第2話 始まり

人間一人一人に何故クラスがあるのは分からない。

それは持っていてあたり前のもの。

じゃあ、なぜ?クラスを持たない俺がここにいるかというと。

ここに以外行くところがなかったからである。

俺は、普通に高校、大学に行っていい成績を残し安定した就職をすることを考えていた。だが、どこの高校にも入れなかった。せめて、高校に通ったという記録を欲しかった俺にはここ以外なかった。だから、この『クラス』という名の能力が特化した。

桜宮学園に入ることになった。

この学園は犯罪と侵略が増えてきたこの世界を守るために作られた。

だから、『クラス』を持たない俺はものすごく、浮いている。

ランクも成績も何もかも最下位。だって、持ってないもん。

そんな、俺にリゼは連れていきたい場所があると言われ、連れてこられた。

この購買部に……。

「着きました。ここが購買部です」

「広いなここ」

パンとかお菓子とかを売っている。小さなお店かと思っていたが、予想をはるかに越えていた。

入り口が自動扉になっており、4人並んで入っても、余裕でいけるスペース。

中は冷房がきいており、快適。

前から雑誌や本、お菓子やジュース、アイスやカップラーメン、パンなどがあり、コンビニみたいだ。

けど違う。コンビニにしては広すぎる。

これがここの購買部?ありえねぇ……

「抹茶アイス買うッス~」

「じゃあ、私はイチゴ」

アガサと朱里しゅりはアイスを楽しそうに選んでやがる。

「で、リゼ。なぜ俺をここに?」

「ツカサさんはクラスがまだ決まってないのですよね」

「まあ、そうなるのかな?」

ないと言われたけど、分からないとも言われたもんだから、答えにくい……

「でしたら、先に武器を選んでみてはどうですか?」

「なんで?」

「ツカサさんとは逆に多種の『クラス』を持った人もいます。そういう人は先に武器を見て、自分にあった武器を選んで『クラス』を決めたそうです」

「つまり、『クラス』がないツカサは似合った武器を選んで自分で『クラス』を作っちゃえってことよね?リゼ」

「そういうことです」

さっきまでアイスを選んでたアガサがいつの間にか。アイスを食べながら横にいた。

おいおい、店内で食うなよ。

「なるほど。『クラス』が無いツカサさんにはいい案かもしれないッスね」

「はい、『クラス』が無いツカサさんには先にやってみる価値はあると思います」

「そうね。『クラス』が無いツカサには適してるわね」

『クラス』が無いとか連呼するなよ。わざとだよね?

「それで?なんで購買部なんだよ?」

「この購買部、元々武器屋なんです。奥に行くと武器屋があります」

「はい?」

リゼが奥へと進んで行くので後ろからついてく。

「何で購買部と武器屋が一緒になってんだよ」

「本人に聞くと武器屋だけじゃ儲からないから購買部も始めたそうです」

「なんだそれ」

「ハハハ!面白いッスね。その人」

「着きました」

そこには確かに武器屋があった。

パッと見でも分かりやすいRPGゲームの武器屋が。

剣や槍、拳銃から機関銃までが購買部の所からでもハッキリ見える。

なにこの、全然違う場所。ここだけ別世界なんだけど。変な所。

「うわぁ~、変な所」

「思っても口に出すなよ」

なんでこの人堂々として言えるの?バカなの?

「凄い所ッスねぇ~。面白いッスね🎵」

なんでお前は楽しそうなんだよ。

「タモさぁーん。いますかぁ?」

リゼが武器屋の奥へと問いかけると……

「はいはいはぁ~い。いますよぉ~!」

中から中学生ぐらいの銀髪ショートカットの小さな女の子が出てきた。

「ブレイズへようこそ!あなたにあった武器をこのタモちゃんがお探しします!何がお目当てですか!」

武器屋もそうだが、格好も凄いな。フードにTシャツにホットパンツ。目の保養にしとこ。眼福眼福

「えっ~と、一通り全部見たいんだけど……」

「ん?全部ですか?あ、分かりました!あなた速水はやみツカサですね。」

あ、やっぱり広まっているよね。

なぜ、ただ『クラスなし』で噂が広がるのかと言うと過去例で死んだ人がいる。それはただの事故とかもあるのだが、周りを巻き込んでの事故死があったからだ。

だから、みんな俺を避ける。極力関わるようにしてるようだ。いつ死ぬか分からない。今この瞬間に死ぬかもしれない。周りを巻き込んむ爆発とか何かがおきるかもしれない。その可能性を考えてみんな俺を避ける。

俺も人を巻き込んで死ぬのはごめんだ。

だけど、これが意外と堪える。

喋る相手もいない。と言うのはキツイもんだ。

友達もいない。いつ死ぬか分からない事への恐怖を抱きながら生きるというのは正直、心がもたない。

だから、俺は色々諦め待つことにしたのだが……

こいつらのせい……おかげで頑張ることにした。せめて死ぬまで頑張ろう。

「ああ、そうだよ」

「それではこれからはハヤッツって呼びますね」

「あ……あ、あうん」

「そこのお二人は?」

「自分は赤羽朱里ッス」

「私は黒瀬アガサよ。タモちゃん」

「シュリリとクアちゃんですね!よろしくですぅ~!私はタモちゃんです。名字はまだ無い!」

猫か!

