my diary

篠崎啓斗

第1話 Feb 17 2017

人に限らず死んでしまったらそれから残されたものはどうしたら良いのだろう。

私はもうすぐ命の終わりを見ることになると思う。

今まで身近な命が終わるのを見たことがない。

だからどうしたら良いのかわからない。

泣くのかもしれないし、そうではないのかもしれない。

でも、泣きたくはない。

私より悲しむべき人間がいるから。

私はきっとそのことの方が心配なのだろう。

ちゃんと支えられるだろうか。

そのためには、しかるべき時が来るまでに死生観のようなものを構築しておかなければいけない。

どうしたら。

寿命を全うしたものがこの世を去るのであれば

それはとても幸せなことだと思う。

死ぬのが怖くないかと言われれば言葉に困る。

でも、もし私の家族がいない世界ならば怖くはない。

家族ほど私にとって大切なものはないのだから。

その家族が家族の死によって悲しむのを見たくはない。

あの時ああしていれば、こうしていればとよく聞くが

そんなこと無意味だと思う。

生きているうちに十分な幸せを受けたから

もう満足したよと言ってこの世を去るのかもしれないのに。


死ぬことは悲しいこと。

誰が一体そんなことを言ったのだろう。

どうしてそのことを誰も疑わないのだろう。

二度と会えないことは悲しいことなのか。

私はそうは思わない。

顔をあわせるために生まれてきたわけでもないのに。

大切なのはもっと別のところにあるはず。

どうしてみんな不幸になりたがる。

どうして。

どうして葬式で皆泣くのだろう。

悲しいから?

遣る瀬ないから?

虚無感はきっとあるはず。

でも

やっぱり

死ぬことは

悲しいことじゃないと思う。


どうして幸せになろうとしないの。

皆みんな。

いいのに。

幸せに生きればいいのに。

幸せに死ねばいいのに。

どうして?

何を恐れているの。


わからない

わからないよ。

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