二日目 友人

「それで?1日目はどうじゃった?」

「うまくいかなかったよぉ」

最期の5日間、1日目が終わって眠ったらまたこの草原に来ていた。

「それにしても、残り5日でやりたいことは世話になったヤツへの感謝か」

「うん、ベタでありきたりだけど俺にできるのそれくらいだから」

最期の5日間、世話になった人への感謝ってたしかにつまらないけど、

特にやりたいこととかないし、世界一周とか、その…えっちいこととか、

「まぁたしかにつまらないな。」

そこは否定してくれよ!

「しかし前から思ってたが、お主割りと冷静じゃな。他のヤツはもっと取り乱したりこの状況を理解せずにいるのに」

ダニエルが俺に不思議そうに聞いてくる。

「うん。俺も不思議なんだけど、なんかここ?とかダニエル?が懐かしく感じるんだ。」

「わらわが?」

「あーいやいや、ダニエルって名前が」

なんだか「ダニエル」という名前が懐かしく感じる。ダニエル(幼女)の方じゃなくて。

「そうか…」

いま一瞬ダニエル(幼女)が寂しそうな顔をした気がした…けど気のせいだな。多分

そんなコミック的展開もちょっとは期待しながらもやっぱり思い出せない、ダニエル。

「それで?2日目は決まったのか?」

「うん。もう決まってる」

2日目は友人の山口 大貴(やまぐち だいき)だ。と、いうか幼なじみでよく遊んでた。面倒見が良くて、かっこよかった(性格)多分俺が女なら惚れてるだろうな。

「おっと、そろそろ時間じゃ、またのぉ」

「えっ?あっ、ちょっと…」

やっぱり、


朝だ。時計は6時24分

昨日と一緒。普通で、いつも通りな朝。

でも美山いるから学校にはいきたくねぇな。

まだ朝早いからいこう、山口んとこ

迷惑かもだけど。


ピンポーン

インターホンを鳴らす。こいつも俺と一緒で独り暮らしだから絶対あいつが来る。

「はーい」

まだ眠そうな声が聞こえる。そりゃそうか。

目を擦りながら山口が出てくる。眠そう。

「なんすかー?っておい!永近!おまえなにしてたんだよ!連絡もしないで」

「あー、ごめん色々忙しくて。」

忘れてた。そっか俺一回死んだのか、ひかれて。

「あ、そっか、そりゃそうだ。」

こんな感じで詮索してくれないのも山口の良いところだ。本当イケメン(性格)

「どうした?朝早く」

怒らないのね!?さすがだ、もはや清々しいほどにやさしい。イケメン(性格)だ。

「実はさ、もうすぐ死ぬんだ。俺」

「…」

そりゃ信じないよな。いきなり来てもうすぐ死ぬって、しかも朝6時30分過ぎくらい。

なんか山口、家んなか走ってる。うるさい。

「いやっ、ちょっ、お前どうした?!」

山口がなんか着替えてきた。制服じゃなくて、普段着。

「お前さ、そーゆーこと早く言えよ。」

山口が急に真剣な口調になって言う。

「信じるのか?このこと」

「そりゃこんな朝だし、なにより親友の言うことだろ!」

あぁ。

「今はどこも空いてないから、1時集合な!俺ん家」

やっぱり。

泣き顔をできるだけ隠しながら、明るく接してくれてる。俺に

普通こんなこと信じないよな。普通。

あぁ。

目の前が涙で溺れていくのがわかる。

「うん。解った。」

そうだった。友達じゃなかった。親友で、家族みたいなやつだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る