一日目 彼女

朝だ。


いつも通り、高校行って、そんで授業してメシ食って帰る。

そんな日常が始まりそうな朝。

「やっぱ夢だったのかなぁ?」

ダニエルとの会話とかは全部覚えてる。

あれが夢だとしたらあまりにもリアルだ。そして懐かしく感じる。

「死ぬまでにやりたいことねー」

特に見当たらないな、なんかこう欲が無いというか、そもそも俺はいつから

死んでみたいと思うようになったんだろう。中学生?もっと前?さすがにそれは無いか。

というか死んでみたいというより死にたい。に近い気がする。

「覚えてないな」

「とりあえず」

いつもの朝だ。周りもいつもどーりだろ。

「学校いこ」

学校の通学路を歩く。

・・・・・

なんかいつもより見られてる気がする。

やな感じじゃない見方。こう


まるで死んでるヤツを見るような。


学校に行った

「あと5日かー信じてないけど(笑)」

教室に入る。うーむやっぱり見られてる。

「ちょっと佐藤くん。来てくれる?」

生徒指導の美山(みやま)先生(女)だ。

生徒指導に呼ばれるとか根拠の無い恐怖感じるんだよなー。

「あなた、昨日は何してました?」

「えっとフツーに帰って…」

「違います病院の後、です。」

え?病院のあと?

『単刀直入に言う。お主は死んだ。』

ダニエルの言葉が花火のように浮かんで消えていく。

『5日だけ…』

「あっ…」

分かった。やりたいこと。見つけた。

「何か思い出したんですか?あなたが高校生で独り暮らしで大変なのは分かりますが親御さんにも連絡しないで勝手に病院をでるのは…」

知るか。そんなの。

「学校に連絡が来たときは…」

あぁ。行かなきゃ、こんなとこいる場合じゃない。

俺はすぐに学校をでてある人のところへ向かった。元カノだ。

美山の声が聞こえた気がしたけどそんなことはどうでもいい。

俺が5日で出来ること、それは世話になった人へのお礼だ。

そして時間も、スマホも、何も見ずに来た。

「この家だ。」

桜 凛(さくらりん)中学で付き合ってこいつは中卒、俺は高校って感じで

自然消滅っぽい。分かんないけども。

すぐにインターホンを鳴らして言う。

「凛さん居ますか?」

出てきたのは本人。

「はーい…えどうしたの急に、学校は?」

うーむ、もっとこう

『え?久しぶり!元気だった?』80点。

とか

『また会えた!会いたかったの!』120点。

それは無いか。

まぁそれは置いといて。

「えーっと、あー」

いざ話すと言葉が出てこない。ガキか俺は、あ、ガキか。

モゴモゴしてるうちに凛が「フフッ」って感じで笑ってる。

「永近君ってなんか変な話?とか大事な話のときってそんなかんじだよね」

そうだったのか俺、知らなかった。

「あー、うんまぁそんな感じ。」

「で、どうしたの?」

「実は、あー死ぬってわかったらどうする?って聞きたくて。」

あぁまただ、いつもこう、大事なとこで言葉が出ない

「そんなことでわざわざ来ないよ?普通」

さすが凛、いや凛様!そうやってデート中もそんな感じだったよね、そこが好きだった。

「あ、ごめん実は俺、もうすぐ死ぬんだ。」

「その感じはホントっぽいね」

わかってくれた。やっぱり、だから最初に来た。

「あと何日くらいなの?」

「5日」

本当ならそんなすぐ!?とかだけど多分凛は

「それも本当っぽいねー」

予想どうり。

「でさ、葬式のときはちゃんと泣いてよ、てか来てよ!?」

「分かってるから」




帰り道。もっと色んなこと話したかった。最後だし。あぁ、最期か。

でもなんで俺が死にたいのかはまだ分からない。

あと4日。

寝るとしよう。明日はどこに行くか決めた。

そしてめを閉じる。

「どうじゃった?1日目は?ふむ、行きたいとこはいけたようじゃな。」

まぁ薄々思ってたけどやっぱ毎度ここ来るのね。

やっぱ懐かしい。なんでだろう。

あれ?

ダニエル?

聞いたことある気がする。

ずっと前。

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