河童封じ地蔵
卯月
河童封じ地蔵
福岡県北九州市若松区の
昔、高塔山山頂にあった池の水を巡って、河童の群れ同士が、夜になると激しい空中戦を繰り広げた。戦死した河童は地上に落ち、ドロドロの液体となって田畑の作物を腐らせ、麓の村の人々を困らせる。
そこに、
何千度目かに総学が地蔵に触れたとき、背中のたった一か所だけ石が柔らかくなっていた。経文を唱えながら釘を地蔵に打ち込むと、河童たちは一匹残らず地中に吸い込まれ、封じられた。
現在でも、地蔵の背には釘が刺さっている。
平成の御世。その地蔵の前で祈祷を続ける、一人の山伏がいた。
全国行脚の途中にこの地を訪れた彼は、打ち込まれた状態に見える釘が実は一度抜かれ、地中は
どれほどの月日が過ぎたか。ついに、地蔵の背が豆腐のように柔らかくなった!
山伏は力強く金槌を振り上げ、刺さったままの釘を打ち込む。
前よりも深く! もっと深く!
山の四方八方から聞こえる
これが、某有名寿司チェーンの看板から河童の姿が消えた事件の真相である。
河童封じ地蔵 卯月 @auduki
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