二日目 思い出というもの。
俺は泣きながら一度家に帰った。
思い返せば山口とは本当にいろんな事があった。
ケンカもした。でもすぐに仲直りして、また遊んで、思い出が記憶を辿るたびにオルゴールのように浮かんでくる。俺らの人生というなの曲だ。
「そういえばどこ行くか聞いてねぇな。」
もう12時だ。そういえば山口は学校はどうするのだろうか、
今さら「やっぱ学校行くわーっ」って言われても困るけども。
ピンポーン
家のインターホンがなった。美山とかだったら面倒だな。
開けるけど。
「あ」
山口だ。まだ1時じゃないのに。
「どうしたんだよ、集合時間じゃないだろ?」
「いやー、まだ聞いてないことがあってさ、いつだよ」
「え?」
いつ?なんのことだろう?唐突すぎて固まっていると
「いつ死ぬんだよ」
あ、そゆこと、
「4日後。」
「そっか、」
?なんだこいつ、いきなり来て。
「なんかさ、お前がいない日常を考えてたんだ。そしたらさ、いてもたってもいられなぐなっで…」
山口は下を向いて鼻をすすりながら喋っている。泣いてくれてるんだ。
こんな俺のために。
「なんでもないんだ。ごめん」
俺と一緒だ。凛に会いに行った俺と一緒。
だめだ。また涙が頬を伝っている。山口がさっき泣かずに頑張ってくれたのに。
なんか話さなきゃ。
「解った。なんか食べにいごうぜ!」
明るく振る舞ってもやっぱり声が濁る。
「え?でも…」
「どうせ死ぬんだ。山口とメシ食ってた方がいい。」
山口はもう涙と鼻水で顔がグチャグチャで、でも俺に見せないように下を向いていた。
俺はどんな顔をしてんだろう。
「うん!」
「楽しかった。」
何が楽しかっただ。あと4日だぞ。
1人の帰り道、また泣きそうだ。もっと一緒にいて、酒のんで、話したかった。
『なんかさ、お前がいない日常を考えてたんだ。そしたらさ、いてもたってもいられなぐなっで…』
山口の言葉が何度も俺の中でこだまする。
俺がいなくなったら、どうなるんだろう。
悲しんでくれる人はいる。
でも世界は何一つ変わらない。
現にいまもどこかで人が死んでいるかもしれない。
でも変わらない。俺はここにいて、山口がいて、凛がいて…
「死にたくない」
多分今のが本心ということなんだと思う。
自分のなかで死にたい。と思っている。それも本当だ。
だけど、心の片隅にあってそれが本当に追い詰められた時に出てしまうのが本音なんだと思う
「ハハ、なんだそれ」
家に帰って布団に倒れる。
明日は…どうしようか。
死ぬということ。 @TAKUSIN
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