私たちは、マリー・アントワネットではないのか?

21世紀の精神異常者

第1話 21世紀のマリー・アントワネット

マリー・アントワネット。

過度の贅沢をしたが故に、国を滅ぼしたとされる彼女。

彼女は、果たして、悪女と呼べるのであろうか?

「パンが無ければ、ケーキを食べなさい」

これも、彼女の言葉では無い。

彼女を断頭台へと送った者達の流言飛語である。

彼女は、庶民の苦しみを知らなかった。

知っていて、目を背け、贅沢をしたわけでは無い。

知ろうとしなかったことが悪いのだと人は言う。

だから断頭台送りになったのだと人は言う。


翻って、今の私たちは、どうであろうか?

彼女よりも、多くの資源やエネルギーを贅沢に使っている。

国を滅ぼすどころか、地球を滅ぼしかねないと警告もある。

私たちは、彼女のことを悪くいえる立場であろうか?

「住める国が無ければ、他の国に住みなさい」

私たちは、事実を知っていても、目を背ける。

多くの人々が死んでも、知ろうとしない。

21世紀のマリー・アントワネット。

これが、私たちの正体なのでは無いか?


私は18世紀のベルサイユ宮殿の主人になりたいとは思わない。

どんなに贅沢だと言われても、今の暮らしの方が快適だ。

トイレが臭すぎて、庭園で野グソをするのが淑女のたしなみ。

食事も今の時代の方が、美味しいものが食べられるであろう。

スマホも無ければ、ネットも無い。読書すらままならない。

こんな不自由な暮らしは、ごめんだ。


今の私たちは、恵まれすぎているのでは無いか?

もちろん、足下で貧困問題が拡大しているのは知っている。

テロの恐怖が拡大し、利己主義が幅をきかせる。

でも、結局は、見て見ぬふりだ。

21世紀のマリー・アントワネット。

これが、私たちの正体なのでは無いか?

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