第30話 村人と捜索

村に戻りその惨状を見てから1時間がたった。ジェニーはアランと女達と一緒に馬車で待機していた。


(空気が重いですね)


(仕方ないさ、こんなことがあったらさ)


「...」


「ねえ、ジェニー...大丈夫?」


1時間ジェニーは、ずっと黙ってしまっていた。


「リーベ、ジェニー大丈夫かな?」


「ショックが大き過ぎますね。村も人もなくなってしまいましたから...」


するとグィーノとアーティが馬車に戻ってきた。


「グィーノ様、どうでしたか?」


リーベの問いかけにグィーノは首を振った。


「残念ながら誰1人いませんでした」


それを聞いていたジェニーは、


「おじいちゃんは、私の本当のおじいちゃんじゃないんだ。それなのに育てて、本当の家族のように接してくれたんだ...」


村人の事を話し始めた。


「ダミアンおじさんはいつも面白いお話を聞かせてくれたの...」


「ケリーおばさんはお料理を教えてくれたんだ...」


「リックさんは村の警備とかしてるお兄さんなんだ...」


ジェニーは、たくさん話した後。泣きながら、


「みんな...優し、くて...大好き、なのに...なんで...死...」


だんだんと声が小さくなっていった。








「ジェニー、泣かないで」


「...え?」


アーティがジェニーを見つめながら言った。


「誰もいないのには変わりない。けどおかしいんだ。」


「その通りです。グィネヴィア様、安心して下さい。村人は誰1人として死んでいません」


グィーノは、争った形跡が全くない事をジェニーに伝えた。


「つまり、何者かに攫われた可能性があります」


「みんな...助かるの?」


「助けます」


その言葉を聞いたジェニーは、


「お願いします、みんなを助けて下さい!」


「承りました」


すると気絶するように寝てしまった。


「「ジェニー!大丈夫?」」


「落ち着いてください。疲労とショックが大きかったようですね」


「攫った相手の考えは分かりませんが、向かったであろう方向ならわかります。私が救出してきますので、取り敢えず屋敷にリーベと一緒に戻ってください」


「僕も行く!」


「ダメです!どんなに危険かわかりません!それに、屋敷に着くまでにグィネヴィア様やアラン様、エリン様の事を守りこの事を伝えなければならないのですよ!」


「...わかった。でも、頼んだよ」


「はっ!」


そして消え去ってしまった。


それを見たアーティは、


「リーベ、早く行こう」


「はい」


馬車に乗って帰路に着いた。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





(話が凄すぎて何も言えなかったな、しかしグィーノ1人で大丈夫なのか?)


『魔物の反応は100は下りませんでした』


その多さに驚いたアランは、


(まじかよ、いくらグィーノでも流石にキツいんじゃ無いか?)


『いえ、その位でしたらグィーノなら大丈夫で...っ!』


叡智メーティス、どうした?)


『馬車前方にいきなり反応が...』


すると馬車が急停止してしまった。どうやら馬車の前に1人の男が飛び出してきたようだ。


「何ですか!急いでるんです避けて下さい!」


リーベの呼びかけに反応した男は、唐突にニタァと笑い、言い放った。







「君達に救いを...」


そう言った男は黒いマントを付けていた。

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