第31話 ■■■■■とゴーレム

(絶対ヤバい奴だな)


馬車の前に立ちはだかった黒マントの言葉にそう確信したアランに、


(鑑定する?)


いつになく真面目にエリンが聞いてきた。


(しても俺たちに何が出来るかわからないし相手を警戒させるかもしれない)


(そっか...)


エリンでもこの状況では焦っているようだった。


(ねえ叡智メーティス、私達に出来ることって本当にないの?)


『そうですね...今の状態ではなんとも言えないです』


(...見てるしかないのか)





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





(この嫌な感覚、自身の魔力を遮断してる!)


この世界ではほとんどの生物が魔力を持っている。さらに、意識しなくとも体から常時魔力が放出されている。それを遮断しているのは、主に警戒されている者から身を隠すためである。


そのためリーベは、敵だと仮定した。


「救い?貴方がそこを避けて頂くのが一番の救いですが?」


こう言っているリーベだったが内心では打開策を考えていた。


(この感じ、かなり強い。グィーノ様と同じかそれ以上。ならば)


リーベは、黒マントに聞こえないくらいの声でアーティに指示をした。


「(アーティ様、リズ様、彼が村を襲った奴かもしれません。私が抑えますのですぐに屋敷の方へ逃げてください)」


すると、


「(何言ってるんだ!僕も戦う!)」


アーティは、グィネヴィアの村を襲ったと聞いて、怒っているようだった。しかし、リーベは冷静に、


「(ダメです。正直に言って足手纏いになります。それにリズ様やグィネヴィア様、アラン様、エリン様に何かあったら誰が守るんですか?)」


「(...わかった)」


すると黒マントが、


「お話は終わりましたか〜?」


「...ええ、終わりました」


すると、リーベは馬車から降りどこからか杖を取り出し、詠唱を短縮して魔法を放った。


「【ミニアースボール】」


大きさを削り数を出すことで弾幕のように黒マントを襲った。


「今です!」


アーティは、馬車を走らせ屋敷の方へ向かっていった。


「...行ってしまいましたね」


魔法を受けた黒マントは、大したダメージもないようだった。


「行かせませんよ。【アースバインド】」


黒マントの足を素早く土が包み込み固め込んだ。


「元から追うつもりはありませんよ、貴女を救わないといけませんから」


黒マントは、フードを外し笑いながら言った。


「リーベ・■■■■■」


「なっ!」


ヴァールハイト家しか知らない名を言われ動揺した隙に黒マントは、魔法を放った


「【エクスプローション】」


突然、足元で発生した爆発がリーベを襲った。


煙が収まるとそこには誰もいなかった。


「そこです」


爆発の直撃は避けたリーベだったが、黒マントが魔法を直接見ずに放ってきた、


「【アイスアロー】」


「【ファイアアロー】」


ギリギリ相殺出来たが、爆発の余波で多少のダメージを負ってしまった。


「いや〜流石、■■■■■ですね。相殺されるとは思いませんでしたよ」


「その名で呼ぶな!【クリエイトゴーレム】」


すると地面から2メートルほどのゴーレムが出てくるのだった。

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