑というのは盗賊やヤクザやマフィアなどの纏う悪人としての空気のことを述べているわけではなく、警察、軍隊などの国家機関が発する、厳格たる正義的圧力とでも言い表すべきものだ。すなわちその男は治安維持隊である。

 意味がわからなくなっている。剣呑の意味をくどくど説明する必要性がないし、ピントがずれている。

・風格

 外見について使う単語ではない

・それも実務の少ない特殊部隊的立ち位置であるナイト・ウォーリア隊である。

 実務が少ないのに特殊部隊なの? なにをするの?

・失踪した人々から生命エネルギーを抽出し、それを魔石的な物質に充填

 某作品が脳裏をよぎったが、まあいいと思う。


一章完結時における設定資料

 勘違いしていると思うが本編でやるべきものであってここでやるべきものではない内容が多数。

 本編が軽く10万文字近くあると思うが、文庫本一冊でまったくまとまりきっていないことを少しは考えるべきだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

~正直なレビュー~ 読んだ作品の感想を書く作品だよ! 月下ゆずりは @haruto-k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