おまけの設定集 ゲルマニア軍編 及びあとがき

 ここからはゲルマニア軍のキャラ設定です。



○マルグリット・フォン・リヒトホーフェン 年齢:二十二歳 階級:大尉 カップサイズ:H 髪の色と長さ:金髪ロング(普段はうなじの部分でまとめている)

 作者がこの作品を書くきっかけになったと言ってもいいエースパイロットをモデルにしたキャラ。イメージは“獅子のように凛々しい女性”。

 美しさと凛々しさと気高さを兼ね備えた完璧な女性、かつ最強の軍人として描いたはずなのだが、完璧すぎて逆にあまり魅力のないキャラになってしまったようにも思える。

 少しでも人間的な弱点を与えよう(逆にそれが魅力になるように)と、妹には甘々のお姉ちゃんという設定を加えたが……その結果、本作の裏ストーリーが妹であるローラの成長物語になってしまった。

 そのためゲルマニア視点からの裏主人公ポジションも妹に譲ることになり、少々ポンコツな隊長になってしまった感があるばかりか、第二部ではラストを除いてほとんど活躍することができなかった。

 第一部のラストバトルでカッコいいまま死なせてしまってもよかったのだが、そうなると倒したアーサリンとヴィルヘルミナの関係が修復不能になってしまうので別の形で死なせるしかなかった。



○ローラ・フォン・リヒトホーフェン 年齢:十八歳 階級:大尉(中尉から昇進) カップサイズ:E(Cから成長) 髪の色と長さ:金髪ロング

 マルグリットの妹であり、本作の裏主人公ともいえるキャラ。姉が獅子ならこの子は“若獅子”というイメージ。

 当初は姉へのコンプレックスをこじらせたヒステリーなお子様だったが、マクシーネやティーガーズとの出会いを経て少しずつ成長していく。(書いているうちに自然とそういう流れになってしまった)

 マクシーネの部下たちからチームワークを学ぶうちに指揮官としての才能を開花させ、第二部ではティーガーズの隊長を任されるまでになる。

 元々仲間を大切にするタイプなこともあり、ティーガーズにおいては余所から来たポッと出の隊長にもかかわらず隊員たちからの信頼はあつい。



○マクシーネ・インメルマン 年齢:二十七歳 階級:少佐 カップサイズ:H 髪の色と長さ:ブラウンベリーショート

 『リールの虎』の異名を持つゲルマニア軍の最強パイロット。モデルになった人物が『リールの鷹』の異名で知られるように、若い頃は西部(リール地方)戦線で活躍した。

 その他ブルーマックスのエピソードなどはモデルの人物に準拠。

 すでにロートルであるうえ撃破スコアもさほど多くはないが、操縦技術はマルグリットと並んでゲルマニア軍でも屈指の高さを誇る。

 作中に登場する直前まで東部戦線で戦っており、自ら育てた精鋭部隊『ティーガーズ』を率いて新ロシア帝国のAM部隊を壊滅寸前まで追い込んだ。

 戦闘機の技術として有名な『インメルマン・ターン』を作中に落とし込むため、左腕のパイルバンカーを地面に突き立てての急旋回という技を考えるほうがキャラ作りよりも苦労した。

 普段から軍服は袖を通さずに羽織っているだけのことが多く、下がタンクトップなことも含めてアルバータとキャラが被っている部分がある。

 彼女がアーサリンに敗れたのはほとんど運が悪かっただけの偶然であり、これは“どれだけ実力のある者であろうと戦場ではあっさり死に得る”という作者の思想の演出でもある。



○オルトルート・ベルケ

 名前のみ登場。モデルになった人物は『ベルケの空戦八箇条』を著した元祖エースパイロット。それを『陸戦八箇条』に置き換えてキャラとして使用。

 マルグリットの師匠だが、訓練中の事故によりすでに他界。 



○エルネスティーネ・ウーデット 年齢:二十二歳 階級:大尉 カップサイズ:H 髪の色と長さ:金髪ショートオールバック

 モデルにした人物のエピソードなどはなく(実際には別の部隊の隊長だった)、ただ撃破数がマルグリットに次いで多かったので副隊長にしようというだけで作られたキャラ。ただしジョルジーヌのモデルとライバル関係にあったというのは事実らしく、副隊長同士でちょうどいい対比になった。