「ではでは!ハヤッツは《クラスなし》だから先に武器を選んで《クラス》を作っちゃう寸法ですね!それなら、タモちゃんにおまかせあれ!あなたに最高な一品を選びましょう!」

「お、おう。よろしく頼む」

「話が早くて助かります。では、ツカサさん選んできてください」

まだ、何も言ってないのに理解しやがった。話が早いって感じじゃあないのだが……

「フッフッフッ!タモちゃぁ~んは何でも分かるのだ!一味違うんだぜぇ~」

この子色々凄いな……

「では、どれからいきますか?」

「じゃあ、近いのから」

「分かりました!ではこちらへ、ずずいーと。ずずいーと。」

「やっぱりこの人面白いッスね」

「そうね。いろいろと面白いわね」

《セイバー》

「セイバーは主に刀や剣。刀剣を使う《クラス》です。握りと同じ位かそれより長い刃もしくは剣身を備えている武器の総称で刀や剣など代表的なものから大剣や太刀など少し変わったいろいろな武器があります。」

「セイバーにもいろいろな種類があるんだな。アガサは刀だよな」

「ええ、そうよ。普通の日本刀よ」

「あれ?そういえばお前二刀流じゃなかったけ?刀、一本しか見当たらないが?」

アガサの全身どこ見ても腰掛けている白い鞘の刀しか見当たらない。もう一本はどこにあるんだ?

「今は一刀流よ。ちょっと事情があって二刀流をやめてるの」

「へ~、そうなんだ」

「私のことはいいからさっさと選ぶ!」

「はいはい、分かりましたよ」

《ランサー》

「ランサーは主に槍を使った《クラス》です。刺突を主目的とする武器・武具の一種です。投擲することを目的としたものは投槍もあります。素槍(すやり)、管槍(くだやり)、片鎌槍(かたかまやり)、鎌槍(かまやり)、十文字槍(じゅうもんじやり)、鉤槍(かぎやり)など様々な種類もあります」

「種類が多いな……」

「一般的には素槍が人気です」

「薙刀も一応ランサーに入るッスよ」

「刀がついてるのにか?」

「セイバーとランサーはどちらも近接武器だから、どちらでもいいんッスよ。一応薙刀はランサーの方に入っただけッスよ」

「へ~」

《アーチャー》

「アーチャーは主に弓を武器とする《クラス》です。弓はしなやかな竹や木に弦をかけ、その弾力を利用して矢を飛ばす武器で種類は長弓 短弓 クロスボウなどがあります」

「弓って今じゃ使いにくいんじゃないのか?」

「はい、そうです。使いにくいです」

「じゃあ、なんでアーチャーを選ぶ奴がいるんだ?」

「それはですね。大半アーチャーの素質がある人は別の《クラス》の素質があるからですよ」

「……ん?」

「とあるアーチャーはキャスターの素質があり、弓矢の速度や威力、距離を強化したりして相手を攻撃したりしてたんですよ。他にもとあるアーチャーはアサシンの素質があり、気配遮断を使い相手に近づいてから射ったりして敵を倒したりしている人もいます」

「おお……なるほど」

「しかも弓矢なので音もしません」

「なるほどな、いろいろ工夫をしたりしてるんだな」

「そうなのです」

「つまり、《クラス》なしの俺には一番向いてない《クラス》だな」

「そうとは限りませんよ。今のはある人の話でアーチャーだけで戦ってる人もいます」

「どうやって?」

「ただの弓から機械的な弓にするのです。矢に爆弾をつけたり~、電気ショックをつけたり~といろいろ工夫してます」

「なるほどな」

《ガンナー》

「ガンナーは主に銃を武器とする《クラス》です。

銃とはですね。筒状の銃身から弾を発射する道具であり、砲より小型の物を指します。

一般的には火薬の燃焼ガスの圧力で、金属弾(主に鉛製)を発射する。銃から高速で発射される金属弾は強い殺傷力を持つため、狩猟や戦闘に広く使われています。

特にガンナーの人たちに使われてるのが拳銃です。その他にもライフル スナイパーライフル ショットガン マシンガン カービン グレネードランチャーなどあります」

「こりゃまた、いろいろあるな」

「一番始めやすいのはガンナーだと思いますよ?」

「そうなのか?」

「はい!射撃練習を欠かさずやればいつかは上達しますから」

「それ、他と変わらないぞ」

「確かに他の《クラス》よりはやりやすいです。いるのは使い方と自分にあった銃たったそれだけですから」

「そうなのか?使ったこと無いから分からねぇけどリゼがそう言うならそうなんだろ」

「……なぜ、私が言うことはすぐ受けいるのですか……」

「ん?なんて?」

「…………」

こっちを上目遣いで見てくるもんだから、感想は可愛いなです。

《アサシン》

「フッフッフッ、遂に自分の番ッスね🎵」

「アサシンは特に無いので次に行きましょう」

「何でッスか!あるでしょ。さっきまでみたいにこう~、武器はどうゆうのとか。アサシンとはどういうものとか!いっぱいあるッスよね!」

「ん~、そういっても~ね。アサシンとは簡単に言えば暗殺者。アサシンの可能性の欠片も無いハヤッツには言っても意味無いですよねぇ」

「ええ~」

「タモさん。教えてくれないかな?一応全部知りたいから……」

「……では、簡単に教えます。アサシンとは暗殺者。つまり、武器は目立たないものなら何でもいいんです。ある人は小刀。ある人は拳銃。ある人は毒。ある人は拳といろいろなアサシンがいるんです」

