猫はまちを守ってる


猫って

「おなかが空いたー」

「ねむーい」

「あそーんで」

だけと思ってませんか?


またお会いしましたね。

国立ねこ大学国祭ねこ言語せんこう学科名誉教授にして、国際またたびセンター所長の猫山たまです。


猫はこう見えても

いそがしいんです。

そこで今日は猫の集会の大切なやくわりを

みなさんにお伝えしましょう。


では、また猫の集会を聞いてみましょう。


「ニャゴニャゴニャゴニャゴ」

「ニャゴニャゴニャゴニャゴ」

「ニャゴニャゴニャゴニャゴ」


あ、まだ猫語はおぼえていなかったのですね。

だいじょうぶ、そのために私がいるんですから。


「では長老、次のテーマです」

「うむ」


やってますねぇ、やってますねぇ。

猫の集会では、何も話してないようにみえて

大切な会議を日々、おこなっています。

猫にはナワバリがあり、一番年上の猫が取りしきります。


長生き猫は、知えがあるので、みんなからたよりにされるのです。


それがつまり、長老です。

たいていは尾が二つにわれて、

人の言葉をりかいしています。


猫又という妖怪は、この長老をさします。

かくいう私も猫又のしかくをもつ一匹です。


「まずは、また心ないニンゲンのせいで、ノラ猫が増えています。飼えなくなって、捨てたようです」

「うむ、保健所が動く前に保護しておけ」

「ニンゲンは身勝手すぎます、処断を!」

「うむ、バケネコ作戦パターンBで、こらしめてあげなさい」

「承知!」

「長老、次のお題ですが――」


さて、こんな感じで、次から次へと

問題を解決していきます。


「三丁目の一人暮らしのアキヤマさんに、ドロボー団が目をつけたようですが……」

「ボクたちに、よくご飯をくれるアキヤマさんだね」

「長老、いかがいたしましょうか」

「ふむ、わしらのアイドル、タエばーさんに泥棒とは、不心得者よ」

「ま、ドロボーだからね」

「セイバイしてくれるわ」


次の日、ドロボーさん達が、服まできりきざまれて、まるはだかで

警察署の前にほうりなげられていました。



『猫、こわい、猫、こわい、猫、猫、猫、こわーい』


とうなされ、おびえていましたが

お巡りさんは なんのことか分かりません。

そして、それでいいのです。


ニンゲンはだれも知りませんが

今日も町内会を 猫たちが守っているのです。


もし、皆さんが猫を見かけたら

『ありがとう』

なんて、ひつようありません。


ただ、お刺身とマタタビがあれば

言葉がつうじなくても

想いはとどくのです。


ただ、お刺身とマタタビがあれば――。



それでは、ここでワンポイントレッスン。

「あなたに、マタタビをあげましょう」

「ニャゴニャゴニャゴニャゴ」


さぁ、皆さんごいっしょに!


「ニャゴニャゴニャゴニャゴ」


かんべきです!

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