 しかしそのジョルジーヌが早々に退場したため、特に活躍することもなくラモーナとの副隊長対決に敗れて葬られた不遇キャラ第一号である。

 他のキャラより格上にするためにマルグリットと同じ階級にしたのだが、隊長の言うことを愚直に守るキャラにする必要性を感じて“とにかく融通の利かない堅物軍人”という設定を与えた結果、むしろ無能な軍人という感じになってしまった。

 彼女には色々とキャラ作りについて反省させてもらった点が多い。



○ヴェロニカ・フォス  年齢:十九歳 階級:少尉 カップサイズ:F 髪の色と長さ:アイボリー(象牙色)ショートオールバック

○クリームヒルト・ボルフ 年齢:二十歳 階級:少尉 カップサイズ:F 髪の色と長さ 金髪ショートオールバック

 彼女たちは二人まとめて紹介。そうされても仕方ないほどにキャラが立っていない不遇キャラ第二号&三号。見た目においてもエルネスティーネと被っており、二人揃ってロボットのように上官の命令に従うだけという性格なので目立ちようもない。

 全ては彼女たちが最初から死亡することが確定しており、ほぼモブキャラとして生み出されたことによるものである。

 モデルにした二人の人物はそれぞれがリヒトホーフェンの片腕と呼ばれるほど有能だったらしいが、リヒトホーフェンが負傷して部隊を離れている間に二人とも戦死していたというエピソードがある。

 つまりこの二人はそれを再現するためのキャラだったのだが……もしもそうなるまでの間にもっとキャラを立てられていれば、代わりにその時点でポッと出のキャラだったテオドラとヴァルトラウトを殺し、彼女たちは生かす構想もあった。



○ヴィルヘルミナ・ラインハルト 年齢:十七歳 階級:大尉(中尉から昇進) カップサイズ:F 髪の色と長さ:黒髪ショート

 主人公アーサリンの幼馴染であり、親友というポジションを与えられた少女。

 モデルになったのはリヒトホーフェンの死後、その後任となった人物。しかしその彼もすぐに事故死し、ゲーリングに引き継がれたというエピソードを持つ。

 上記のエピソードから彼女というキャラの運命、ストーリーの流れは最初からほぼ決まっており、むしろアーサリンの親友であり戦う理由という設定のほうが後付けだったりする。



○エーリカ・レーヴェンハルト 年齢:二十歳 階級:中尉 カップサイズ:G 髪の色と長さ:銀髪ロング

 モデルになった人物はラインハルトと同じくリヒトホーフェンの後任と目されていたらしいので、部隊の中ではヴィルヘルミナと並ぶ立ち位置になった。

 ただし反目するのはヘルミーネの役目だったため、彼女はおっとりしたお嬢様という性格になり、あまり目立つことはなかった。



○ヘルミーネ・ゲーリング 年齢:二十一歳 階級:中尉 カップサイズ:G 髪の色と長さ:ブラウンロング 眼鏡あり

 作者一番のお気に入りキャラ。

 モデルになった人物は後のナチス幹部としてもはや説明不要なレベルの有名人。そのため彼女の生き残りは最初から確定していた。

 ミドルネームがヴィルヘルミナのモデルと被っていたため、皇女ヴィルヘルミナと並んでどちらの名前をどちらにつけるか少々悩んだ。結局ファーストネームの『ヘルマン』を女性形に。