「ほぉ~」

「あとは、アサシンであるそこの忍者に聞いてください」

「自分は大半忍者の事しかわかんないッスよ」

「後で詳しく教えてくれよな」

「……」

「ん?どうした?」

「いいッスよ!自分におまかせあれッス」

(不意討ち食らった気分ッスね。あれは《えがお》は卑怯ッスよ)

《キャスター》

「キャスターは主に杖を武器として戦う《クラス》です。他にはステッキや魔法本、鏡や水晶玉を使う人もいます」

「へ~なるほどぉ~」

キャスターは適当に受け流そう。勉強したくないし。にしては、ずっと見てきたけどいろいろな武器や物があるな。

見てるだけならゲームみたいで面白いがな。

「ん?」

杖やステッキ、魔法本など言っていたがどれも聞いたのとは違うのが紛れていた。

「なあ?タモちゃん。これなんだ?」

俺が手にしてるのはブレスレットみたいな形をした物。それ見たタモちゃんは言いずらそうにしている。

「それは……お恥ずかしいのですが分からないのです。他の《クラス》の感じでは無かったのでキャスターに置いてただけなのです」

「へ~」

さっきまでいろんな《クラス》の武器の種類や性能を語ってたタモちゃんが分からないもの……少し気になる。

「つけてみていいか?」

「それは別に構いませんが……」

「どうせ、俺には《クラス》がないからうんともすんともいわないと思うが」

つけてみた。見た目以上に軽い。

「どう?」

「中二病」

「子供っぽいです」

「おもちゃッスかね」

散々な不評。そんなにダメ?

俺はカッコいいと思うけどなぁ……。

「ん?あれ?ちょっと待って……あれ?」

「どうしたんッスか?」

「………………………………………………………………外れない」

「え?」

「外れなくなっちゃった……」

「………………マジッスか」

それから30分後

どう頑張っても外れないので買った。

外れたら返してくれればいいと言われたのだが、着けたのは自分のせいだし、売り物を払はず持ち出すのは嫌だったので買った。

ちょっと高かったがまあ、カッコいいからいっかな。

購買部で武器を見ていたら19時を過ぎてしまった。

辺りすでに暗い。帰る人もいないようだ。

結局、相性の良い武器は見つからなかった。

「明日も頑張るか……」

後ろ向きはやめることにしたんだ。前を見て進もう。

とっとと寮に帰って休もう。ちょうど晩飯の時間帯。

「よし!今日は何を食べよっかな……ん?」

気分を切り替えて前を向くと、そこにはローブを来た人が立っていた。

顔はローブで見えない。身長は俺と同じぐらいだが、男か女か全然分からない。

ローブも人は手で俺に指をさし、そして首をカッ切る仕草をしてきた。

意味は誰だって分かる。「お前を殺す」そう奴は言ってきたのだ。

目が離せない。目を離したら襲われそうで怖い。

お願いだ。別の人であってくれ。

勇気を出して、奴から目を離し後ろを振り向いた。

そこには誰もいなく、俺に指した仕草だと確信した。

ダッシュで逃げた。バックを捨て思いっきり走った。

今日だったのかよ!今日死ぬ日だったのかよ!

だけどまだ希望はある!人目があるところに行けば!

だが、無駄に終わった。

いきなり、後ろから強烈に何かがぶつかり俺は転けた。

「痛ッ」

そして気づいた。胸に何かが貫いてることに。

気づいた途端に痛みが走ったが叫ぶ暇なく俺は死んだ。

少年、狙った獲物が死んだことを確認したローブの人間は誰にも見られる前にさっさと姿を消した。

だが、ローブの人間は失敗したことに気づかなかった。

少年、速水ツカサの手首にブレスレットのようなものが着いてることに。

「血液採取……持ち主……インストール……10…37…59…76…89…95…100%…完了。適合率…92%。情報展開…完了」

それは手首のブレスレットから発しられた言葉だった。

「速水ツカサを主と認めます」

この変なブレスレットはキャスターの武器だろうか?主と速水ツカサは認められたが彼は心臓を一突きでもう生きてなかった。

少し遅かったのだ。

「おいおいおい、死んでるとかあるかよ。しゃーねぇーな。生き返らすかな」

ブレスレットは死んだツカサに声をかけ、生き返らすと言い、何かの言葉を唱え始めた。

「ちゃんと代償は貰うぜ。マスター」
















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アンチヒーロー 夜城 鴉 @karasu

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