寿司王!!

満月 愛ミ

寿司王!!

 街の有名の回転寿司店として謳われている“寿司王”。


 寿司王のメニューの隣には、憎きランキングボードが飾られてある。ランキングボードは日替わりだ。


 1位 サーモン

 2位 ハマチ

 3位 マグロ

 4位 ネギトロ

 5位 えんがわ


 6位からは場外で、奴らからは同じ寿司として認められない。


 僕は、カッパ巻きだ。


「今日のトップも安定のサーモンさんでしょうね!」

「勿論だぜ。最下位のパーは可哀想になぁ」


 僕はこの店では最下位ってことで名前で呼ばれないどころかパーって呼ばれてる。偉そぶりやがって。何寿司だよ。


 僕達はまぁ、外の見本だけどさ。


「もしランキングに入りさえすれば名前で呼んでやるのになぁ」


 サーモンめ。


 僕達だって、主人が握ってくれた寿司なのに――!


「んー、ここの見本も美味しそうに作ってあるなぁ」

「本当ですね、美味しそうだ」


 おじさん達、お客さんかな。僕達をまじまじと見た後、おじさん達はお店に入っていった。お店の中で、おじさん達の声が聴こえる。


 どうせサーモンかな。


「サーモンと、そうだなぁ。たまにはカッパ巻きも食べたいかな」


 その声に、サーモンが驚いて僕を見る。

 え? 僕の名前? 僕が呼ばれるなんて、今日はいい日だ。


 そして、嬉しい気持ちになってたら、沢山の足音が近づいてきたかと思えば、こ、子ども――!?

 え、何人!? 1、2、え、え! 数えきれない! 凄い、チームかな。


「サッカーお疲れ様だったな! 皆何食べる?」

「僕かっぱ巻ー!」

「あ! 俺もー!」

「美味しいよな、かっぱ巻き」


 子ども達が嬉しそうに僕の名前を呼んでいる。


「よし! 優勝祝だ! 食べろ食べろー!」

「おー!!」


 子ども達が、光り輝いて見えた。

 それからも、子どもの団体がやってきて、店はてんやわんや。

 サーモンがガクガクしながら僕をみている。


 今日の終わり、ランキングのボードが主人によって変えられる。


 1位の結果にサーモンは驚愕、僕は目が輝いた。


「僕達だって、立派なお寿司だよ」


 子ども達に、感謝だ。

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寿司王!! 満月 愛ミ @nico700

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