 容姿、能力なと、性格以外はほぼ完璧な女性だが同性に対してはとことんゲス。しかし恋愛観は夢見る乙女そのものであり、好きになった異性にはとことん尽くす。

 上記のようなキャラ付けにしたのは、彼女の出世欲と戦う動機をマルグリットたちのように高尚なものにしないためでもある。

 なお、彼女が結婚を望むような良家には連合軍側で噂される彼女の悪評も広まっているため、縁談の申し出はない模様。



○ブリュンヒルデ・レールツァー 年齢:二十一歳 階級:少尉 カップサイズ:E 髪の色と長さ:ブラウンショート

 ゲーリングの親友……と本人は思っているが、実際はただの腰巾着。

 モデルになった人物は最終的に大尉まで出世しただけでなく、戦後は航空会社の重役にまでなった。

 そのため彼女の生き残りも最初から確定しており、「最後まで生き残って成り上がるならこういうキャラじゃないかな」と逆説的に性格が決定した。



○テオドラ・オステルカンプ 年齢:十八歳 階級:中尉 カップサイズ:F 髪の色と長さ:金髪ショート外ハネ(猫っ毛)

 マクシーネ・インメルマン率いる『ティーガーズ』の一員として登場させた三人の一人。最初は数合わせのつもりだったが、人数的にアルバータたちRUKの三人と戦わせてみたところ、思った以上に動いてくれたのでレギュラー化。その後もRUKの三人組とは色々と因縁が深くなる。

 背が低いのを気にしており、それを見下した人間はたとえ上官であっても銃を向けるという危ないキャラにする構想があった。

 その設定を生かし、マクシーネに突っかかった挙句返り討ちにあって部下になったというエピソードや、彼女の性格を知らずに身長の低さをバカにしたブリュンヒルデがボコボコにされるというエピソードも考えていたのだが、作中では描けなかった。

 モデルになった人物も第二次大戦まで生き残っていたため、彼女も最後まで生き残らせようと思っていたのだが、因縁あるアルバータと決着をつけさせるために最終決戦にて死亡。



○ゲルトルート・ザクセンベルク 年齢:十九歳 階級:中尉 カップサイズ:F 髪の色と長さ:金髪ウエーブヘア

 ティーガーズの三人のリーダー的な存在。少々傲慢な性格で、それゆえ敵を侮って油断することがある。テオドラが猫っ毛ならば彼女は性格が猫。

 作者がイメージしたビジュアルと性格から三人の中で一番リーダーっぽいと判断され、逆にそのせいで(抜けた穴にローラを入れるために)アルバータに撃破されることになった。 



○ヴァルトラウト・ブルーメ 年齢:十八歳 階級:中尉 カップサイズ:F 髪の色と長さ:青みを帯びた黒(濃紺)ベリーショート

 目つきが悪く、ゲルトルートの性格が猫ならば彼女は容姿が猫。

 ティーガーズは『虎(マクシーネ)の子』というイメージのため、全員どこかに猫っぽさを入れようと思っていた。

 冷静な性格で一見ゲルトルートよりもリーダーに相応しいようにも思えるが、控えめな部分もあって常に一歩引いた位置にいるというキャラ。

 逆にそのおかげでゲルマニア軍の中では一番動かしやすく、マクシーネに代わって隊長になったローラのいい補佐役として最後まで活躍してくれた。



○ヘルマ・フロンメルツ 年齢:十六歳 階級:少尉 カップサイズ:C 髪の色と長さ:金髪ロング

 第一部において死んだ不遇三人組の補充要因として考え出されたキャラの一人。

 テオドラやヴァルトラウトを『お姉さま』と呼んでおり、つまりレズビアンという意味でネコ。

 後輩組ということで容姿もテオドラより幼く設定し、子猫っぽさをイメージできるようにした。



○ロートラウト・フォン・グライム 年齢:十六歳 階級:少尉 カップサイズ:D 髪の色と長さ:黒髪ショート

 残虐系のロリっぽいキャラを出したくて容姿をイメージした結果、なぜか呪殺系の陰湿キャラになってしまった子。

 名前に“フォン”(貴族の印)がついていることもあり、ノブレス・オブリージュの精神に従って軍に志願した(その後すぐに戦死した)姉がいるという設定にして、復讐キャラにすることで見た目との整合性を取った。



