第32話 盗賊と出来損ない

村を襲撃した者の気配を察知しながら追っているグィーノは、村から数十キロ離れた所、気配まではあと数キロの所まで来ていた。わかったことは攫ったのは人族で気配では120人、村人の数から引いても30人程度だった。


(おそらく盗賊だろうな、30ならばすぐに片付く)


そう考えている間に前方に馬車が見えた。二頭立の馬車が5台だった。


グィーノは最後尾の馬車の中に音も無く侵入し中に居た盗賊5人を剣の鞘を使い気絶させた。


5人の倒れた音が聞こえた従者席に座っていた盗賊は、


「おい!どうした!」


その間にグィーノはキョトンとしている村人たちに静かにするようにジェスチャーすると従者席に座っていた盗賊も素早く気絶させ馬車を操作し始めた。そして、村人に話しかけた。


「混乱しているでしょうが、縄を切りました。誰かこちらへ来てください」


「あ、あの、グィーノさん」


、グィーノも何度か村に立ち寄っていたので村人は、グィーノのことを知っていた。


「他の奴も助け「もちろんです。すみませんが運転を代わってください。そのまま付いて来るようにお願いします」は、はい!」


返事をした村人は手綱を握ると慣れた手つきで操作を始めた。


「残った皆さんはその転がっている奴らを縛っておいてください」


そしてグィーノは、同じような手順で村人を助けていったが、盗賊は馬を操作していた者以外気づくことなく気絶していった。


最後の盗賊も気絶させ馬車を止めると後を追っていた馬車も停止して、村人たちが降りてきて、互いの無事を確かめ合い喜びに浸っていた。


「お助け頂きありがとうございます」


「村長、全員いますか?」


「はい、他の者もここにある馬車に乗せられていました」


村長は嬉しそうに周りを見渡し、首をかしげ慌ててグィーノにすがりつき質問した。


「グ、グィーノ様!ジェニー、グィネヴィアは何処ですか!?」


「大丈夫ですよ、馬車を使ってリーベ達と一緒に屋敷に向かっています。皆さんのことをとても心配していました。早く顔を見せて安心させてくださいね」


すると、集まっていた村人達が騒がしくなってきた。見れば盗賊達を改めて縛り直しているところだった。

村長とグィーノが近づくと先程の村人が近づいてきて言った。


「村長、グィーノさんお伝えしたいことがあります」


その話を聞き、少し考えるとグィーノは、「皆さんは、取りあえず村に戻ってください」と言って、走り去ってしまった。





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リーベとマントの男の戦いは劣勢だった。ゴーレムは、爆発魔法の【エクスプロージョン】によりすでに破壊されていた。


「【サンダーニードル】」


「【アースウォール】...っ!」


リーベは魔法の使いすぎかMPがほとんど無くなり動けなくなってしまった。マントの男は、余力があるようだった。


「おやおや、■■がそんな醜態をさらすとは」


「黙れ!」


リーベは膝をつきながらも男を睨み続けている。


「...どこでその名を!」


「どこでと言われてもねぇ、どうせ死ぬんだ教えてあげよう。依頼主さ、君の生まれたときからの話を聞いた」


「依頼主だと?」


「そうさ、仕方ない依頼内容も教えて...「【ミニファイヤボール】」!」


リーベが放った魔法は男に当たることなく空に飛んで行った。


「はぁ、所詮は魔法もろくに使えない出来損ないか。可哀想に、■■に生まれ苦労しただろう。それでは、やはり救いを与えるとするか」


そう言いながら男は薄ら笑いを浮かべマントの中から剣を取り出し、


「願わくばこの魂が救われますように...リーベ・■■■■■。さようなら」


リーベめがけ振り下ろした。

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異世界転生は兄妹で スビラ @shubira

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