エッセイなど

@mute9127

淡い固執

中学の頃


テストの返却の時によく、




解答を書き直して


先生に採点が間違っていると言って


点数を上げたことがあった




別にテストの点数が低くて


怒られたくなかったわけじゃない




ただ89点を90点にしたいが為だった




(一度だけ65点を75点にしたことはあったが)




でも高校に入って


めっきりやらなくなった




いろいろと厳しくなったのもあったが




そもそもやる気が起きなかった




20,30いくらの点に1点足したって


微々たる差だったからだ




今でも思い出す




先生にバレないかとドキドキしながら


解答を書き直していた当時のことを




あれほどまでも


私はその1点に固執していた






私は地頭がよかったのか


高校はノー勉で進学校へ入学した




小中と全く自学自習など


したことがなかった私は


高校での成績は酷いものだった




が、周りも皆そうだった


平均点も低かった




平均35点の定期テスト




中学時代、定期テストでは毎回全教科


ひとまず満点を狙っていた私は




そのギャップに酔った




自分の点数に


価値を見出すことなど


なくなっていた






今思う。


どちらが良かったのだろうかと




中学での素行はずっと後悔していたし


高校に入ってしなくなったことに


自分ながら安心していた




しかし高校での怠惰な私を思い返せば


あの頃の固執を愛おしくさえ思う




「そういう問題ではないんだがな」


そう呟くに耳を塞ぎ




私は記憶に耽っていた


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