○フリーデリーケ・クリスチャンセン 年齢:二十四歳 階級:中尉 カップサイズ:G 髪の色と長さ:紫っぽい黒髪ロング

 ヘルマとロートラウトの保護者っぽいイメージで年上キャラにした。

 モデルにした人物は海軍の人間で、二十一のスコアのうち一つは潜水艦という、航空機以外の撃墜スコアを認められた極めて珍しい例。彼女がロングレンジキャノンでAM以外のものを撃破するのが得意という設定はそのエピソードから生まれたものである。

 モデルの人物は後のナチス航空協会の総裁であるため、彼女も最後まで生かす予定だった。

 本来は沈みゆくヒンデンブルグ号の中で意識を取り戻し、絶望して生きることを諦めたアネットを連れて半壊した自機で脱出するという話も考えていたのだが、入れるタイミングが掴めないまま完結してしまった。

 ただヒンデンブルグ号は墜落したものの大破はしていないため、彼女はあくまで生死不明の扱い。



○アネット・フォッカー 年齢:二十四歳 階級:なし(ゲルマニア軍兵器開発部主任) カップサイズ:H 髪の色と長さ:金髪ウェーブロング(結い上げている)

 旧オランダ出身、ノースアメリカの兵器開発技術者。戦争初期、彼女がゲルマニアに寝返ったことでWEUが多大な打撃を受けた。このあたりはモデルになった人物に準拠。

 兵器開発者として紛れもない天才なのだが、使う人間のことを考えない性格と詰めの甘さが災いして、いつもトマサ・ソッピースの後塵を拝している。

 元々酒好きだが、トマサに煮え湯を飲まされるたびに酒の量が増えてゆき、本編終盤にはアル中気味だった。

 最終決戦でポリーヌに見捨てられた後は絶望して抜け殻のようになったものの、逆にそのおかげで素直にトマサに対する敗北を認め、憑き物が落ちたかのように綺麗なアネットさんになったのを描写できなかったのが残念。

 彼女もまたフリーデリーケと同じく生死不明。



○ポリーヌ・フォン・ヒンデンブルグ 年齢:二十九歳と十ヶ月 階級:元帥(ゲルマニア軍総司令官) カップサイズ:H 髪の色と長さ:金髪ロング

 『レッドローズ』回の時点で皇帝が病床にあるという伏線は張ってあったのだが、第一部でファルケンハインが失脚したために代理として登場させた。

 モデルになった人物のエピソードから生まれたというよりは、逆に「飛行船といえば“ヒンデンブルグ号”だろ!」という作者の勝手なイメージから同じ名前の人物がモデルに選ばれただけ。

 第二部のストーリーは第一部と違ってかなり即興で考えられた(“飛行船と戦う”というコンセプトしかなかった)ため、ファルケンハインに対するポリーヌの軽蔑や反貴族主義なども全て後付けである。

 彼女の思想自体は悪いことではなく、むしろマルグリットやローラたちのほうがふるい体制に囚われた考え方なのだが、その思想の押し付け方に人間味を感じさせないことで『狂気の独善指導者』感が上手く演出できた気がする。

 マクシーネの師匠という設定にすることで旧型機でもローラやヴィルヘルミナを圧倒し、作者が意図した以上にいいラスボスとして動いてはくれたのだが、さすがに親衛隊の使い捨てぶりは無能と言わざるを得ない。(まともに飛行するのがやっとの親衛隊は他に使い道もないのだが)




 以上です。

 この作品を通じてキャラ作りというものの難しさを学ばせていただきました。

 勝手に動いてストーリーまで動かしてくれるキャラというのは本当にありがたいんですね……次回作を書くことがあれば、今回の経験を精一杯生かしたいと思います。




 最後に、ここまで読んでくださった方々に心からの謝意を表します。 2017/06/29 FLAT-HEAD

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