例えば私が。
煌⇔参叶
手紙を書くとしたら。
愛ちゃんがたとえば
みんなの大嫌いなほうの愛ちゃんだったら。
今頃、未来の私に手紙を書いてる。
お手紙の返し方と送り方は自分に教わったそうです
私は、彼女の生きた証を読みました。
初めて書いてくれたお手紙から今迄、ちょっとずつ、大人になっていくようで
あなたが剥がれ落ちていく気がします。
私は、彼女の亡骸を重ねて
束ねて
机の下に隠しています。
今どこで何をしているのかは分かりませんが
時折、ふとした時に
お手紙が届きます。
ノートの間
ファイルの隙間
テーブルの上
枕の下
あの子は、ポストが何であるかを知りません。
伝える事はまずは「想う事」から始まるのだと教えてくれました。
入口は、一つではないようです。
あなたが幸せそうに書く字は柔らかくて
わたしはほっとします。
あなたが辛そうに書く字は酷く歪んでいて
わたしはあなたが笑っていられる未来を願います。
あなたはお外ではたとえ震えることなく
大切なものを守っていました。
あなたはこの部屋で1人になると
泣いて震えます。
強がって私にお手紙を宛てても
あなたの字を見ればすぐに分かります。
あなたが文中で嘘をついている事も分かっています。
だから、"初めて"「しあわせです」と書いてあった時
私はやっと仕事を果たせた気がしました。
その言葉が送られてきてから彼女からのお手紙は来ていません。
あの子が手紙を書かなくなったのは
便箋をきらしたか
部屋を出て、
伝える仲間ができたんじゃないかと思います。
だからかたまに部屋が広く感じることがあります。
みんなが大好きなほうの愛ちゃんは
いつでも、楽しみにしています。
お返事も書きます。答え合わせもしましょう。
いつ帰ってきてもお手紙を書けるように
便箋はいつもの所に置いてあります。
机の端っこに、大好きな赤色の便箋を。
例えば私が。 煌⇔参叶 @tatoeba_watasiga
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